貸借対照表―資産―流動資産―その他流動資産―前払費用(前払経費) - [経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。

貸借対照表―資産―流動資産―その他流動資産―前払費用(前払経費)



前払費用とは

前払費用の定義・意味など

前払費用(まえばらいひよう)とは、貸借対照表流動資産に属する表示科目として、一定の契約にしたがって継続的に役務サービス)の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価をいう。

なお、後述するように、勘定科目として用いることもできる。

企業会計原則
〔注5〕経過勘定項目について
(1) 前払費用
前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。

法人・個人の別

法人・個人

前払費用は法人・個人で使用される表示科目勘定科目である。

前払費用の会計基準制度会計

企業会計原則会社計算規則財務諸表等規則

前払費用については、企業会計原則会社計算規則財務諸表等規則で定められている。

前払費用の別名・別称・通称など

前払経費

前払費用は前払経費(まえばらいけいひ)ともいう。

前払費用の位置づけ・体系(上位概念等)

貸借対照表表示科目

前払費用は貸借対照表表示科目のひとつである。

通常、個別的に前払地代家賃前払保険料前払利息などの勘定科目資産)で処理されるが、貸借対照表ではこれらが前払費用というひとつの表示科目にまとめられる。

経過勘定項目

前払費用は経過勘定項目経過勘定等)のひとつである。

経過勘定項目とは、費用収益対応の原則から(後述)、現金の収支の時期と損益計算上の損益認識の時期のずれを処理するための勘定科目貸借対照表科目)をいう。

この経過勘定項目には、前払費用も含めて、次の4つがある。

  1. 前払費用
  2. 前受収益
  3. 未払費用
  4. 未収収益

前払費用の目的・役割・意義・機能・作用など

費用収益対応の原則
費用の繰延など

費用収益対応の原則から、前払費用のうち次期以降の費用となるものは、原則として、これを当期の損益計算から除去する(当期の損益計算には含めない)とともに、貸借対照表資産の部に計上しなければならない。

この会計処理には、次の2つの方法がある。

  1. 前払い費用を支出したときは資産計上し、月末に経過分を徐々に費用化する(→資産法
  2. 前払い費用を支出したときは費用処理をし、期末に未経過分を資産計上して費用の繰延をする(→費用法

前払地代家賃などの前払費用は、上記のうち費用法による場合、決算整理事項のひとつとして期末に未経過分を資産計上するために用いられる資産勘定である。

前払費用の範囲・具体例

前払費用の範囲
次期以降の費用の前払分の処理

前払費用は、継続的な役務の提供に関わるものと定義されるが、実務上は、これにこだわらず、広く次期以降の費用の前払分として支払った費用を処理するためにも用いられている。

前払費用の具体例

前払費用に該当するものとしては、具体的には次のようなものがある。

前払費用と関係する概念

反対概念・対概念
長期前払費用

1年基準ワン・イヤー・ルール)により、決算日の翌日から1年を超えて費用となるものについては、投資その他の資産に属する長期前払費用という表示科目を用いる。

なお、長期前払費用勘定科目としても用いられる(勘定科目表示科目が一致する)。

類似概念・類義語
未収収益

前払費用と類似するものに、受け取るべきものをまだ受け取っていない場合の処理(収益の見越)に用いられる未収収益などがある。

経過勘定

前払費用の決算等における位置づけ等

前払費用の財務諸表における区分表示表示科目

貸借対照表資産流動資産 > 前払費用

区分表示
流動資産

前払費用は流動資産に属する。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債固定資産又は固定負債とを区別する基準について

 前払費用については、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に費用となるものは、流動資産に属するものとし、一年をこえる期間を経て費用となるものは、投資その他の資産に属するものとする。

会社計算規則
資産の部の区分)
第七十四条  …
 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
 次に掲げる資産 流動資産

 前払費用であって、一年内に費用となるべきもの

表示科目
前払費用

仕訳上の勘定科目前払地代家賃前払保険料前払利息など)をそのまま貸借対照表表示科目として用いるのではなく、前払費用としてまとめて表示する。

これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。

このように仕訳上の勘定科目貸借対照表上の表示科目とが異なるので注意。

前払費用の会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

資産法費用法

前述したように費用収益対応の原則から、前払費用のうち次期以降の費用となるものは、原則として、これを当期の損益計算から除去する(当期の損益計算には含めない)とともに、貸借対照表資産の部に計上しなければならない。

