[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


未払事業所税


未払事業所税とは

未払事業所税の定義・意味など

未払事業所税(みばらいじぎょうしょぜい)とは、事業所税の未納の額を処理する負債勘定をいう。

未払事業所税の目的・役割・意義・機能・作用など

損金経理による未払計上

未払事業所税は事業所税損金経理により未払計上する場合に用いる。

対策・節方法としての未払事業所税

法上、販売費及び一般管理費については、債務が確定していれば、期末までに支払っていなくても未払計上して経費にできる(必要経費算入・損金算入できる)ものとされている(→債務確定主義)。

所得
必要経費
第三十七条  その年分の不動産所得額、事業所得額又は雑所得額(事業所得額及び雑所得額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

法人税
(各事業年度所得額の計算)
第二十二条  …
 内国法人の各事業年度所得額の計算上当該事業年度損金の額に算入すべき額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一  当該事業年度収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度販売費一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三  当該事業年度損失の額で資本取引以外の取引に係るもの

したがって、費用収益対応の原則の見地からはもちろんのこと、節対策のひとつとしても、未払計上できるものはもれなく拾い出すようにする。

未払事業所税の他の勘定科目との関係

未払税金

一般に、租税公課のうち、事業所税不動産取得税自動車税固定資産税都市計画税消費税税込方式を採用した場合)など必要経費または損金に算入できる税金で、納義務は確定したが、未納の額を処理する勘定科目として未払税金勘定がある。

未払事業所税はこのうち特に事業所税の未納の額を処理するものとして独立した科目としたものである。

未払金未払費用

事業所税未払金または未払費用勘定で処理することもある。

ただし、未払税金などの独立した科目で処理することが望ましいとされている。

参考:中野智之 『最新版 仕訳がすぐわかる 経理勘定科目事典』 ナツメ社、2007年、128項。

未払法人税等

損金算入できない法人税等法人税住民税(道府県民と市町村民))を処理する勘定科目として未払法人税等勘定がある。

また、事業税損金算入できるが、新会計基準で同勘定で処理するものとされている。

そこで、事業税に加えて事業所税についても未払法人税等で処理することがある。

未払事業所税の会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等

期末決算時))

務上、事業所税などの申告納方式による租税については、納申告書を提出した事業年度必要経費または損金算入するのが原則とされている。

例外的に、製造原価等を構成する事業所税については申告期限未到来のものであっても損金経理により未払計上することが認められている。

所得基本通達
(その年分の必要経費に算入する租税
37-6 法第37条第1項の規定によりその年分の各種所得額の計算上必要経費に算入する国税及び地方税は、その年12月31日までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものとする。…

法人税基本通達
(租税損金算入の時期)
9-5-1 法人が納付すべき国税及び地方税(法人の各事業年度所得額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める事業年度損金の額に算入する。
(1) 申告納方式による租税 納申告書に記載された額については当該納申告書が提出された日の属する事業年度とし、更正又は決定に係る額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。ただし、次に掲げる場合には、次による。
イ 収入金額又は棚卸資産の評価額のうちに申告期限未到来の納付すべき酒等に相当する額が含まれている場合又は製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに申告期限未到来の納付すべき事業に係る事業所税若しくは地価に相当する額が含まれている場合において、法人が当該額を損金経理により未払金に計上したときの当該額については、当該損金経理をした事業年度とする。

第1款 租税|基本通達・法人税法|国税庁 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_05_01.htm

No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期|法人税国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5300.htm

ただし、会計上は決算損金経理により未払計上するのが一般的である。

なぜならば、法上、販売費及び一般管理費については、債務が確定していれば、期末までに支払っていなくても経費にできる(必要経費算入・損金算入できる)ものとされている(所得法37条・法人税法22条3項2号)(→債務確定主義)ところ、費用収益対応の原則の見地からはもちろんのこと、節対策のひとつとしても、未払計上できるものはもれなく拾い出すようにするためである。

したがって、事業所税損金経理により未払計上する場合は、決算日租税公課勘定費用)の借方に記帳して費用計上するとともに、未払事業所税(または未払税金未払金未払費用未払法人税等勘定などの貸方に記帳して負債計上する。

(確定申告時)

確定申告時に事業所税を納付したときは、その納付額を現金預金勘定などの貸方に記帳するとともに、未払事業所税勘定等の借方に記帳してこれを減少させる。

取引の具体例と仕訳の仕方

期末決算時)

取引

決算を迎え、事業所税を計上した。

仕訳

借方科目
貸方科目
租税公課 ✕✕✕✕ 未払税金 ✕✕✕✕

確定申告時

取引

事業所税の納申告書を提出してこれを納付した。

仕訳

借方科目
貸方科目
未払税金 ✕✕✕✕ 普通預金 ✕✕✕✕

未払事業所税の務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

消費税法上、未払事業所税は消費税の課税対象外である。



現在のページのサイトにおける位置づけ

 現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 54 ページ]

  1. 預り金
  2. 預り敷金
  3. 預り保証金(受入保証金)
  4. 1年以内償還社債
  5. 1年以内返済長期借入金(1年以内長期借入金)
  6. 売上割戻引当金
  7. 営業外支払手形
  8. 親会社短期借入金
  9. 株主短期借入金
  10. 借入金
  11. 仮受金
  12. 仮受消費税等(仮受消費税)
  13. 繰延税金負債
  14. 支払手形
  15. 支払融通手形
  16. 社会保険料預り金
  17. 従業員預り金
  18. 従業員短期借入金
  19. 修繕引当金
  20. 住民税預り金
  21. 受託販売
  22. 商品券
  23. 商品保証引当金
  24. 賞与引当金
  25. 所得税預り金
  26. 税金預り金
  27. 製品保証引当金(製品保証等引当金)
  28. 設備支払手形
  29. 短期借入金
  30. 手形借入金
  31. 当座借越(当座貸越)
  32. 返品調整引当金
  33. 保証債務
  34. 前受金(受取手付金・未成工事受入金)
  35. 前受収益
  36. 前受地代家賃(前受地代・前受家賃)
  37. 前受手数料
  38. 前受利息
  39. 未払給料(未払賃金)
  40. 未払金
  41. 未払事業所税
  42. 未払社債利息
  43. 未払消費税等(未払消費税)
  44. 未払税金
  45. 未払地代家賃(未払家賃・未払地代)
  46. 未払配当金
  47. 未払費用(未払経費)
  48. 未払法人税等
  49. 未払保険料
  50. 未払役員賞与(未払役員賞与金)
  51. 未払利息
  52. 役員借入金
  53. 役員預り金
  54. 役員短期借入金

 現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ



プライバシーポリシー