貸倒れ―期末―貸倒引当金の設定(貸倒引当金の計上・貸倒見積額の計上・貸倒れの見積り)
貸倒引当金の設定とは
貸倒引当金の設定の定義・意味など
貸倒引当金の設定(かしだおれひきあてきんのせってい)とは、決算において、債権の期末残高のうち次期以降貸倒れになることが予想される金額(=貸倒見積額)を見積り、その金額を当期の費用として計上する処理をいう。
貸倒引当金の設定の別名・別称・通称など
貸倒引当金の計上・貸倒見積額の計上・貸倒れの見積り
貸倒引当金の設定は、貸倒引当金の計上・貸倒見積額の計上・貸倒れの見積り※などとも呼ばれる。
※『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、262項。
貸倒引当金の設定の目的・役割・意義・機能・作用など
費用収益対応の原則
債権は取引先の倒産などのため確実に回収されるという保証はない。
当期に発生した債権が当期に貸し倒れた場合は、貸倒損失として当期の費用に計上すればよい。
しかし、期末に有する債権は次期以降に回収することになるが、もしそれが貸倒れた場合に、貸倒れた会計期間に貸倒損失として費用計上をすると、収益(売上)と費用(貸倒損失)が同一会計期間内に対応しないことになり(費用収益対応の原則に反し)、正しい経営成績を明らかにできない。
そこで、期末に有する債権については、次期以降の貸倒れの発生を見越して貸倒引当金の設定を行う。
貸倒引当金の設定の位置づけ・体系(上位概念等)
決算整理事項
貸倒引当金の設定は決算整理事項のひとつである。
なお、決算整理事項として、決算期に決算整理(決算修正)を必要とする事項には貸倒引当金の設定も含めて次のようなものがある。
- 収入金額の整理
- 必要経費の整理
- 売上原価の算定
- 経過勘定項目関係
- 期末商品の評価
- 消耗品の整理
- 引当金の設定
- 退職給付引当金の設定
- 修繕引当金の設定
- 貸倒引当金の設定
- 減価償却費の計上
- 営業権の償却
- 繰延資産の償却
- 有価証券の評価替え
- 社債関係
- 現金過不足の整理
- 当座預金の修正
- 引出金の整理
- 税金関係
会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
期末(決算時)
(貸倒引当金の設定(決算整理事項))
決算において、債権の期末残高に対して貸倒引当金を設定する場合は、所定の方法により算定された貸倒引当金設定額=貸倒見積額を貸倒引当金繰入(または貸倒引当金繰入額)勘定(費用)の借方に記帳して費用計上するとともに、貸倒引当金勘定(評価性引当金。資産のマイナス勘定=評価勘定※)の貸方に記帳する。
※売上債権は決算時点ではまだ貸倒れていないので、売上債権自体を減少することはできない。そこで、本来の勘定である売上債権を減少させる代わりに、本来の勘定からマイナスするという性質を有する評価勘定である貸倒引当金勘定を使用する。
貸倒見積額の算定方法
貸倒見積額の算定方法については、会計上と税法上とで異なる。
実務では税法にしたがい、必要経費・損金として認められる繰入限度額の金額を設定することが多い。
詳細については次のページを参照。
貸倒引当金の設定方法
洗替法・差額補充法
貸倒引当金の設定は決算時に行われるが、前期の貸倒引当金の勘定残高がある場合、当期の貸倒引当金の設定方法としては、洗替法と差額補充法とがある。
詳細については次のページを参照。
取引の具体例と仕訳の仕方
売上債権の期末残高が100万円に対し、2%の貸倒引当金を見積もる。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 |
20,000
|
貸倒引当金 |
20,000
|
税務・税法・税制上の取り扱い
必要経費算入(所得税法上)・損金算入(法人税法上)等の可否
貸倒引当金の対象となる売上債権の範囲と貸倒引当金繰入限度額
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