仕掛品(未成工事支出金・半成工事)
仕掛品とは
仕掛品の定義・意味など
仕掛品(しかかりひん)とは、製品の製造過程にある未完成な生産品のうち販売不可能なものを処理するための資産勘定をいう。
仕掛品の別名・別称・通称など
未成工事支出金・半成工事
仕掛品は業種によって呼ばれ方が異なり、建設業では未成工事支出金、造船業では半成工事という。
仕掛品の目的・役割・意義・機能・作用など
仕掛品勘定は生産品の製造原価を集計するために工業簿記で使用される。
法人・個人の別
法人・個人
仕掛品は法人・個人で使用される勘定科目である。
仕掛品の位置づけ・体系(上位概念等)
棚卸資産
仕掛品は棚卸資産のひとつである。
なお、棚卸資産には次のようなものがある。
- 通常の営業過程において販売するために保有する財貨または用益
- 販売を目的として現に製造中の財貨または用益
- 半製品
- 仕掛品(半成工事を含む)
- 販売目的の財貨または用益を生産するために短期間に消費されるべき財貨
- 販売活動または一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
- 棚卸資産に準ずる資産
企業会計基準第9号 棚卸資産の評価に関する会計基準
棚卸資産の範囲
28. これまで、棚卸資産の範囲は、原則として、連続意見書 第四に定める次の 4 項目のいずれかに該当する財貨又は用役であるとされている。
(1) 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役
(2) 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役
(3) 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨
(4) 販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
他の勘定科目との関係
半製品
半製品と仕掛品は、ともに製造途中にある物品という点で共通するが、半製品はそのまま販売できるのに対し、仕掛品は販売できないという点で異なる。
ただし、実務上では、特に半製品という勘定科目を使用せず、製品か仕掛品に含めてもよい。
建設仮勘定
会社内で使用する目的で仕掛中のものは、仕掛品ではなく、建設仮勘定で処理をする。
仕掛品の決算等における位置づけ等
仕掛品の財務諸表における区分表示と表示科目
区分表示
流動資産
仕掛品などの棚卸資産は、貸借対照表上、正常営業循環基準(営業循環基準)により、流動資産に属する。
なお、恒常的に在庫品として保有するもの、余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とはしない。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、…。
…
なお、…、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。
仕掛品の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
期末(決算時)等
決算時には、棚卸しによって決定された仕掛品の期末在庫を仕掛品勘定の借方に記帳するとともに、期末仕掛品棚卸高(期末棚卸高)勘定の貸方に記帳して資産に計上する。
翌期首
振替処理
翌期首には、前期の期末在庫を期首仕掛品棚卸高(期首棚卸高)勘定の借方に記帳するとともに仕掛品勘定の貸方に記帳して振替処理を行う。
仕掛品原価の計算方法
期末における仕掛品の原価は、適正な原価計算により計算・算定しなければならないが、その計算方法は、原価計算の方法により異なる。
個別原価計算による場合
製造指図書に製造原価が区分して集計されるので、期末の未完成製造指図書に集計された製造原価をもって仕掛品原価とする。
総合原価計算による場合
先入先出法、 後入先出法、平均法などによって計算した製造原価をもって仕掛品原価とする。
なお、原価計算を行わない会社は、売価還元法により評価することができる。
取引の具体例と仕訳の仕方
期末(決算時)
決算にあたり、棚卸しによって決定された仕掛品の期末在庫100万円を計上した。
仕掛品 | 100万円 | 期末仕掛品棚卸高(期末棚卸高) | 100万円 |
翌期首
期首仕掛品棚卸高(期首棚卸高) | 100万円 | 原材料 | 100万円 |
仕掛品の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、仕掛品は不課税取引として消費税の課税対象外である。
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