リース取引(リース)―会計・税務処理
リース取引の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
リース取引に関する会計処理については、次の企業会計基準が定めている。
企業会計基準第13号 「リース取引に関する会計基準」は、リース会計基準とも呼ばれる。
そして、リース取引は次のとおり分類されるが、リース会計基準では、この分類に応じて異なる会計処理を定めている。
なお、リース取引については、会計上の取り扱いと税法上の取り扱いが異なるところがあるので注意を要する。
1.ファイナンス・リース取引
ファイナンス・リース取引については、借手の具体的な会計処理は以下の3つである。
(①リース取引開始後)
ファイナンス・リース取引は、原則として、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
つまり、リース契約により借手がリース物件を分割払いで購入したものとして取り扱う。
具体的には、リースしたときは、リース取引開始後に、リース料の総額をリース資産勘定の借方に記帳して資産計上するとともに、同額をリース債務勘定の貸方に記帳して負債計上する。
なお、従来、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、(売買取引ではなく)賃貸借取引としてリース料(または賃借料)勘定などで費用計上すること(つまり、オフバランス取引)が認められていた。
しかし、リース会計基準の改正により、平成20年4月1日以降に契約した所有権移転外ファイナンス・リース取引に関しては、所有権移転ファイナンス・リース取引と同様、売買取引(つまり、オンバランス取引)として会計処理することとされた(つまり、ファイナンス・リース取引については会計処理が一本化された)。
ただし、リース会計基準は中小企業に関しては、その負担軽減のため、任意適用で強制されない。
すなわち、中小企業については、原則としては、上記の売買取引に係る方法に準じた会計処理によることとされているが、その負担軽減のため、例外的に、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うこともできるとされている。
つまり、中小企業については従来どおりの会計処理ができる。ただし、後述するように、中小企業であっても、税法上は、すべての所有権移転外ファイナンス・リース取引が売買として取り扱われる。
中小企業の会計に関する指針
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手の会計処理
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。ただし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。
(②毎月のリース料の支払時)
毎月のリース料の支払時はリース債務勘定の借方に記帳して減少させる。
その際、所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース物件の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する。
また、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース物件の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定する。
2.オペレーティング・リース取引
オペレーティング・リース取引については、従来どおり、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
具体的には、リース資産(資産)・リース債務(負債)を計上せずに、毎月支払った使用料(リース料)をリース料(または賃借料・地代家賃)勘定(費用)などの借方に記帳して費用計上する。
減価償却
所有権移転外ファイナンス・リース取引
前述したように、会計上、平成20年4月1日以降に契約した所有権移転外ファイナンス・リース取引に関しては、所有権移転ファイナンス・リース取引と同様、売買取引として会計処理することとされた。
そして、これにともない、税法上も、同取引を売買取引としてみなすことになり、所有権移転外ファイナンス・リース取引で取得した資産についても減価償却資産としてリース期間定額法により減価償却することになった。
No.5704 所有権移転外リース取引|法人税|国税庁 http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5704.htm
減価償却費の計算方法については次のページを参照。
リース(リース取引)―会計処理・税務処理―減価償却の方法(リース期間定額法とは)
ただし、前述したように、リース会計基準は中小企業に関しては任意適用で強制されない。
すなわち、会計上、中小企業は、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うこともできるとされている。
しかし、税法上は、中小企業であっても、すべての所有権移転外ファイナンス・リース取引は、例外なく売買として取り扱われる。
したがって、中小企業は、従来どおり、資産計上・負債計上せずにリース料(賃借料)として会計処理をした場合でも、税務上は、その金額は減価償却費として損金経理をしたものとされる。
よって、リース期間定額法によって計算される償却限度額までしか損金算入できない。
なお、この場合、リース料(賃借料)として損金経理をした金額が、リース期間定額法によって計算される償却限度額と同額であれば、法人税申告書別表一六(四)を添付する必要はない。
取引の具体例と仕訳の仕方
1.ファイナンス・リース取引
①リース取引開始後
リース資産 | 60万 | リース債務 | 60万 |
②毎月のリース料の支払時
リース料1万円を支払った(リース料1万円が銀行口座から引き落とされた)。
リース債務 | 1万 | 普通預金 | 1万 |
③期末(決算時)
減価償却費 | 12万 | リース資産 | 12万 |
2.オペレーティング・リース取引
リース契約にもとづく月額リース料が口座が引き落とされた(リース料月額1万円)。
リース料 | 1万 | 普通預金 | 1万 |
リース取引の税務・税法・税制上の取り扱い
所有権移転外ファイナンス・リース取引
所有権移転外ファイナンス・リース取引により取得したものとされるリース資産である減価償却資産については、次の制度は適用されない。
No.5704 所有権移転外リース取引|法人税|国税庁 http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5704.htm
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