満期保有目的債券
満期保有目的債券とは
満期保有目的債券の定義・意味など
満期保有目的債券(まんきほゆうもくてきさいけん)とは、満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券を処理する資産勘定をいう。
金融商品に関する会計基準
(2)満期保有目的の債券
16. 満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、…
法人・個人の別
法人・個人
満期保有目的債券は法人・個人で使用される勘定科目である。
満期保有目的債券の位置づけ・体系(上位概念等)
有価証券
「金融商品に関する会計基準」は有価証券をその保有目的(どういう目的でその有価証券を購入したか)により、次の4つの種類に分類している。
- 売買目的有価証券
- 満期保有目的債券
- 子会社株式・関連会社株式
- その他有価証券
他の勘定科目との関係
売買目的有価証券・満期保有目的債券・子会社株式及び関連会社株式・その他有価証券
取引の記録では、上記の有価証券の分類上の名称をそのまま勘定科目として使用してもよい。
岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、59項。
有価証券勘定・投資有価証券
ただし、「金融商品に関する会計基準」は評価に関する基準であって、表示に関する基準ではない。
したがって、勘定科目としては売買目的有価証券などの名称をそのまま使用する必要はない。
たとえば、売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券については有価証券勘定(流動資産)を使用し、これ以外の有価証券については投資有価証券勘定(固定資産)を使用する場合もある。
参考:岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、59項。
満期保有目的債券の特色・特徴
利息(利子)
満期保有目的債券は、満期に元本を受け取るほか、定期的に利息を受け取ることも目的としている。
満期保有目的債券の決算等における位置づけ等
満期保有目的債券の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 投資その他の資産 > 投資有価証券
区分表示
投資その他の資産
満期保有目的債券は投資その他の資産に属するものとして表示する。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
所有有価証券のうち、証券市場において流通するもので、短期的資金運用のために一時的に所有するものは、流動資産に属するものとし、証券市場において流通しないもの若しくは他の企業を支配する等の目的で長期的に所有するものは、投資その他の資産に属するものとする。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条
3 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
…
四 次に掲げる資産 投資その他の資産
イ 関係会社の株式(売買目的有価証券に該当する株式を除く。以下同じ。)その他流動資産に属しない有価証券
…
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第三十一条 次に掲げる資産は、投資その他の資産に属するものとする。
一 関係会社株式(売買目的有価証券に該当する株式及び親会社株式を除く。以下同じ。)その他流動資産に属しない有価証券
…
表示科目
投資有価証券
満期保有目的債券は貸借対照表上は投資有価証券などとして表示する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(投資その他の資産の区分表示)
第三十二条 投資その他の資産に属する資産は、次に掲げる項目の区分に従い、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
一 投資有価証券。ただし、関係会社株式、関係会社社債及びその他の関係会社有価証券(関係会社有価証券のうち、関係会社株式及び関係会社社債以外のものをいう。以下この項において同じ。)を除く。
…
満期保有目的債券の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中(購入・取得時)
満期まで保有することを目的として債券を取得した場合には、売買目的有価証券とは区別して、その取得原価を満期保有目的債券勘定の借方に記帳して資産計上をする。
なお、この場合における付随費用の取り扱いと取得原価の計算方法は売買目的有価証券と同様である。
詳細については次のページを参照。
期末(決算時)
満期保有目的債券の評価替え
償却原価法
満期保有目的債券は資産として、決算時において貸借対照表でどのように評価すべきか、という資産の評価基準の問題が発生する。
この点、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)では、満期保有目的債券は、原則どおり、取得原価主義を適用するものとしている。
ただし、満期保有目的債券を債券金額(額面金額)より低い価額または高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、決算時に償却原価法にもとづいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない(金融商品に関する会計基準第16項)。
その具体的な会計処理は以下のとおりである。
詳細については次のページを参照。
債権金額が取得価額より高い場合には、その差額を満期保有目的債券勘定(資産)の借方に記帳して増加させるとともに、有価証券利息勘定の貸方に記帳して収益計上する。
債権金額が取得価額より低い場合には、その差額を満期保有目的債券勘定(資産)の貸方に記帳して減少させるとともに、有価証券利息勘定の借方に記帳して費用計上する。
取引の具体例と仕訳の仕方
期中(購入・取得時)
満期保有目的債券を取得したとき
満期保有目的の債券を購入し、代金は小切手で支払い、購入手数料は現金で支払った。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
満期保有目的債券 |
✕✕✕✕
|
当座預金 |
✕✕✕✕
|
現金 |
✕✕✕✕
|
期末(決算時)
満期保有目的債券の評価替え
(定額法)
満期保有目的債券(債券金額100万円)を98万円で取得した。取得時から満期までの期間は1年、決算までの期間は3カ月であった。
満期保有目的債券 | 5千 | 有価証券利息 | 5千 |
満期保有目的債券(債券金額100万円)を102万円で取得した。取得時から満期までの期間は1年、決算までの期間は3カ月であった。
有価証券利息 | 5千 | 満期保有目的債券 | 5千 |
満期保有目的債券の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
非課税取引
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