寄付金(寄附金)
寄付金とは 【contribution】
寄付金の定義・意味など
寄付金(きふきん)とは、法人が国・地方公共団体・公益法人等・政治団体・神社仏閣・祭礼など事業に直接関係のない者に対して行う寄付(事業との直接的な関連性がない寄付)を処理する費用勘定をいう。
寄附金とも表記する。
法人・個人の別
法人
寄付金は法人特有の勘定科目である。
したがって、個人の場合は寄付金勘定を用いることはない。つまり、仕訳などの会計処理は不要である。
ただし、所得税の確定申告の際に特定寄付金として寄附金控除(所得控除の一種)を受けるか、または特別税額控除を受けることができる(選択適用)。
なお、所得税以外にも、相続税にかかる寄付金、個人住民税にかかる寄付金についても税制上の優遇措置がとられている。
寄付金の分類・種類
次のページを参照。
寄付金の範囲・具体例
寄付金の範囲
交際費
寄付金と交際費との区分が問題となる。
この点、税務は、個々の実態により判定すべきであるが、金銭でした贈与は原則として寄附金とするとしている。
租税特別措置法通達
(寄附金と交際費等との区分)
61の4(1)-2 事業に直接関係のない者に対して金銭、物品等の贈与をした場合において、それが寄附金であるか交際費等であるかは個々の実態により判定すべきであるが、金銭でした贈与は原則として寄附金とするものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。
(1) 社会事業団体、政治団体に対する拠金
(2) 神社の祭礼等の寄贈金
経済的利益
税法上は、貸金の放棄や著しく安い金額での資産の譲渡などの経済的利益を与えることも寄付金勘定に含まれる。
社長の個人的な寄付
社長が自分の出身校に個人的に寄付をしたような場合は寄付金勘定に含まれず、役員報酬で処理する。
参考:岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、152項。
寄付金の具体例
義援金
法人が日本赤十字社・地方公共団体等に義援金を支払ったときは寄付金勘定で処理する。
協賛金
地域のイベントなど広告宣伝効果のない協賛金の場合は、寄付金勘定で処理する。
政治献金等
前述したように、税務上、「政治団体に対する拠金」=政治献金等は交際費に含まれないとされているので、寄付金勘定で処理する。
政治家の後援会の会費
政治家の後援会の会費については、会費という名目であっても支出する側に任意性があり、直接の対価性が認められないもの(たとえば、不特定多数の者に対して無償で配布される機関紙等を会員が受け取っている程度)は寄付金勘定で処理する。
ただし、任意性がなく債務の履行として支払う=会員たる地位にあるものが会を成り立たせるために負担すべきものであって寄付金と異なり対価性を有するのであれば諸会費勘定で処理をする。
No.1154 政治献金と寄附金|所得税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1154_qa.htm
参考:Q&A - 日本税制研究所 http://www.zeiseiken.or.jp/faq/kouekihoujin/kouekihoujin_a006.html
寄付金の決算書における位置づけ等
寄付金の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 寄付金
または
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業外損益の部 > 営業外費用 > 寄付金
寄付金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
事業に直接関係のない者に対して寄付をしたときは、寄付金勘定(費用)の借方に記帳して費用計上する。
取引の具体例と仕訳の仕方
共同募金(赤い羽根共同募金)
寄付金 | ✕✕✕✕ | 現金 | ✕✕✕✕ |
義援金
日本赤十字社の口座に義援金を支払った。
寄付金 | ✕✕✕✕ | 普通預金 | ✕✕✕✕ |
政治献金
政治献金をした。
寄付金 | ✕✕✕✕ | 現金 | ✕✕✕✕ |
寄付金の税務・税法・税制上の取り扱い
次のページを参照。
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