[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


接待交際費―範囲


(" 交際費(交際接待費・接待交際費)―範囲 "から複製)

交際費の範囲

交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する銭を管理するための勘定科目をいう。

そして、ここにいう「事業に関係のある者等」は、得意先、仕入先などの取引先に限らず、自社の従業員、役員株主その他事業関係者等に対するものも含まれる。

措置法通達
交際費等の支出の相手方の範囲)
61の4(1)-22 措置法第61条の4第3項に規定する「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、直接当該法人の営む事業取引関係のある者だけでなく間接に当該法人の利害に関係ある者及び当該法人の役員、従業員、株主等も含むことに留意する。

なお、元国税庁職員の大村大次郎氏はその著作『無生活』で、交際費について、次のように述べている。

会社経営者の最大の利点は、接待交際費を自由に使えることである。…従業員を連れて飲み歩くときも、接待交際費になるし、仕事上の友人など、少しでも仕事に関係していれば、接待交際費とすることができる。というより務署は、接待交際費の相手まで細かく調べることはないので、事実上、経営者にとって接待交際費は使い放題なのである。

大村大次郎 『無生活』 ベスト新書、2009年、169~170頁。

ただし、「接待交際費を自由に使える」のは中小企業の場合であり、また使った交際費のすべてを損金算入できるわけではない。

交際費(接待交際費)勘定の法人税法上の取り扱い―会社・法人の場合

交際費に含まれるもの(該当するもの)

交際費に含まれないもの(該当しないもの)

交際費の範囲については、各種法律・通達で詳細な規定がある。

ただし、交際費はその範囲が広いことから、個々の事例にあっては、さらに他の勘定科目とのより具体的な区別基準が問題となってくるので注意を要する(→交際費と他の勘定科目との区別)。

租税特別措置法関係

租税特別措置法および措置法を受けた租税特別措置法施行令では、交際費の範囲から次に掲げるものが除外されている。

  1. 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
  2. 1人あたり1回5,000円以内の外部事業関係者との飲食
  3. カレンダー手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
  4. 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
  5. 新聞雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

租税特別措置法
交際費等損金不算入
第六十一条の四  …
 第一項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第一項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号 に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第二号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
 飲食費であつて、その支出する額を基礎として政令で定めるところにより計算した額が政令で定める額以下の費用
 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用

租税特別措置法施行令
交際費等の範囲)
第三十七条の五  法第六十一条の四第四項第二号 に規定する政令で定めるところにより計算した額は、同項 に規定する飲食費として支出する額を当該飲食費に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した額とし、同号 に規定する政令で定める額は、五千円とする。
 法第六十一条の四第四項第三号に規定する政令で定める費用は、次に掲げる費用とする。
 カレンダー手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
 新聞雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

措置法通達

措置法通達では、次に掲げるような性質を有する支出は交際費の範囲に含まれないものとされている。

  1. 寄附金
  2. 値引き及び割戻し
  3. 広告宣伝費
  4. 福利厚生費
  5. 給与

交際費等の意義)
61の4(1)-1 措置法第61条の4第3項に規定する「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。(昭57年直法2-11「十一」、平6年課法2-5「三十一」により改正)
(1) 寄附金
(2) 値引き及び割戻し
(3) 広告宣伝費
(4) 福利厚生費
(5) 給与

所得基本通達
渡切交際費

いわゆる渡切交際費については、交際費ではなく、その支給を受ける者の給与等に該当するものとされている。

役員等に支給される交際費等
28-4 使用者から役員又は使用人に交際費、接待費等として支給される品は、その支給を受ける者の給与等とする。ただし、使用者の業務のために使用すべきものとして支給されるもので、そのために使用したことの事績の明らかなものについては、課しない。



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  7. 接待交際費―他の勘定科目との区別―福利厚生費
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  17. 接待交際費―損金算入の可否―1人当たり5000円以下の飲食費

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