損益計算書―経常損益―営業損益―営業費用―販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費とは
販売費及び一般管理費の定義・意味など
販売費及び一般管理費(はんばいひおよびいっぱんかんりひ)とは、損益計算書の区分表示のひとつで、営業活動に要した費用のうち、売上原価以外で、会社の販売と一般管理業務に関して発生したすべての費用をいう。
企業会計原則
F …。販売費及び一般管理費は、適当な科目に分類して営業損益計算の区分に記載し、これを売上原価及び期末たな卸高に算入してはならない。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(販売費及び一般管理費の範囲)
第八十四条 会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。
販売費及び一般管理費の別名・別称・通称など
販売管理費・販管費・営業経費・営業費
販売費及び一般管理費は、販売管理費・販管費・営業経費・営業費などともいわれる。
なお、税法上は、会計上の販売費及び一般管理費に相当するものとして、次の用語が使用されている。
- 所得税法 … 「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)
- 法人税法 … 「販売費、一般管理費その他の費用」(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)
販売費及び一般管理費の内容
販売費及び一般管理費の位置づけ・体系(上位概念等)
損益計算書の区分表示
販売費及び一般管理費は、損益計算書上の区分表示のひとつである。
なお、会社計算規則は損益計算書の要旨の記載方法について定めているが、これなどを参考にすると、損益計算書の区分表示の体系は以下のとおりになる。
会社計算規則
(当期純利益又は当期純損失)
第百四十三条 損益計算書の要旨は、次に掲げる項目に区分しなければならない。
一 売上高
二 売上原価
三 売上総利益金額又は売上総損失金額
四 販売費及び一般管理費
五 営業外収益
六 営業外費用
七 特別利益
八 特別損失
…
7 次の各号に掲げる額が存する場合には、当該額は、当該各号に定めるものとして表示しなければならない。ただし、次の各号に掲げる額(第九号及び第十号に掲げる額を除く。)が零未満である場合は、零から当該額を減じて得た額を当該各号に定めるものとして表示しなければならない。
一 売上総損益金額(零以上の額に限る。) 売上総利益金額
二 売上総損益金額(零未満の額に限る。) 売上総損失金額
三 営業損益金額(零以上の額に限る。) 営業利益金額
四 営業損益金額(零未満の額に限る。) 営業損失金額
五 経常損益金額(零以上の額に限る。) 経常利益金額
六 経常損益金額(零未満の額に限る。) 経常損失金額
七 税引前当期純損益金額(零以上の額に限る。) 税引前当期純利益金額
八 税引前当期純損益金額(零未満の額に限る。) 税引前当期純損失金額
九 当該事業年度に係る法人税等 その内容を示す名称を付した項目
十 法人税等調整額 その内容を示す名称を付した項目
十一 当期純損益金額(零以上の額に限る。) 当期純利益金額
十二 当期純損益金額(零未満の額に限る。) 当期純損失金額
損益計算書の段階利益
営業利益
損益計算書の段階利益のひとつである営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して得られる。
この営業利益は、営業活動から生じた利益を売上総利益よりも現実的に表した数字となる。
企業会計原則
(営業利益)
三 営業利益計算は、一会計期間に属する売上高と売上原価とを記載して売上総利益を計算し、これから販売費及び一般管理費を控除して、営業利益を表示する。
販売費及び一般管理費の決算等における位置づけ等
販売費及び一般管理費の財務諸表における区分表示と表示科目
販売費及び一般管理費は販売費と一般管理費からなるが、両者を明確に区別することは現実問題として困難である。
そのため、まとめて表示することとされている。
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費
表示科目
販売費及び一般管理費は、適当と認められる費目に分類し、当該費用を示す名称を付した科目(たとえば、交際費・会議費・旅費交通費・通信費・消耗品費等)で表示しなければならない。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第八十五条 販売費及び一般管理費は、適当と認められる費目に分類し、当該費用を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
販売費及び一般管理費の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
経理自由の原則と継続性の原則
販売費及び一般管理費では、その費用項目は特に多種にわたる。
通常、一般的に使用されている標準的な科目が使用されるが、自社の業種・業態に合わせ、独自の分類により科目を設定してもよい(→経理自由の原則)。
そのほうが会計処理がしやすい場合もある。
ただし、いったん選択した処理方法は原則として毎期継続的に適用する必要がある(→継続性の原則)。
収益の認識基準
債務確定主義
税法上(所得税法・法人税法)、販売費及び一般管理費は債務確定主義の適用対象とされている。
つまり、債務が確定していない限り、必要経費または損金に算入することは認められない。
したがって、税法上は、債務が確定している(確定債務)かどうかの判断が重要となってくる。
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