[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


企業会計基準委員会―実務対応報告―繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い(第19号)


繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いとは

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いの定義・意味など

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い(実務対応報告第19号)とは、企業会計基準委員会が公表した実務対応報告のひとつで、繰延資産として計上することができる項目とその具体的な会計処理(償却方法や償却期間など)について定めたものをいう。

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いの歴史・沿革・由来・起源・経緯など

2006年8月11日に企業会計基準委員会が公表

会社法では、旧商法のような繰延資産の限定列挙が廃止され、繰延資産の範囲は会計慣行に委ねられることとなった。

そこで、これを受けて、企業会計基準委員会が2006年8月11日に公表した会計基準が「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」である。

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いの目的・役割・意義・機能・作用など

企業会計原則における繰延資産会計の現代版

会社計算規則は、繰延資産として計上することが適当であると認められるものは繰延資産に属するとしているだけである。

会社計算規則
資産の部の区分)
第七十四条  資産の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目(第二号に掲げる項目を除く。)は、適当な項目に細分しなければならない。…
 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。

 繰延資産として計上することが適当であると認められるもの 繰延資産

また、その償却方法についても、償却すべき資産については、事業年度の末日において、相当の償却をしなければならない(計算規則5条2項)とされているだけで、具体的な償却方法や償却期間の定めはない。
この点について、計算規則では、その用語の解釈と規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行をしん酌しなければならない(計算規則3条)とされている。

そこで、計算規則におけるこれらの規定への対応として、これまで行われてきた会計処理を踏まえ、当面必要と考えられる実務上の取扱いを明らかにしたものが繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いである。

以上、実務対応報告第19号「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」企業会計基準委員会 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/d_asset/d_asset.pdf

したがって、繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いは1982年以来改訂が行われていない企業会計原則における繰延資産会計の現代版と位置づけることができる。

若杉明 「繰延資産会計の変遷」 『LEC 会計大学院紀要 第9号』 39項。

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いの内容

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いでは、次の5項目を繰延資産としたうえ、それぞれにつきその会計処理の仕方を定めている。

  1. 株式交付費新株発行費を含む)
  2. 社債発行費新株予約権発行費を含む)
  3. 創立費
  4. 開業費
  5. 開発費

「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」により、従来の新株発行費株式交付費と名称変更された。

また、社債発行差金繰延資産の範囲から削除された。

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いの位置づけ・体系(上位概念等)

実務対応報告

繰延資産の会計処理に関する当面の取扱いは実務対応報告のひとつである。

なお、実務対応報告には次のようなものがある。

  1. 旧商法による新株予約権及び新株予約権付社債会計処理に関する実務上の取扱い(第1号)
  2. 退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い(第2号)
  3. 廃止
  4. 廃止
  5. 連結納制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)(第5号)
  6. デット・エクイティ・スワップの実行時における債権者側の会計処理に関する実務上の取扱い(第6号)
  7. 連結納制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)(第7号)
  8. コマーシャル・ペーパーの無券面化に伴う発行者の会計処理及び表示についての実務上の取扱い(第8号)
  9. 1株当たり当期純利益に関する実務上の取扱い(第9号)
  10. 種類株式貸借対照表価額に関する実務上の取扱い(第10号)
  11. 外貨建転換社債新株予約権付社債の発行者側の会計処理に関する実務上の取扱い(第11号)
  12. 法人事業税における外形標準課部分の損益計算書上の表示についての実務上の取扱い(第12号)
  13. 廃止
  14. 固定資産の減損に係る会計基準の早期適用に関する実務上の取扱い(第14号)
  15. 排出量取引会計処理に関する当面の取扱い(第15号)
  16. 廃止
  17. ソフトウェア取引収益会計処理に関する実務上の取扱い(第17号)
  18. 連結財務諸表作成における在外子会社会計処理に関する当面の取扱い(第18号)
  19. 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い(第19号)
  20. 投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い(第20号)
  21. 有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い(第21号)
  22. 厚生年金基金に係る交付会計処理に関する当面の取扱い(第22号)
  23. 信託の会計処理に関する実務上の取扱い(第23号)
  24. 持分法適用関連会社会計処理に関する当面の取扱い(第24号)
  25. 金融資産時価の算定に関する実務上の取扱い(第25号)
  26. 廃止
  27. 電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い(第27号)
  28. 改正法人税法及び復興源確保法に伴う率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い(第28号)
  29. 改正法人税法及び復興源確保法に伴い率が変更された事業年度の翌事業年度以降における四半期財務諸表税金費用に関する実務上の取扱い(第29号)
  30. 従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い(第30号)
  31. リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い(第31号)
  32. 平成28年度制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(第32号)



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