金銭債務―偶発債務
偶発債務とは
偶発債務の定義・意味など
偶発債務(ぐうはつさいむ)とは、現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるものをいう。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(偶発債務の注記)
第五十八条 偶発債務(…その他現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるものをいう。)がある場合には…。
換言すると、現在、債務としては確定していないが、将来一定の事由が発生することにより確定した債務となりうるものである。
『日商簿記2級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、71項。
偶発債務の具体例
偶発債務の具体例としては次のようなものがある。
- 債務の保証による保証債務
- 係争事件に係る賠償義務
- 引き渡し済みの請負作業に対する各種の保証
- 売り渡し済みの商品に対する各種の保証
- 先物売買契約
- 受注契約
- 手形の裏書譲渡・手形割引における手形の不渡りの発生による保証債務
参考:財務諸表等規則第58条、日本経済新聞社 『会計用語辞典』 日本経済新聞出版社、1978年、58頁など。
偶発債務の決算等における位置づけ等
財務諸表の注記
企業会計原則により、保証債務等の偶発債務は貸借対照表に注記しなければならないとされている。
企業会計原則
(貸借対照表の本質)
…
C 受取手形の割引高又は裏書譲渡高、保証債務等の偶発債務、債務の担保に供している資産、発行済株式一株当たり当期純利益及び同一株当たり純資産額等企業の財務内容を判断するために重要な事項は、貸借対照表に注記しなければならない。
また、財務諸表等規則によっても貸借対照表に注記することが要求されている。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(偶発債務の注記)
第五十八条 偶発債務(債務の保証(債務の保証と同様の効果を有するものを含む。)、係争事件に係る賠償義務その他現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるものをいう。)がある場合には、その内容及び金額を注記しなければならない。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる。
偶発債務の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
偶発債務の備忘記録
たとえば、手形の裏書譲渡または手形の割引をした際には当該手形が不渡りとなるリスク(保証債務)を時価で評価して保証債務費用勘定(費用)と保証債務勘定(負債)に計上するが、帳簿上、さらに手形の裏書譲渡または手形の割引に係る偶発債務の額についても備忘記録することもできる。
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