経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済の定義・意味など
経営セーフティ共済(けいえいセーフティきょうさい)とは、中小企業倒産防止共済法という法律に基づき、国が全額出資している共済制度で、取引先が倒産した場合、積み立てた掛金に応じて、回収困難な売掛金債権等の額以内の資金の貸付けが受けられる制度をいう。
経営セーフティ共済の正式名称
中小企業倒産防止共済制度
経営セーフティ共済の正式名称は、中小企業倒産防止共済制度(ちゅうしょうきぎょうとうさんぼうしきょうさいせいど)という。
経営セーフティ共済の運営主体
独立行政法人中小企業基盤整備機構
経営セーフティ共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行なっている。
経営セーフティ共済の目的・役割・意義・機能・作用など
取引先の倒産リスクからの中小企業の保護
経営セーフティ共済制度の本来の目的は、連鎖倒産、つまり、取引先の突然の倒産が原因で経営悪化の危機に直面した中小企業の保護である。
具体的には、貸付制度がその役割を果たす(→経営セーフティ共済の貸付制度)。
節税対策
また、経営セーフティ共済制度は小規模企業共済と並ぶ節税対策・節税方法のひとつとしてもよく利用されている(→経営セーフティ共済の使用・利用・活用方法や使い方のポイント)。
経営セーフティ共済の仕組み(しくみ)
経営セーフティ共済は、毎月一定額を積み立てておき、取引先が倒産し、売掛金などの回収が難しくなってしまった場合に、積み立てた掛金の合計の10倍の範囲内で貸し付けを受けることができる制度である。
また、掛金は掛け捨てではなく、その全額が積立金として扱われる。
したがって、取引先の倒産など不測の事態が起こらなかった場合は、40カ月以上掛金を納付していれば、解約による解約手当金というかたちで100%戻ってくる。
40カ月以上掛け金を納付していなければ、解約手当金が掛金総額を下回るので、注意を要する。
経営セーフティ共済のメリットとデメリット
経営セーフティ共済のメリット
経営セーフティ共済は掛金を経費で落としながら、取引先の倒産リスクに備えるとともに、将来、掛金が全額戻ってくる(一定の条件あり)という貯蓄機能もある。
掛金
税法上、掛金の全額は、必要経費(所得税法)または損金(法人税法)に算入できる。
これに対して、小規模企業共済については、会社の役員の掛金であっても、それはあくまでその役員(個人)の所得税の必要経費算入の対象であり、法人税の損金算入の対象とはならない。
経営セーフティ共済のデメリット
解約手当金
任意解約等で戻ってきたお金は、その時点で、事業所得の雑収入(個人)または益金(法人)となる。
したがって、節税対策として、経営セーフティ共済を利用する場合、その出口(たとえば、退職金の資金等)までも考えておかないと、単に課税の繰延にすぎなくなる。
これに対して、小規模企業共済では、所得税法上、退職所得または公的年金等の雑所得扱いとなる。
経営セーフティ共済の加入条件
1年以上事業をしている中小企業
経営セーフティ共済に加入できるのは1年以上事業をしている中小企業であり、中小企業の範囲は業種ごとに資本金または従業員数で定められている。
経営セーフティ共済の制度内容
掛金
毎月の掛金は、5000円単位で、5000円~20万円の範囲内で自由に設定でき、途中で増額または減額することもできる。
そして、最高800万円までを限度として積み立てることができ、これが全額必要経費または損金になる。
詳細については次のページを参照。
貸付制度
先述したように、経営セーフティ共済の目的は取引先の倒産リスクからの中小企業の保護にあり、これは貸付制度により実現されている。
すなわち、取引先が倒産して売掛金等が回収できなくなった場合、積み立てた掛金の10倍まで無担保・無保証人かつ無利息で借入れすることができる。
また、不測の事態が起こらなくても、臨時に運転資金が必要な場合のため一時貸付金の制度もある。
詳細については次のページを参照。
経営セーフティ共済の使用・利用・活用方法
以上より、経営セーフティ共済は取引先の倒産リスクへの備えとして、また、そうしたリスクがない場合でも、節税対策をしながらオフバランス(簿外)で貯蓄を形成したいときに検討したい制度といえる。
また、期末に加入または掛金を増額して1年分を前納することで、その全額を経費に落とすことができるので、急な節税対策としても使える。
詳細については次のページを参照。
経営セーフティ共済の会計・簿記・経理上の取り扱い
次のページを参照。
経営セーフティ共済の税務・税法・税制上の取り扱い
次のページを参照。
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