債権譲渡
債権譲渡とは
債権譲渡の定義・意味など
債権譲渡(さいけんじょうと)とは、貸付金や売掛金などの債権をその同一性を変えないで移転することを目的とする契約をいう。
債権譲渡の目的・役割・意義・機能・作用など
債権譲渡は次のような目的のために利用される。
債権譲渡の具体例
ファクタリング
売上債権の現金化(債権回収)のために行われるファクタリングも債権譲渡の一種である。
債権譲渡の要件
債権譲渡をするには、成立要件と対抗要件の2つを満たす必要がある。
①成立要件
有効に成立した債権譲渡契約
債権譲渡をするには、債権を譲渡する人(譲渡人)と譲り受ける人(譲受人)とが債権譲渡契約をする。
つまり、債権譲渡をするには旧債権者(譲渡人)と新債権者(譲受人)との合意(意思表示)だけがあればよく、債務者の意思は関係ない。
ただし、意思表示だけでよいとはいっても、他の契約と同様、債権譲渡契約書を交わしておいたほうが確実である。
債権譲渡契約書のテンプレートは次のサイトのページなどにある。
債権譲渡契約書の書式テンプレート01(ワード Word) - ビジネス文書・手紙・はがきテンプレート(書式・様式・書き方)の無料ダウンロード
譲渡禁止特約がないこと
債権は原則として譲渡することができるが、当事者が譲渡禁止の特約を結ぶこともできる。
なお、特約に違反して債権を譲渡すると、債権者の債務不履行になるばかりか、譲渡自体が無効になると解されている(判例)。
民法
(債権の譲渡性)
第四百六十六条
債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
②対抗要件
契約の原則どおり、債権譲渡契約の効力も、その契約をした当事者間でのみ効力を生じる。
債権譲渡契約であれば、その「当事者」とは債権の譲渡人と譲受人ということになる。
したがって、債権の譲受人、つまり債権を譲り受けた人が、債権譲渡契約の当事者ではない債務者に対して「今は自分が債権者だから、自分に対して債務を履行してください」などと主張することはできない。
しかし、これでは債権譲渡契約をした意味がない。
そこで、債権譲渡契約の効力を債務者などの第三者に主張するには、成立要件とは別に債権譲渡の対抗要件を満たす必要がある。
債権譲渡の対抗要件の詳細については、次のページを参照。
債権譲渡の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
ファクタリング
ファクタリング会社に売上債権を譲渡した場合、これをいつ現金化するかは譲渡人の任意である。
売買契約の期日前に現金化する場合は手数料を支払う必要があるが、期日どおりに現金化すれば満額を受け取ることもできる。
ファクタリングの仕訳について – ファクタリングという資金調達方法 http://www.supportmilwaukeehotel.com/?p=25
そこで、債権譲渡したときは仕訳を行わず、実際に現金化したときに当該売上債権の貸方に記帳してこれを減少させるという会計処理も考えられる。
ただし、より正確に取引を記録するためには、ファクタリング会社に売上債権を譲渡したとき、便宜的に未収金(または受取手形※)勘定(資産)の借方に記帳して資産計上するとともに、当該売上債権の貸方に記帳してこれを減少させる。
岩崎恵利子著『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』(シーアンドアール研究所)では、営業債権の譲渡は受取手形、営業外債権の譲渡は未収金で処理するものとし、両者を区別している。
そして、後日、ファクタリング会社から入金があったときに未収金(または受取手形)勘定から現金預金勘定に振り替える。
また、ファクタリング会社に支払う手数料=譲渡の際に生じた損失(債権の帳簿価額ー譲渡価額)については、債権譲渡を債権の売買取引と解する説(売買説)によれば、売上債権売却損勘定の借方に記帳して費用計上する。
取引の具体例と仕訳の仕方
ファクタリング
債権譲渡したときに仕訳を行わない会計処理

保有する売上債権(売掛金)をファクタリング会社に譲渡して現金化した。なお、期日前に早々に現金化したので、債権譲渡時に売上債権を未収金(または受取手形)に振り替える会計処理は行っていない。

| 普通預金 | ✕✕✕✕ | 売掛金 | ✕✕✕✕ | 
| 売上債権売却損 | ✕✕✕✕ | 
債権譲渡したときに仕訳を行う会計処理
ファクタリング会社に売上債権を譲渡したとき

保有する売上債権(売掛金)を現金化するため、ファクタリング会社に債権譲渡した。

| 未収金(または受取手形) | ✕✕✕✕ | 売掛金 | ✕✕✕✕ | 
ファクタリング会社から入金があったとき

後日、ファクタリングの手数料を控除した額が銀行口座に振り込まれた。

| 普通預金 | ✕✕✕✕ | 未収金(または受取手形) | ✕✕✕✕ | 
| 売上債権売却損 | ✕✕✕✕ | 
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 12 ページ]
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ
- ホーム
 逆引き(取引・事例・摘要・項目別の仕訳) 逆引き(取引・事例・摘要・項目別の仕訳) あ行―あ あ行―あ
 あ行―い あ行―い
 あ行―う あ行―う
 あ行―え あ行―え
 あ行―お あ行―お
 か行―か(かあーかこ) か行―か(かあーかこ)
 か行―か(かさーかと) か行―か(かさーかと)
 か行―か(かなーかん) か行―か(かなーかん)
 か行―き か行―き
 か行―く か行―く
 か行―け(けあーけと) か行―け(けあーけと)
 か行―け(けなーけん) か行―け(けなーけん)
 か行―こ(こう) か行―こ(こう)
 か行―こ(こかーこて) か行―こ(こかーこて)
 か行―こ(こはーこも) か行―こ(こはーこも)
 か行―こ(こらーこん) か行―こ(こらーこん)
 さ行―さ さ行―さ
 さ行―し(しあ-しき) さ行―し(しあ-しき)
 さ行―し(じこ) さ行―し(じこ)
 さ行―し(しさ-しと) さ行―し(しさ-しと)
 さ行―し(しな-しも) さ行―し(しな-しも)
 さ行―し(しゃ) さ行―し(しゃ)
 さ行―し(しゅ) さ行―し(しゅ)
 さ行―し(しよう) さ行―し(しよう)
 さ行―し(しょかーしょん) さ行―し(しょかーしょん)
 さ行―し(しん) さ行―し(しん)
 さ行―す さ行―す
 さ行―せ(せい) さ行―せ(せい)
 さ行―せ(せきーせん) さ行―せ(せきーせん)
 さ行―そ さ行―そ
 た行―た た行―た
 た行―ち た行―ち
 た行―つ た行―つ
 た行―て(てあーてお) た行―て(てあーてお)
 た行―て(てかーてん) た行―て(てかーてん)
 た行―と た行―と
 な行 な行
 は行―は は行―は
 は行―ひ は行―ひ
 は行―ふ(ふあーふそ) は行―ふ(ふあーふそ)
 は行―ふ(ふた―ふん) は行―ふ(ふた―ふん)
 は行―へ は行―へ
 は行―ほ は行―ほ
 ま行 ま行
 や行―や や行―や
 や行―ゆ や行―ゆ
 や行―よ や行―よ
 ら行(ら・り) ら行(ら・り)
 ら行(れ・ろ) ら行(れ・ろ)
 わ行 わ行
 英字 英字
 
 

 
 