[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


法人税等調整額


法人税等調整額とは 【income taxes adjustment

法人税等調整額の定義・意味など

法人税等調整額(ほうじんぜいとうちょうせいがく)とは、損益計算書表示科目のひとつで、税効果会計を適用したことによる当該事業年度に係る法人税住民税・一部の事業税をいう。

会社計算規則
等)
第九十三条  次に掲げる項目の額は、その内容を示す名称を付した項目をもって、税引前当期純利益額又は引前当期純損失額(連結損益計算書にあっては、税金等調整前当期純利益額又は税金等調整前当期純損失額)の次に表示しなければならない。
 当該事業年度(連結損益計算書にあっては、連結会計年度)に係る法人税等
 法人税等調整額(税効果会計の適用により計上される前号に掲げる法人税等の調整額をいう。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
当期純利益又は当期純損失
第九十五条の五  次の各号に掲げる項目の額は、その内容を示す名称を付した科目をもつて、税引前当期純利益額又は引前当期純損失額の次に記載しなければならない。
 当該事業年度に係る法人税、住民税及び事業税利益に関連する額を課税標準として課される事業税をいう。次号において同じ。)
 法人税等調整額(税効果会計の適用により計上される前号に掲げる法人税、住民税及び事業税の調整額をいう。)

法人税等調整額の適用対象

企業会計務とではその目的が異なるため、企業会計上の費用収益から算出される当期純利益務上の損金益金から算出される課所得は一致しない。

そして、一致しない原因はこれを大別すると次の2つとなる。

  1. 永久差異がある場合
    交際費のように、会計費用とされていても、法上は損金算入が認められていない場合
  2. 一時差異がある場合
    企業会計上の費用収益の認識時期と務上の損金益金の認識時期が一致しないものがある場合

このうち税効果会計の適用対象は、上記分類の「一時差異がある場合」に限られる。

したがってまた法人税等調整額の対象も「一時差異がある場合」に限られる。

法人税等調整額の目的・役割・意義・機能・作用など

配当可能利益の正しい計算
税効果会計

法人税などの税金費用とも損失ともいえないが、明らかに資本の減少を招く。

そこで、最終的な配当可能利益当期純利益を正しく計算するためには税金損益計算に含める必要がある(税引前当期純利益から法人税等を控除する)。

さらに、国際会計では、税金をコストであると認識し、その他の費用と同様に、収益との対応関係をもって損益計算書に計上しようとする考え方が一般的である。

そこで、日本においても税効果会計が導入され、損益計算書に計上される税金額が税効果会計の適用により会計の考え方にあわせて調整されるようになった。

この調整のために使用されるのが法人税等調整額である。

この結果、期間利益計算の最終的な目標となる利益である当期純利益は、以下の計算式により算定・算出されることになる。

当期純利益税引前当期純利益法人税等 ± 法人税等調整額

企業会計原則
当期純利益
 当期純利益は、税引前当期純利益から当期の負担に属する法人税額、住民税額等を控除して表示する。

法人税等調整額の位置づけ・体系(上位概念等)

損益計算書区分表示

法人税等調整額は損益計算書表示科目のひとつである。

なお、会社計算規則損益計算書の要旨の記載方法について定めているが、これなどを参考にすると、損益計算書区分表示の体系は以下のとおりになる。

会社計算規則
当期純利益又は当期純損失
第百四十三条  損益計算書の要旨は、次に掲げる項目に区分しなければならない。
 売上高
 売上原価
 売上総利益額又は売上損失
 販売費及び一般管理費
 営業外収益
 営業外費用
 特別利益
 特別損失

 次の各号に掲げる額が存する場合には、当該額は、当該各号に定めるものとして表示しなければならない。ただし、次の各号に掲げる額(第九号及び第十号に掲げる額を除く。)が零未満である場合は、零から当該額を減じて得た額を当該各号に定めるものとして表示しなければならない。
 売上総損益金額(零以上の額に限る。) 売上総利益
 売上総損益金額(零未満の額に限る。) 売上損失
 営業損益額(零以上の額に限る。) 営業利益
 営業損益額(零未満の額に限る。) 営業損失
 経常損益額(零以上の額に限る。) 経常利益
 経常損益額(零未満の額に限る。) 経常損失
 引前当期純損益金額(零以上の額に限る。) 税引前当期純利益
 引前当期純損益金額(零未満の額に限る。) 引前当期純損失
 当該事業年度に係る法人税等 その内容を示す名称を付した項目
 法人税等調整額 その内容を示す名称を付した項目
十一  当期純損益金額(零以上の額に限る。) 当期純利益
十二  当期純損益金額(零未満の額に限る。) 当期純損失

法人税等調整額の決算等における位置づけ等

法人税等調整額の財務諸表における区分表示表示科目

法人税等調整額は損益計算書法人税等の下に記載する。

法人税等調整額の会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等

税効果会計は、具体的には、将来その差額が解消するときに課所得を減少させるもの(将来減算一時差異)に対する額を税金前払いと考え、この前払い部分を繰延税金資産として資産計上する。

反対に、将来その差額が解消するときに課所得を増加させるもの(将来加算一時差異)に対する額を税金の後払いと考え、この後払い部分を繰延税金負債として負債計上する。

これら繰延税金資産繰延税金負債の前決算期末残高は、期首にすべて戻し入れ、期末にあらためて計上するが、その増減額(当期末残高と前期末残高の差額)を処理するための勘定法人税等調整額であり、これが損益計算書に表示される。

取引の具体例と仕訳の仕方

税金前払いになる場合
借方科目貸方科目
繰延税金資産 ×××× 法人税等調整額 ××××

税金が後払いになる場合
借方科目貸方科目
法人税等調整額 ×××× 繰延税金負債 ××××




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