［経済］簿記勘定科目一覧表（用語集）

事業主借

事業主借とは

事業主借の定義・意味など

事業主借（じぎょうぬしがり）とは、個人事業主が個人としての私のお金を事業目的に使用した場合に処理する負債勘定をいう。

法人・個人の別

個人

事業主借は、事業主貸とともに、個人事業主特有の勘定科目である。

事業主借の目的・役割・意義・機能・作用など

事業主の個人からの借入を記録するための備忘勘定

個人事業では、資産・負債を事業用とそれ以外に分けて管理をする。

しかし、個人事業主の場合は、法人・会社の場合と異なり、給与がなく、事業のお金と個人のお金の区別がない。

そのため、個人のお金を事業資金として使用する場合がある。

そこで、個人事業主の会計では、事業と個人間のお金のやり取りを記録するための勘定科目が必要になる。

事業主借勘定は、（事業主と個人とを分けて考えたうえ事業主側から見て）事業主の個人からの借入を記録するための備忘勘定である。

個人事業主が青色申告する際の必要書類となる青色申告決算書の書式では、事業主貸勘定、事業主借勘定、元入金勘定を記載するようになっている。

事業主借の科目属性

負債

事業主借は事業主が個人としての私（＝第三者）から借り入れたという意味なので、一種の借入金として負債の性格を有する。

事業主借の範囲・具体例

預金利息・受取配当金

個人事業主の場合、事業資金から生じた収益でも預金利息や受取配当金は、所得税法上、事業所得には含まれない。

そこで、これらの収益は事業主借勘定で処理をする。

岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、130項。

確定申告による還付金

個人事業主の場合、確定申告をして前年度に源泉徴収された所得税の還付金があったときは、雑収入勘定で処理せず、事業主借勘定で処理をする。

事業主借と関係する概念

反対概念・対概念

事業主貸

事業主借とは反対に、事業主の個人に対する貸付を記録するための備忘勘定は事業主貸である。

事業主借の決算等における位置づけ等

事業主借の財務諸表における区分表示と表示科目

貸借対照表 ＞ 負債の部 ＞ 事業主借

事業主借の会計・簿記・経理上の取り扱い

会計処理方法

事業主借勘定の会計処理と具体的な仕訳の仕方については次のページを参照。

事業主借の会計処理

取引の具体例と仕訳の仕方

確定申告による還付金

確定申告の結果、源泉所得税が還付され、届け出ていた普通預金口座に振り込まれた（還付金額：10,000円　還付加算金額：1,000円）。

借方科目	金額	貸方科目	金額
普通預金	11,000	事業主借	11,000

還付加算金とは、還付金額に一定率を乗じて算出される額で還付金の利息としての性格を持つ。税務上、還付金は所得を構成しないが、還付加算金は雑所得に該当する。したがって、翌年は雑所得として申告する必要がある。

事業主借の税務・税法・税制上の取り扱い

消費税の課税・非課税・免税・不課税（対象外）の区分

消費税法上、事業主借は不課税取引として消費税の課税対象外である。