株式交付費償却
株式交付費償却とは
株式交付費償却の定義・意味など
株式交付費償却(かぶしきこうふひしょうきゃく)とは、株式交付費を繰延資産として資産計上した場合、その効果が及ぶ期間(償却期間)の決算時に償却を行う(費用化する)費用勘定をいう。
他の勘定科目との関係
会計上の繰延資産
繰延資産の償却費は繰延資産の種類に応じて、次の専用の費用勘定で償却を行う。
また、これらの償却費をまとめて繰延資産償却費勘定を用いて処理してもよい。
繰延資産の種類 | 償却費の勘定科目 |
---|---|
創立費 | 創立費償却 |
開業費 | 開業費償却 |
開発費 | 開発費償却 |
株式交付費 | 株式交付費償却 |
社債発行費 | 社債発行費償却 |
新株予約権発行費 | 新株予約権発行費償却 |
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(営業外費用の表示方法)
第九十三条 営業外費用に属する費用は、…。ただし、各費用のうちその金額が営業外費用の総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、当該費用を一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる。
株式交付費償却の目的・役割・意義・機能・作用など
新株の発行(増資)または自己株式の処分に要した諸費用は、原則として、支出時に株式交付費勘定(費用)を用いて費用計上したうえ、営業外費用として処理する。
ただし、同じく株式交付費勘定(資産)を用いて繰延資産に計上することもできる。
企業会計基準委員会「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第19号)
株式交付費償却は株式交付費を繰延資産に計上した場合に、その償却を行う(費用化する)ための費用勘定である。
株式交付費償却の決算書における位置づけ等
株式交付費償却の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業外損益の部 > 営業外費用 > 株式交付費償却(または繰延資産償却費)
区分表示
営業外費用
株式交付費償却は営業外費用に属するものとして表示する。
表示科目
株式交付費償却
株式交付費償却は財務諸表等規則93条で原則として区分掲記が定められている
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(営業外費用の表示方法)
第九十三条 営業外費用に属する費用は、支払利息、社債利息、社債発行費償却、創立費償却、開業費償却、貸倒引当金繰入額又は貸倒損失(第八十七条の規定により販売費として記載されるものを除く。)、有価証券売却損、売上割引その他の項目の区分に従い、当該費用を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。ただし、各費用のうちその金額が営業外費用の総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、当該費用を一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる。
株式交付費償却の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
償却期間・償却方法
利息法または定額法
企業会計基準委員会が定めた「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第19号)によれば、株式交付費は、株式交付のときから3年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却しなければならないとされている。
使用する勘定科目・記帳の仕方等
株式交付費償却・株式交付費
決算にあたり、利息法または定額法により計算された当期分の償却費を計上するときは、その償却額を株式交付費償却勘定の借方に記帳して費用計上するとともに、株式交付費勘定(資産)の貸方に記帳して減少させる。
取引の具体例と仕訳の仕方
期末(決算時)
繰延資産の償却
決算にあたり、当期分の償却費10万円を計上した。
株式交付費償却(または繰延資産償却費) | 10万 | 株式交付費 | 10万 |
株式交付費償却の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
株式交付費償却は消費税の課税対象外である。
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