立退料(立退き料・立ち退き料・立ちのき料)
立退料とは
立退料の定義・意味など
立退料(たちのきりょう)とは、立ち退くのに必要な経費をいう。
岩波書店『広辞苑第六版』
立退料の具体例
立退料の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
建物を賃貸している場合
賃借人を立ち退かすために支払う立退料は雑損失勘定(営業外費用)などで処理をする。
なお、個人の場合、賃貸している建物等を譲渡するために支払う立退料については、確定申告時に譲渡に要した費用として譲渡所得の金額の計算上控除する(後述)。
建物を賃借する場合
税法上、立退料は「資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用」として繰延資産とされている(法人税法施行令第14条)。
つまり、立退料は、税法独自の繰延資産として資産としてみなされ、一括して費用処理することはできないものとされている。
ただし、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものに限る。
そこで、立退料を支出した場合の勘定科目としては、長期前払費用勘定を用いて管理することになる。
そして、賃貸期間または5年間で償却していくことになる(→税法独自の繰延資産の償却費の計算)。
ただし、支出する金額が20万円未満の少額なもの(少額償却資産)については、その全額を支出時に支払手数料などの勘定科目を使用して費用処理することが認められている(法人税法施行令第134条)。
建物を取得する場合
建物の取得に際し、当該建物の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した金額は、当該建物の取得価額に算入する。
法人税基本通達
(土地、建物等の取得に際して支払う立退料等)
7-3-5 法人が土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した金額は、当該土地、建物等の取得価額に算入する。
立退料の税務・税法・税制上の取り扱い
立退料の所得税法上の取り扱い
借家人に立ち退いてもらうために賃貸人が支払う立退料は、所得税法上は次のように取り扱われる。
- 建物等を賃貸している場合(譲渡する場合)…賃貸している建物等を譲渡するために支払う立退料は、譲渡に要した費用として譲渡所得の金額の計算上控除される
- 建物等を賃貸している場合(譲渡以外の場合)…上記1に該当しない立退料で、家賃や駐車場収入など不動産所得の基因となっていた建物等の賃借人を立ち退かすために支払う立退料は、不動産所得の金額の計算上必要経費になる
- 建物等を取得する場合…建物等を取得する際に、その建物等を使用していた者に支払う立退料は、建物等の取得費に算入する
参考:No.1382 立退料を支払ったとき|所得税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1382.htm
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
建物の賃貸契約を解除するために賃借人に支払う立退料
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、建物の賃貸契約を解除するために賃借人に支払う立退料は賃借権の消滅による補償として支払うもので資産の譲渡等の対価に該当しないので、不課税取引として消費税の課税対象外となる。
消費税基本通達
(建物賃貸借契約の解除等に伴う立退料の取扱い)
5-2-7 建物等の賃借人が賃貸借の目的とされている建物等の契約の解除に伴い賃貸人から収受する立退料(不動産業者等の仲介を行う者を経由して収受する場合を含む。)は、賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実費補償などに伴い授受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない。
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