受取配当金
受取配当金とは
受取配当金の定義・意味など
受取配当金(うけとりはいとうきん)とは、株式などの配当金等を処理する収益勘定をいう。
法人・個人の別
法人
受取配当金は法人特有の勘定科目である。
受取配当金の範囲・具体例
受取配当金として処理をするものとしては、具体的には、次のようなものがある。
なお、実務上、保険会社からの契約者配当金も受取配当金勘定で処理しているところも多いが、本来は雑収入で処理すべきである。
他の勘定科目との関係
有価証券利息
簿記上、有価証券として取り扱われるものには、株券と債券(国債・地方債・社債)とがある。
このうち、株式の配当金は受取配当金勘定で処理をし、債券から生じる利子は有価証券利息勘定で処理をする。
受取利息配当金
受取配当金は、受取利息とあわせて受取利息配当金という科目を使用する場合もある。
受取配当金と関係する概念
配当金領収証
配当金領収証とは、配当金の支払を受ける権利を表彰する証書または配当金の受領の事実を証するための証書をいう(印紙税法別表第一)。
簿記上、配当金領収証は通貨代用証券として現金として取り扱われる。
受取配当金勘定の決算等における位置づけ等
受取配当金勘定の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業外損益の部 > 営業外収益 > 受取配当金
区分表示
営業外収益
受取配当金は営業外収益に属するものとして表示する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(営業外収益の表示方法)
第九十条 営業外収益に属する収益は、受取利息(有価証券利息を除く。)、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、仕入割引その他の項目の区分に従い、当該収益を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
表示科目
受取配当金
受取配当金については財務諸表等規則90条で区分掲記が定められているので、原則として受取配当金として表示する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(営業外収益の表示方法)
第九十条 営業外収益に属する収益は、受取利息(有価証券利息を除く。)、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、仕入割引その他の項目の区分に従い、当該収益を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。ただし、各収益のうちその金額が営業外収益の総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、当該収益を一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる。
受取配当金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
会社・法人の場合
配当金の支払いを受けたとき
配当金の支払いを受けたときは、受取配当金勘定(収益)の貸方に記帳して収益計上する。
ただし、配当金は支払いを受ける際に国税・地方税が控除(源泉徴収)される。
受取配当金から源泉徴収された税金は税金の前払いとみなされるため、確定申告時には納付すべき税額からこの前払い分を全額差し引き、残額を納付することになる(つまり、確定申告の際に税額から控除される)。
そこで、受取配当金として計上する額は手取額ではなく源泉徴収前の税込の総額とし(つまり、源泉所得税額を受取配当金と相殺しない)、源泉所得税額は仮払法人税等(または租税公課・法人税等)勘定などで処理をし、税金の支払額の記録を残しておくようにする。
配当金領収証を受け取ったとき
前述したように、簿記上、配当金領収証などの通貨代用証券は現金として取り扱われる。
したがって、配当金領収証を受け取ったときは、現金勘定の借方に記帳して資産計上するとともに、受取配当金勘定(収益)の貸方に記帳して収益計上する。
つまり、配当金領収証を受け取ったということは現金を入手したことを意味する。
なお、実際に銀行で配当金領収証を呈示して配当金を受け取ったときは、これにより資産が増えるわけではない(「通貨代用証券(=現金)→ 現金」という取引)ので、仕訳は不要である。
個人事業主(自営業)の場合
個人事業主の場合、所得税法上、受取配当金は事業所得には含まれず(受取配当金勘定はない)、事業所得以外の収入として事業用の帳簿から除く。
取引の具体例と仕訳の仕方
会社・法人の場合
配当金の支払いを受けたとき
配当金が源泉徴収されたうえ、当座預金に振り込まれた。配当金:10万円。源泉所得税額:2万円
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 |
80,000
|
受取配当金 |
100,000
|
仮払法人税等 |
20,000
|
配当金領収証を受け取ったとき
現金 | ✕✕✕✕ | 受取配当金 | ✕✕✕✕ |
個人事業主(自営業)の場合
この場合、源泉所得税は徴収済み。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 |
✕✕✕✕
|
事業主借勘定 |
✕✕✕✕
|
ただし、振り込まれた口座が事業用の口座ではない場合は、仕訳は不要である。
受取配当金の税務・税法・税制上の取り扱い
損金算入の可否(法人税法)
受取配当金の益金不算入
会計上、配当金等は、受取配当金勘定(費用勘定)で処理をされ、損益計算書において、営業外収益に計上される。
しかし、法人税法上は、二重課税を防止するという見地から、受取配当金について一定の条件を満たす場合には、その全部または一部を課税所得の対象から除外する(つまり、益金不算入となる)という制度がある。
これは法人化する(会社を設立する)一つのメリットともいえる。
設立―会社設立・法人化のメリット - 手続き・申請・届出・内容証明郵便など法律問題その他事務手順
なお、この制度を利用して非課税とするには、法人税の確定申告において、減算による申告調整が必要となる。
法人税申告書―別表四―社外流出―減算項目―受取配当等の益金不算入額 - 税金
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
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