この会計処理には、次の2つの方法がある。

  1. 前払い費用を支出したときは資産計上し、月末に経過分を徐々に費用化する(→資産法
  2. 前払い費用を支出したときは費用計上し、期末に未経過分を資産計上して費用の繰延をする(→費用法

前払費用は、原則として、資産法により支出したときに資産計上し、役務の提供を受けたときに費用計上すべきものである(必要経費または損金に算入する)。

No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合|法人税国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5380.htm

しかし、実務上では、支出したときに費用計上する費用法が一般的である(その詳細は後述)。

費用の認識基準計上時期期間帰属

短期前払費用

現金主義

費用法による場合、さらに重要性の原則から、重要性の乏しいものについては、継続適用を前提にして、支払時にすべて費用処理をすることが認められ、前払費用(つまり、資産)に計上しなくてもよいとされている。

換言すれば、前払費用については費用の認識基準として、原則とされる発生主義ではなく、現金主義が例外的に認められているということである。

企業会計原則
重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。

(2) 前払費用、未収収益未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。

なお、務上も、この企業会計上の重要性の原則に基づく会計処理が認められ、短期前払費用について、収益との厳密な期間対応による繰延経理をすることなく、その支払時点で必要経費または損金に算入をすることが認められている。

短期前払費用の取扱いについて|法人税目次一覧|国税庁 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/02/03.htm

具体的には、決算日が12月31日の場合、12月中に保険料等の向こう1年分を前払いしたときは、その全額をその年の必要経費または損金に算入できる。経営セーフティ共済を前納した場合において前納期間が1年以内であるものは、支払期の必要経費または損金として算入できるとされているのもこれに基づくものである。

の前納|経営セーフティ共済(中小機構) http://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/customer/procedure/installment/02.html

所得基本通達
(短期の前払費用)
37-30の2 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。

法人税基本通達
(短期の前払費用)
2-2-14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するも のをいう。)の額は、当該事業年度損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する額を継続してその支払った日の属する事業年度損金の額に算入しているときは、これを認める。

実務上の取り扱い
前払費用勘定

前述したとおり、通常は個別的に前払家賃前払保険料前払利息などの勘定科目で処理をし、貸借対照表でこれらが前払費用というひとつの表示科目にまとめられる。

しかし、前払家賃勘定などで個別的に処理をするのはあくまで内部的な管理のためにすぎない。

したがって、これらを貸借対照表にまとめあげることが面倒であれば、最初から前払費用勘定で処理をしてもよい。

ただし、この場合、補助科目を使って前払家賃前払保険料前払利息などを区別して管理する。

期末決算時)等

費用法による場合
決算整理仕訳

費用の繰延

当期の費用として支払った額のなかに次期以降の期間に対する費用が含まれている場合は、その次期以降の期間に対応する費用を当期の費用から除去するとともに資産計上して次期以降に繰り延べる会計処理(費用の繰延)を行う。

具体的には、次期以降の期間に対応する費用額を該当する費用勘定貸方に記帳するとともに、前払費用勘定資産)の借方に記帳して資産計上する。

企業会計原則
〔注5〕経過勘定項目について
(1) 前払費用
…、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表資産の部に計上しなければならない。…

期首

再振替仕訳

期首には、資産として繰り延べられた額を費用に戻す会計処理(再振替仕訳)を行う。

すなわち、決算整理仕訳で行った仕訳反対仕訳を行う。

具体的には、費用勘定借方に記帳するとともに、前払費用勘定資産)の貸方に記帳する。

取引の具体例と仕訳の仕方

費用法

取引

1年分の保険料12万円を4月1日に支払った場合(会計期間は1月1日から12月31日とする)

保険料12万円を4月1日に支払ったとき

前払い費用を支払ったときは費用処理をする。

仕訳

借方科目貸方科目
保険料
120,000
現金
120,000

期末決算時)

決算整理仕訳

次期以降に係る費用を前払費用勘定(具体的には前払保険料勘定など)に振り替えて、資産化する。

仕訳

借方科目貸方科目
前払保険料
30,000
保険料
30,000

期首

再振替仕訳

決算日反対仕訳をする。

仕訳

借方科目貸方科目
保険料
30,000
前払保険料
30,000

前払費用の務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

消費税法上、前払費用は不課税取引として消費税の課税対象外である。




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