[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


事業所税


(" 地方税―市町村税―事業所税 "から複製)

事業所税とは

事業所税の定義・意味など

事業所税(じぎょうしょぜい)とは、法定の都市(「指定都市等」)が都市環境の整備と改善に関する事業に要する費用に充てるため一定規模以上の事業を行っている事業主に対して課する地方税(市町村)をいう。

事業所税の法的根拠・法律など

地方税

事業所税地方税で規定されている。

地方税
事業所税
第七百一条の三十  指定都市等は、都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるため、事業所税を課するものとする。

事業所税の要件・条件

指定都市等

事業所税は指定都市等が課する。

指定都市等は次に掲げる都市をいう(地方税法701条の31第1項1号)。

  1. 政令で指定する人口50万以上の都市(指定都市)
  2. 首都圏整備法2条第3項に規定する既成市街地を有する市・近畿圏整備法2条第3項に規定する既成都市区域を有する都市(川口市・武蔵野市・三鷹市・守口市・東大阪市・尼崎市・西宮市・芦屋市)
  3. 人口30万以上のもののうち政令(地方税法施行令)で指定する都市

一定規模以上の事業を行っている事業

事業所税は次の一定規模以上の事業を行っている事業主に課される。

  1. 資産割 … 都道府県内で使用する事業所等の床面積の合計が1,000平方メートルを超える規模で事業を行う法人または個人
  2. 従業者割 … 都道府県内で従業者数の合計が100人を超える規模で事業を行う法人または個人

事業所税額の確定方式

申告納方式

事業所税事業税などと同じく申告納方式である。

申告と納付

事業所税は、法人の場合は事業年度終了日から2カ月以内に、個人の場合は事業を行った年の翌年3月15日までに申告して納付する。

事業所税会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等
期末決算時)

務上、事業所税などの申告納方式による租税については、納申告書を提出した事業年度必要経費または損金算入するのが原則とされている。

例外的に、製造原価等を構成する事業所税については申告期限未到来のものであっても損金経理により未払計上することが認められている。

所得基本通達
(その年分の必要経費に算入する租税
37-6 法第37条第1項の規定によりその年分の各種所得額の計算上必要経費に算入する国税及び地方税は、その年12月31日までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものとする。…

法人税基本通達
(租税損金算入の時期)
9-5-1 法人が納付すべき国税及び地方税(法人の各事業年度所得額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める事業年度損金の額に算入する。
(1) 申告納方式による租税 納申告書に記載された額については当該納申告書が提出された日の属する事業年度とし、更正又は決定に係る額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。ただし、次に掲げる場合には、次による。
イ 収入金額又は棚卸資産の評価額のうちに申告期限未到来の納付すべき酒等に相当する額が含まれている場合又は製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに申告期限未到来の納付すべき事業に係る事業所税若しくは地価に相当する額が含まれている場合において、法人が当該額を損金経理により未払金に計上したときの当該額については、当該損金経理をした事業年度とする。

第1款 租税|基本通達・法人税法|国税庁 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_05_01.htm

No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期|法人税国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5300.htm

ただし、会計上は決算損金経理により未払計上するのが一般的である。

なぜならば、法上、販売費及び一般管理費については、債務が確定していれば、期末までに支払っていなくても経費にできる(必要経費算入・損金算入できる)ものとされている(所得法37条・法人税法22条3項2号)(→債務確定主義)ところ、費用収益対応の原則の見地からはもちろんのこと、節対策のひとつとしても、未払計上できるものはもれなく拾い出すようにするためである。

したがって、事業所税損金経理により未払計上する場合は、決算日租税公課勘定費用)の借方に記帳して費用計上するとともに、未払税金(または未払事業所税未払金未払費用未払法人税等勘定などの貸方に記帳して負債計上する。

確定申告時

確定申告時に事業所税を納付したときは、その納付額を現金預金勘定などの貸方に記帳するとともに、未払税金勘定等の借方に記帳してこれを減少させる。

取引の具体例と仕訳の仕方

期末決算時)

取引

決算を迎え、事業所税を計上した。

仕訳

借方科目
貸方科目
租税公課 ✕✕✕✕ 未払税金 ✕✕✕✕

確定申告時

取引

事業所税の納申告書を提出してこれを納付した。

仕訳

借方科目
貸方科目
未払税金 ✕✕✕✕ 普通預金 ✕✕✕✕

事業所税務・法・制上の取り扱い

必要経費算入(所得法)・損金算入法人税法)の可否

事業所税はその全額を必要経費算入・損金算入できる。

No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期|法人税国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5300.htm

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

事業所税不課税取引として消費税の課税対象外である。

事業所税の確定申告

法人税
申告調整

(加算)

決算事業所税損金経理により未払計上した場合は、務上損金算入が認められていない税金会計上は費用として計上していることになるので、法人税の確定申告時に別表四で加算による申告調整を行う必要がある。



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