消耗品費
消耗品費とは 【supplies expenses】
消耗品費の定義・意味など
消耗品費(しょうもうひんひ)とは、消耗品や少額減価償却資産、すなわち、耐用年数が1年未満のものや取得価額が10万円または30万円未満のものに支出した費用を処理する費用勘定をいう。
消耗品費の法人・個人の別
法人・個人
消耗品費は法人・個人で使用される勘定科目である。
消耗品費の範囲・具体例
消耗品費の範囲
しかし、取得価額が10万円未満の場合、税法(法人税法・所得税法)により、少額減価償却資産として、取得時に取得価額の全額を必要経費または損金に算入することが認められている(→少額減価償却資産の即時償却(一時償却))。
さらに、租税特別措置法の特例により、青色申告者である中小事業者・中小企業者等の場合は、取得価額30万円未満のものについても、取得時に取得価額の全額を必要経費または損金に算入することが認められている(→少額減価償却資産の即時償却(一時償却)の特例)。
会計実務は税法上の処理にしたがうことが多いので、この少額減価償却資産の基準である取得価額10万円または30万円未満を基準にして、この額未満であれば、耐用年数が1年以上であっても消耗品勘定を用いて費用計上する。
これに対して、耐用年数が1年以上のもの、または、取得価額が10万円または30万円以上のものは、有形固定資産として資産計上し、減価償却が必要になる(→有形固定資産の減価償却)。
なお、取得価額の判定は、1個または1組によって行う。
1組とは、たとえば、パソコンであれば、本体、ディスプレイ、キーボードなども含めて、また、応接セットであれば、椅子、テーブル等の個々の価格ではなくセットの価格で判定する。
また、税込処理方式を選択している場合は税込の価格で、税抜処理方式を選択している場合は税抜の価格で判定する。
消耗品費の具体例
消耗品費として処理をするものは、事務に関するものとそれ以外に大別することもできる。
事務関係
※ソフトウェアのライセンス料なども10万円未満であれば消耗品費勘定で処理し、費用計上できる。
事務以外
- 日用品
- 消耗工具器具備品
- その他
他の勘定科目との関係
雑費
そこで、消耗品費と雑費との区別基準が問題となる。
この点、雑費は他のどの勘定科目にもあてはまらないものを管理するための勘定科目なので、消耗品費として計上できそうなものは消耗品費勘定で処理をすべきものと考える(私見)。
事務用消耗品費(事務用品費)
事務関係の消耗品は、その購入数・金額が多いため、消耗品費勘定とは別に事務用消耗品費(事務用品費)勘定を設けて処理することも多い。
消耗品費勘定の位置づけ・体系(上位概念等)
混合勘定
混合勘定の具体例としては次のようなものがある。
消耗品費の決算等における位置づけ等
消耗品費の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 消耗品費
区分表示
販売費及び一般管理費
消耗品費は販売費及び一般管理費に属するものとして表示する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(販売費及び一般管理費の範囲)
第八十四条 会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。
金融庁総務企画局 『「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)』
84 規則第84条に規定する販売費及び一般管理費に属する費用とは、会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用例えば販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、 保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、 賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関係の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額をいう。
消耗品費の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中(購入・取得時)
期中における消耗品の会計処理については、消耗品は消費されてなくなってしまうことから、消耗品費勘定を使用して費用として処理する方法(費用法)と、消耗品も具体的なモノであることから、消耗品勘定を使用して資産として処理する方法(資産法)の2つがある。
期末(決算時)等
資産計上
消耗品費勘定を使用して費用処理をした場合であっても、期末に未使用分がある場合は、貯蔵品勘定を使用して資産計上するのが原則である。
具体的には、棚卸しによって決定された未使用の消耗品を消耗品費勘定の貸方に記帳するとともに貯蔵品勘定の借方に記帳して資産に計上する。
ただし、重要性に乏しいものは資産計上しなくてもよいとされており(→重要性の原則)、税法上も、毎期一定数量を購入し、経常的に消費する事務用消耗品などについては、消耗品費として損金処理をしてよいとされている。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条
3 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一 次に掲げる資産 流動資産
…
ヲ 消耗品、消耗工具、器具及び備品その他の貯蔵品であって、相当な価額以上のもの
…
翌期首
振替処理
資産計上した場合、翌期首には、前期の期末在庫を消耗品費勘定の借方に記帳するとともに貯蔵品勘定の貸方に記帳して振替処理を行う(費用に振り替える)。
消耗品費の管理
補助科目の作成
消耗品費として処理する取引は多いので、適宜、補助科目を作成して管理する。
たとえば、事務用消耗品費(事務用品費)勘定を別途設けない場合には、補助科目として「事務用品」「日用品」などを設定する。
また、先述した少額減価償却資産の即時償却(一時償却)の特例による場合は、取得価額が10万円以上であっても30万円未満の減価償却資産については消耗品費勘定で処理をできるが、この場合も補助科目(たとえば「少額資産」など)により区別して管理しておくと、税務上、便利である。
同特例による場合は、確定申告の際、その手続要件として、明細書の添付等が必要になる。なお、取得価額10万円未満であれば、手続要件は不要である。
取引の具体例と仕訳の仕方
期中(購入・取得時)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 5万 | 預金(普通預金・当座預金) | 5万 |
その他仕訳については、次のページなども参照
期末(決算時)等
資産計上
期末の棚卸しで費用処理をしていた未使用の消耗品を確認したので、資産計上した。
貯蔵品 | ✕✕✕✕ | 消耗品費 | ✕✕✕✕ |
翌期首
振替処理
消耗品費 | ✕✕✕✕ | 貯蔵品 | ✕✕✕✕ |
消耗品費の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・不課税(対象外)・免税の区分
課税取引
消費税法上、消耗品費は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となる。
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