[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


投資有価証券


投資有価証券とは

投資有価証券の定義・意味など

投資有価証券(とうしゆうかしょうけん)とは、長期保有を目的とする有価証券、すなわち、売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券以外の有価証券を処理するための資産勘定固定資産)をいう。

参考:村形聡 『ポイント図解式会計 仕訳勘定科目入門』 株式会社アスキー・メディアワークス、2008年、72項。岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、59項。

法人・個人の別

法人・個人

投資有価証券は法人・個人で使用される勘定科目である。

投資有価証券と関係する概念

反対概念・対概念
有価証券

売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券については有価証券勘定流動資産)を用いる。

岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、58項。

投資有価証券の分類・種類

投資有価証券は、次の3つの種類に分類される。

  1. 満期保有目的債券
  2. 関係会社株式子会社株式・関連会社株式など)
  3. その他有価証券親会社株式取引先の株式・持ち合い株式など)

参考:村形聡 『ポイント図解式会計 仕訳勘定科目入門』 株式会社アスキー・メディアワークス、2008年、72項。

投資有価証券の範囲・具体例

投資有価証券の範囲

投資有価証券勘定売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券以外の有価証券を処理するための資産勘定であるとし、①満期保有目的債券関係会社株式子会社株式・関連会社株式など)③その他有価証券の3つの種類に分類されるとするのは、本勘定を広義に解する考え方といえる。

岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、59項。村形聡 『ポイント図解式会計 仕訳勘定科目入門』 株式会社アスキー・メディアワークス、2008年、72項など

しかし、投資有価証券勘定親会社株式子会社株式を含まないとするテキストもある。

袴田 正美,袴田 幸江 『経理 勘定科目のことがよくわかる事典』 西東社、2007年、106ー107項。

これは貸借対照表上の表示科目としての投資有価証券の範囲(後述)を考慮して、本勘定を狭義に解したものと考えられる。

この「表示科目としての投資有価証券の範囲」を考慮するのであれば、狭義の投資有価証券勘定は、次に掲げるものを含まないとするのが論理的である。

  1. 関係会社株式子会社株式・関連会社株式など)
  2. その他有価証券
    1. 親会社株式

なお、継続適用を前提にする限り(→継続性の原則)、どちらの考え方を採用してもよいと考える(→経理自由の原則)(私見)。

投資有価証券の具体例
株式

株式を購入して出資した場合は投資有価証券勘定で処理をする。

なお、株式以外の信用金庫信用組合・協同組合などへの出資の場合は、出資金勘定で処理をする。

新株予約権

新株予約権を取得した場合も、投資有価証券勘定を用いるのが一般的である。

他の勘定科目との関係

売買目的有価証券など

有価証券は、その保有目的により次の4つの種類に分類される(「金融商品に関する会計基準」)。

  1. 売買目的有価証券
  2. 満期保有目的債券
  3. 子会社株式・関連会社株式
  4. その他有価証券

取引の記録では、この分類上の名称をそのまま勘定科目として用いてもよい。

関係会社株式(または子会社株式・関連会社株式)・親会社株式

前述したように本勘定を狭義に解するのであれば、子会社株式・関連会社株式親会社株式については、投資有価証券勘定とは区別して、関係会社株式勘定(または子会社株式関連会社株式勘定)や親会社株式勘定などで処理をすることになる(私見)。

投資有価証券決算等における位置づけ等

投資有価証券財務諸表における区分表示表示科目

貸借対照表資産固定資産投資その他の資産投資有価証券

区分表示
投資その他の資産

投資有価証券投資その他の資産に属する。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債固定資産又は固定負債とを区別する基準について

 所有有価証券のうち、…、証券市場において流通しないもの若しくは他の企業を支配する等の目的で長期的に所有するものは、投資その他の資産に属するものとする。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
投資その他の資産の範囲)
第三十一条  次に掲げる資産は、投資その他の資産に属するものとする。
 関係会社株式売買目的有価証券に該当する株式及び親会社株式を除く。以下同じ。)その他流動資産に属しない有価証券

表示科目
投資有価証券関係会社株式親会社株式

投資有価証券勘定科目名と表示科目名が一致する。

ただし、会社計算規則では、貸借対照表上は、投資有価証券のうち、関係会社株式子会社株式・関連会社株式)については、関係会社株式という表示科目で別に表示するものとされている。

会社計算規則
関係会社株式等の表示)
第八十二条  関係会社株式又は出資金は、関係会社株式又は関係会社出資金の項目をもって別に表示しなければならない。

そして、財務諸表等規則では貸借対照表上は関係会社株式関係会社社債等について別に表示するものとされている。

また、親会社株式についても親会社株式という表示科目で別に表示するものとされている。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
投資その他の資産区分表示
第三十二条  投資その他の資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
 投資有価証券。ただし、関係会社株式関係会社社債及びその他の関係会社有価証券関係会社有価証券のうち、関係会社株式及び関係会社社債以外のものをいう。以下この項において同じ。)を除く。

第三十二条の二  親会社株式のうち第十八条に規定するもの以外のものは、投資その他の資産親会社株式科目をもつて別に掲記しなければならない。ただし、その額が僅少である場合には、注記によることができる。

投資有価証券会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

期末決算時)
有価証券評価基準

投資有価証券期末評価は、それぞれの相場変動リスクの度合い等に応じてなされる。

詳細については次のページを参照。

有価証券の会計処理

取引の具体例と仕訳の仕方

新株予約権を取得した場合
借方科目貸方科目
投資有価証券
××××
普通預金
××××

投資有価証券務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

非課税取引

消費税法上、投資有価証券の譲渡は非課税取引である。



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