長期貸付金
長期貸付金とは
長期貸付金の定義・意味など
長期貸付金(ちょうきかしつけきん)とは、決算日の翌日から起算して1年を超えて回収(返済)される(つまり、「長期」の)、取引先(得意先・仕入先)、親会社・子会社などの関係会社、株主・役員・従業員など企業内部の者などに対する貸付金を処理するための資産勘定をいう。
法人・個人の別
法人・個人
長期貸付金は法人・個人で使用する勘定科目である。
長期貸付金の位置づけ・体系(上位概念等)
貸付金
貸付金のような主目的たる営業取引以外の取引から発生した債権については、1年基準(ワン・イヤー・ルール)が適用され、長期貸付金と短期貸付金に分類されて処理をされる。
貸倒引当金の設定の対象
長期貸付金の決算等における位置づけ等
長期貸付金の財務諸表における区分表示と表示科目
長期貸付金は1年基準(ワン・イヤー・ルール)により処理をされ、投資その他の資産に属するものとされる。
貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 投資その他の資産 > 長期貸付金
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。
長期貸付金の表示方法
長期貸付金のような金銭債権は、その債権金額から貸倒見積額を控除した金額となる。
この場合の貸借対照表の表示方法については、次のようなものがある。
なお、科目別間接控除法が原則である。
財務諸表の注記等
役員、従業員、子会社などに対する貸付金については、それぞれ、役員長期貸付金、従業員長期貸付金、子会社長期貸付金といった別の表示科目を使用して区分表示するか、注記することになっている。
長期貸付金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
貸付けを行った場合
決算日の翌日から起算して1年を超えて返済される金銭を貸し付けた場合は、長期貸付金勘定(資産)の借方に記帳して資産計上する。
返済された場合
したがって、長期貸付金が返済されたときは、その返済額を長期貸付金勘定(資産)の貸方に記帳してこれを減少させるとともに、受け取った利息の額を受取利息勘定(収益)の貸方に記帳して収益計上する。
長期貸付金と短期貸付金の区別
返済期限が1年以内になった場合
当初は長期貸付金であったが、期間の経過により返済期限が1年以内になった場合には、短期貸付金となり、流動資産として処理をする。
ただし、金額が小さい場合には、そのまま長期貸付金勘定で処理することもできる。
実務上はそのまま長期貸付金として表示している場合が多い。
分割回収される場合
長期貸付金が分割回収される場合には、理論的には、1年を越えて回収される部分と1年以内に回収される部分とに区別し、前者を長期貸付金、後者を短期貸付金として処理すべきである。
短期貸付金の管理
貸付金については、社内規定のほか、金銭消費貸借契約書を作成する。
また、返済の予定と実績の管理もきちんと行う。
岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、66項。
取引の具体例と仕訳の仕方
貸付けを行った場合
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
長期貸付金 | ✕✕✕✕ | 普通預金 | ✕✕✕✕ |
返済された場合
普通預金 | ✕✕✕✕ | 長期貸付金 | ✕✕✕✕ |
受取利息 | ✕✕✕✕ |
長期貸付金の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、長期貸付金は不課税取引として消費税の課税対象外である。
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