[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


通勤手当(通勤費)


通勤手当とは

通勤手当の定義・意味など

通勤手当(つうきんてあて)とは、基本的な給料(基本給)に加算して支給する銭(=手当)のうち、通勤に必要な交通機関(電・バス等)の利用や交通用具(自転・バイク・自動車等)の使用のために役員・従業員に支給する銭を処理する費用勘定をいう。

通勤手当の別名・別称・通称など

通勤費

通勤手当通勤費とも表記される。

他の勘定科目との関係

給与手当

通勤手当給与手当勘定で処理してもよい。

ただし、所得法上、通勤手当は原則として非課所得とされており(所得法9条)、また、消費税法上も通勤に通常必要であると認められる部分の額は仕入税額控除の対象となる(後述)。

そこで、他の基本給や諸手当とは区別して本勘定を設けて処理する。

旅費交通費

通勤手当旅費交通費勘定で処理してもよい。

なお、岩崎恵利子著『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』では、通勤手当旅費交通費に含めるのが一般的である、とある。

岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、139項。

ただし、所得法上、通勤手当は原則として非課所得ではあるが、例外的に非課限度額が設けられており(所得法9条)、これを超える部分は給与として取り扱われる。

この点で、通勤手当は通常の交通費とは異なる性格を有している。

また、両者はいずれも、損益計算書上、販売費及び一般管理費に位置づけられているが、通勤手当給与(人件費という固定費)としての性格が強い。

そこで、通勤手当を通常の交通費と区別して本勘定を設けて処理する。

通勤手当の範囲と具体例

通勤手当勘定で処理するものとしては次のようなものがある。

通勤手当決算等における位置づけ等

通勤手当財務諸表における区分表示表示科目

損益計算書経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費通勤手当

通勤手当務・法・制上の取り扱い

必要経費算入(所得法)・損金算入法人税法)の可否

通勤手当は、その全額が経費となる。

つまり、個人事業主にあっては必要経費算入、会社等にあっては損金算入が認められている。

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

課税取引

前述したように、消費税法上、通勤手当は基本給や他の諸手当とは異なり、通勤に通常必要であると認められる部分の額は仕入税額控除の対象となる。

消費税法基本通達
通勤手当
11-2-2 事業者が使用人等で通勤者である者に支給する通勤手当定期券等の支給など現物による支給を含む。)のうち、当該通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められる部分の額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。

社員等側からみた場合

所得
非課所得

所得法上、通勤手当は、会社が実際にかかる通勤費用の実費を弁償しているものなので、原則として非課である(従業員などには課されない)。

ただし、非課枠が法定されており、その枠を越えて支給された額については、給料として所得の対象となる。

所得
(非課所得
第九条  次に掲げる所得については、所得を課さない。

 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの

したがって、この超える部分の額は、通勤手当を支給した月の給与の額に上乗せして所得源泉徴収を行う必要がある。

詳細については、次のページを参照。

非課税所得―所得区分別分類―給与所得に関するもの―通勤手当 - 税金―所得税法



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