貸付金(役員貸付金・従業員貸付金)
貸付金とは
貸付金の定義・意味など
貸付金(かしつけきん)とは、取引先(得意先・仕入先)、親会社・子会社などの関係会社、株主・役員・従業員など企業内部の者など企業内部の者などに金銭を貸し付けた場合に発生する金銭債権を処理する資産勘定をいう。
法人・個人の別
法人・個人
貸付金は法人・個人で使用する勘定科目である。
貸付金の目的・役割・意義・機能・作用など
金融業を営んでいない会社であっても、役員や従業員、子会社や取引先などに、金銭を貸し付けて貸付金が発生する場合がある。
たとえば、従業員の福利厚生目的でマイホーム資金を貸し付けた場合などである。
こうした貸付金によって発生する金銭債権と、受取手形や売掛金といった売上取引によって発生する営業債権とを区別するために、貸付金勘定を使用する。
貸付金の別名・別称・通称など
役員貸付金・従業員貸付金
役員や従業員に対する貸付の場合には、それぞれ、役員貸付金、従業員貸付金勘定を用いることもある。
他の勘定科目との関係
短期貸付金・長期貸付金
貸付金については貸付金勘定が使用されるほか、1年基準(ワン・イヤー・ルール)を適用して、次のように分類して処理をされることが多い。
貸付金の決算等における位置づけ等
財務諸表における区分表示と表示科目
貸付金は、1年基準(ワン・イヤー・ルール)により処理をされ、短期(決算日の翌日から起算して1年以内に入金期限が到来するもの)は流動資産に属し、長期(決算日の翌日から起算して1年を超えて入金期限が到来するもの)は投資その他の資産に属するものとされる。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。
短期貸付金
長期貸付金
貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 投資その他の資産 > 貸付金
貸付金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
利息(利子)
会社は営利を目的とするので、貸付金が発生した場合、必ず利息を徴収しなければならない。
もし、会社が無利息で貸付を行った場合、税務上は相手側に経済的利益を供与しているものとみなされる。
したがって、貸付先が従業員であれば、給与とみなされ、所得税の課税対象となる。
また、貸付先が取引先であれば、寄付金とみなされ、税務上不利な取り扱いを受ける。
利息(利子)の計算方法
利息 = 貸付金額 ✕ 年利率 ✕ 貸付日数(月数)/ 365日(12カ月)
使用する勘定科目・記帳の仕方等
貸付けを行った場合
金銭を貸し付けた場合は、貸付金勘定の借方に記帳して資産計上する。
返済された場合
先述したように貸付金には利息が伴う。
したがって、貸付金が返済されたときは、その返済額を貸付金勘定(資産)の貸方に記帳してこれを減少させるとともに、受け取った利息の額を受取利息勘定(収益)の貸方に記帳して収益計上する。
取引の具体例と仕訳の仕方
貸付けを行った場合
貸付金 | ✕✕✕✕ | 普通預金 | ✕✕✕✕ |
返済された場合
普通預金 | ✕✕✕✕ | 貸付金 | ✕✕✕✕ |
受取利息 | ✕✕✕✕ |
貸付金の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
貸付金は消費税の課税対象外である。
法人と役員との間の金銭の貸付
法人から取締役など役員への貸付は税務上厳しくチェックされる。
これに対して、取締役から法人への貸付には何ら制限はない。
そもそも企業は、出資を受ける(資金調達する)ための仕組みだからである。
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 31 ページ]
- 預け金
- 受取融通手形
- 営業外受取手形
- 火災未決算
- 貸付金(役員貸付金・従業員貸付金)
- 仮払金
- 仮払消費税等(仮払消費税)
- 繰延税金資産
- 繰延税金資産―計上の要件―回収可能性
- 差入保証金(保証金)
- 支払手付金
- 従業員立替金
- 受託販売
- 立替金
- 他店商品券
- 短期貸付金
- 手形貸付金
- 前払金(前渡金)
- 前払費用(前払経費)
- 前払保険料
- 前払地代家賃(前払家賃・前払地代)
- 前払利息
- 未決算
- 未収金(未収入金)
- 未収収益
- 未収消費税等(未収消費税・未収還付消費税等・未収還付消費税)
- 未収地代家賃(未収家賃・未収地代)
- 未収手数料
- 未収利息
- 未収法人税等(未収法人税・未収還付法人税等・未収還付法人税)
- 役員立替金
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ
- ホーム
- 勘定科目一覧(一般)
- 資産―現金・預金
- 資産―売上債権
- 資産―有価証券
- 資産―棚卸資産
- 資産―他流動資産(五十音順)
- 資産―有形固定資産
- 資産―無形固定資産
- 資産―投資その他の資産―資本参加を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―長期利殖を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―その他の長期性資産(五十音順)
- 資産―繰延資産
- 負債―仕入債務
- 負債―他流動負債(五十音順)
- 負債―固定負債
- 負債―評価勘定
- 純資産―株主資本―資本金
- 純資産―株主資本―資本剰余金
- 純資産―株主資本―利益剰余金
- 純資産―株主資本―自己株式
- 純資産―評価・換算差額等
- 純資産―新株予約権
- 収益―営業収益―売上高
- 費用―売上原価
- 収益―営業収益―商品売買益
- 費用―販売管理費―あ行
- 費用―販売管理費―か行
- 費用―販売管理費―さ行(さ-じむ)
- 費用―販売管理費―さ行(しゃ-せき)
- 費用―販売管理費―さ行(接待交際費)
- 費用―販売管理費―さ行(せんーそ)
- 費用―販売管理費―た行
- 費用―販売管理費―な行
- 費用―販売管理費―は行
- 費用―販売管理費―ま行
- 費用―販売管理費―や行
- 費用―販売管理費―ら行
- 収益―営業外収益(五十音順)
- 費用―営業外費用(五十音順)
- 費用―営業外費用―繰延資産の償却費
- 収益―特別利益
- 費用―特別損失
- その他―事業主勘定
- その他―備忘勘定(対照勘定)
- 決算整理で用いる独自の勘定科目
- 差引損益計算で用いる独自の勘定科目
- 帳簿決算で用いる独自の勘定科目
- 勘定科目一覧(一般)