収入印紙
収入印紙とは
収入印紙の定義・意味など
収入印紙(しゅうにゅういんし)とは、国庫の収入となる特定の租税・手数料その他の収納金の収納手段として、政府が発行する証票をいう。
岩波書店『広辞苑第六版』
収入印紙の法的根拠・法律など
印紙税法
収入印紙については印紙税法が規定している。
収入印紙の別名・別称・通称など
印紙
印紙税法では単に印紙と呼称している。
また、一般でも印紙と呼ばれることが多い。
収入印紙の目的・役割・意義・機能・作用など
印紙税の納付
収入印紙は印紙税の納付方法である。
すなわち、印紙税法で定められた所定の課税文書には、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の収入印紙を当該課税文書に貼り付ける方法により、印紙税を納付する。
あわせて消印をすることも必要である(後述)。
印紙税法
(印紙による納付等)
第八条 課税文書の作成者は、次条から第十二条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。
2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
たとえば、契約書については、両当事者が連帯して印紙税を納める義務があるので、契約書には収入印紙を貼り付けて消印をしなければならない。
なお、収入印紙を貼らない場合、または消印がない場合には、過怠税が課されることになる。
ただし、収入印紙を貼らなければいけないということは、あくまで税法上の問題である。
したがって、収入印紙の有無は契約書など当該文書の効力に影響を与えない。
収入印紙の種類・金額
収入印紙には、額面1円のものから10万円のものまで、31種類が発行されている。
収入印紙の貼り方
収入印紙を貼る位置
収入印紙を貼る位置は、特に決まっていない。
消印が見えにくくなったり、ファイルする際に穴が空いてしまうような位置などでなければ、文字などがない空白の位置に貼ればよい。
消印
収入印紙は、文書に貼り付けたうえ、さらに原則として消印をする必要がある。
ただし、消印をしてはいけない文書もある(不動産の登記申請書類など)。
なお、収入印紙への押印を割り印と呼ぶ人もいるようであるが、収入印紙に押印するのは、印紙の再利用を防ぐためなので、正確には消印と呼ぶべきである(国税局に確認)。
収入印紙代
印紙税法に、課税文書の種類と、文書ごとに記載されている金額に応じた印紙税額(収入印紙代 収入印紙の額面)とが細かく定められた一覧表がある。
収入印紙の購入先
印紙売りさばき所
収入印紙は、郵便局・法務局・コンビニなどの印紙売りさばき所で販売されている。
また、いわゆる金券ショップなどでも販売されている。
収入印紙と関係する概念
類似概念・類義語
収入証紙
収入証紙とは、地方公共団体が条例に基づき、使用料や手数料等を徴収するための支払い手段として発行する証票をいう。
収入印紙の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
収入印紙の会計処理については、消耗品の場合と同様に、これを費用として処理する方法(費用法)と資産として処理する方法(資産法)の2つがある。
費用法
(購入・取得時)
収入印紙を購入した場合、すぐに使うときなどは、租税公課や消耗品費などの費用勘定の借方に記帳して費用処理をする(費用法)。
なお、収入印紙の購入を租税公課勘定で処理するのは、購入の目的が税金の納付にあるからである。
したがって、収入印紙の購入の目的が納税ではなく、単に支払方法として用いられているにすぎない場合は、その支払内容に合わせた勘定科目を使用してもよい。
(使用時)
仕訳不要
(資産計上)
租税公課・消耗品費勘定などを使用して費用処理をした場合であっても、期末に未使用分がある場合は、貯蔵品勘定を使用して資産計上するのが原則である。
具体的には、棚卸しによって決定された未使用の収入印紙を租税公課・消耗品費勘定の貸方に記帳するとともに貯蔵品勘定の借方に記帳して資産に計上する。
ただし、重要性に乏しいものは資産計上しなくてもよいとされており(→重要性の原則)、税法上も、毎期一定数量を購入し、経常的に消費する事務用消耗品などについては、消耗品費として損金処理をしてよいとされている。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条
3 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一 次に掲げる資産 流動資産
…
ヲ 消耗品、消耗工具、器具及び備品その他の貯蔵品であって、相当な価額以上のもの
…
翌期首
(振替処理)
翌期首には、前期の期末在庫を租税公課・消耗品費勘定の借方に記帳するとともに貯蔵品勘定の貸方に記帳して振替処理を行う(費用に振り替える)。
資産法
(購入・取得時)
保管用としてあとで使うときなどは、貯蔵品などの資産勘定を用いて資産計上をしてもよい(資産法)。
(使用時)
収入印紙を使用したときは、貯蔵品勘定から租税公課・消耗品費勘定などの費用勘定に振り替える。
仕訳不要
翌期首
仕訳不要
収入印紙の管理
事業所などでは、収入印紙は、その種類ごとに、収入印紙の受入・払出および残高を管理簿に記帳するなどして、記録・管理することが望ましい。
そして、定期的に(たとえば、1カ月おきなど)管理簿の残高と現物を照合する。
ただし、高額の収入印紙については、できる限りその都度購入することにし、まとめ買いして保管しておくのは少額のものにしておいたほうがよい。
テンプレート
収入印紙を管理するための書式・様式は、次のサイトのページなどにある。
収入印紙管理簿のサンプルフォーマット・雛形テンプレート01(エクセル Excel) - ビジネス文書・手紙・はがきテンプレート(書式・様式・書き方)の無料ダウンロード
取引の具体例と仕訳の仕方
費用法
期中
購入・取得時
収入印紙を現金で購入した。
租税公課(または消耗品費) | ✕✕✕✕ | 現金 | ✕✕✕✕ |
使用時
仕訳なし
期末(決算時)
資産計上
期末の棚卸しで費用処理をしていた未使用の収入印紙を確認したので、資産計上した。
貯蔵品 | ✕✕✕✕ | 租税公課(または消耗品費) | ✕✕✕✕ |
翌期首
振替処理
翌期首に、前期の未使用の収入印紙の期末在庫の振替処理をした。
租税公課(または消耗品費) | ✕✕✕✕ | 貯蔵品 | ✕✕✕✕ |
資産法
期中
購入・取得時
収入印紙を現金で購入した。
貯蔵品 | ✕✕✕✕ | 現金 | ✕✕✕✕ |
使用時
収入印紙を使用した。
租税公課(または消耗品費) | ✕✕✕✕ | 貯蔵品 | ✕✕✕✕ |
期末(決算時)
仕訳なし
翌期首
仕訳なし
収入印紙の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
非課税取引
消費税法上、印紙売りさばき所(郵便局・法務局・コンビニ)で購入した収入印紙は非課税取引として、仕入税額控除の対象とならない。
No.6201 非課税となる取引|消費税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm
ただし、いわゆる金券ショップなどで購入した収入印紙は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となる。
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