引当金―分類―評価性引当金―貸倒引当金の設定―貸倒引当金の設定方法
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貸倒引当金の残高がある場合の貸倒引当金の設定方法
会計処理方法
洗替法と差額補充法
貸倒引当金の設定は決算時に行われるが、前期の貸倒引当金の勘定残高がある場合、当期の貸倒引当金の設定方法としては、前期に計上した貸倒引当金は全額戻し入れ(取り崩し)、あらためて当期の貸倒見積額を全額繰り入れるという洗替法と当期は前期との差額分だけ貸倒引当金を繰り入れる、あるいは戻し入れるという差額補充法とがある。
この点、税法上、その事業年度の必要経費または損金に算入された貸倒引当金の繰入額は、翌事業年度の総収入金額または益金に算入するものと規定されている。
つまり、洗替法が原則とされている。
所得税法
(貸倒引当金)
第五十二条 …
3 前二項の規定によりその繰入れをした年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額は、その繰入れをした年の翌年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
法人税法
(貸倒引当金)
第五十二条 …
10 第一項又は第二項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたこれらの規定に規定する貸倒引当金勘定の金額は、当該事業年度の翌事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
使用する勘定科目・記帳の仕方等
洗替法
決算にあたり、貸倒引当金の設定に際して前年の貸倒引当金の勘定残高がある場合、洗替法で処理を行うときは、その金額を貸倒引当金戻入額勘定(特別利益)の貸方に記帳して全額戻し入れて収益計上するとともに、あらためて今年度の貸倒見積額を貸倒引当金繰入額勘定の借方に記帳して費用計上する。
差額補充法
決算にあたり、貸倒引当金の設定に際して前年の貸倒引当金の勘定残高がある場合、差額補充法で処理を行うときには、次の2つのケースがある。
貸倒見積額が貸倒引当金の勘定残高よりも多い場合は貸倒引当金が不足していることを意味するで、貸倒引当金繰入勘定(費用)を使用して、新たに貸倒引当金を繰り入れる(不足分を補充する)。
具体的には、次の計算式により算出された繰入額を貸倒引当金繰入勘定の借方に記帳して費用計上するとともに、貸倒引当金勘定の貸方に記帳して増加させる。
貸倒見積額が貸倒引当金の勘定残高よりも少ない場合は貸倒引当金が余分にあるということを意味するので、貸倒引当金戻入勘定(収益)を使用して、貸倒引当金を戻し入れる(余剰分を減少させる)。
具体的には、次の計算式により算出された戻入額を貸倒引当金戻入勘定の貸方に記帳して収益計上するするとともに、貸倒引当金勘定の借方に記帳して減少させる(取り崩す)。
取引の具体例と仕訳の仕方
洗替法
決算にあたり、30万円の貸倒引当金を設定する。なお、設定前の貸倒引当金の勘定残高は25万円である。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金 | 250,000 | 貸倒引当金戻入額 | 250,000 |
貸倒引当金繰入額 | 300,000 | 貸倒引当金 | 300,000 |
差額補充法
①貸倒見積額が貸倒引当金の勘定残高よりも多い場合
決算にあたり、30万円の貸倒引当金を設定する。なお、設定前の貸倒引当金の勘定残高は25万円である。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入額 | 50,000 | 貸倒引当金 | 50,000 |
②貸倒見積額が貸倒引当金の勘定残高よりも少ない場合
決算にあたり、30万円の貸倒引当金を設定する。なお、設定前の貸倒引当金の勘定残高は35万円である。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金 | 50,000 | 貸倒引当金戻入額 | 50,000 |
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