費用法
費用法とは
費用法の定義・意味など
費用法(ひようほう)とは、支払った費用のうち次期以降の費用となるものがある場合、期中は費用処理をし、期末に未経過分や未使用高を資産計上して費用の繰延をする(資産勘定に振り替える)方法をいう。
費用法が適用される範囲・具体例
費用法の目的・役割・意義・機能・作用など
費用収益対応の原則
費用収益対応の原則から、支払った費用のうち次期以降の費用となるものは、原則として、これを当期の損益計算から除去する(当期の損益計算には含めない)とともに、貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。
つまり、当期は費用ではなく資産として扱い、次期以降に費用化することになる。
ただし、重要性に乏しいものなどについては、継続適用を前提にして、支払時にすべて費用処理をすることが認められ、資産に計上しなくてもよいとされている。
企業会計原則
重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。
(1) 消耗品、消耗工具器具備品その他の貯蔵品のうち、重要性の乏しいものについては、その買入時又は払出時に費用として処理する方法を採用することができる。
(2) 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条
3 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一 次に掲げる資産 流動資産
…
ヲ 消耗品、消耗工具、器具及び備品その他の貯蔵品であって、相当な価額以上のもの
…
費用法の位置づけ・体系
本年中に支払った経費のなかに翌年分以後の期間に対応する部分が含まれている場合の期中における会計処理としては、次の2つの方法がある。
- 費用法
- 資産法
実務上は、費用法が用いられる場合が多い。
なお、費用法というのは一般的な名称ではないようだが、この用語(概念)により前払費用や消耗品などの会計処理を統一して理解できるというメリットがあるように思われる(私見)。
また実際にこの名称・用語を使用している簿記のテキストもある。
『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、260項など。
費用法の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
前払費用の場合
次のページを参照。
消耗品の場合
期中(購入・取得時)
費用法で処理をする場合、期中に消耗品などを購入したときは、消耗品費勘定などの借方に記帳して費用処理をする。
『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、260項。
期末(決算時)
期末における消耗品費勘定などには未使用の消耗品などが含まれていることもあるので、決算時に消耗品などの未使用高を消耗品費勘定などの費用勘定の貸方から消耗品勘定などの資産勘定に振り替える。
『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、260項。
翌期首
翌期首においては、資産として繰り延べられた金額を費用に戻すため、消耗品勘定などの資産勘定の貸方から消耗品費勘定などの費用勘定の借方に振り替える(再振替仕訳)。
『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、260項。
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