建設仮勘定
建設仮勘定とは
建設仮勘定の定義・意味など
建設仮勘定(けんせつかりかんじょう)とは、未完成の建物・構築物・機械装置・船舶などの有形固定資産について、その完成・引渡しまでに前払いした諸費用(手付金・内金など)を一時的に集計処理するための仮勘定(資産)をいう。
参考:駒井伸俊 『世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典』 秀和システム、2007年、90項。岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、84項。 『日商簿記2級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、91項。
法人・個人の別
法人・個人
建設仮勘定は法人・個人で使用される勘定科目である。
建設仮勘定の範囲・具体例
建設仮勘定として処理をするものには、次のようなものがある。
建設仮勘定の性格・性質
前払金
建設仮勘定は前払金と同様の性格を有する。
建設仮勘定の目的・役割・意義・機能・作用など
建物などの建設等には、多額の費用が長期間にわたって発生する。
そこで、その建設等にかかった費用は建設仮勘定を用いて一時的に集計処理をし、完成して引渡しを受けたときに本来の勘定に振り替える。
建設仮勘定の位置づけ・体系(上位概念等)
仮勘定
建設仮勘定は仮勘定のひとつである。
仮勘定には次のようなものがある。
- 仮払金…お金を支払ったがその内容が不明のため使用すべき勘定科目等が未確定の場合に使用する(資産)
- 仮受金…お金を受け取ったがその内容が不明のため使用すべき勘定科目等が未確定の場合に使用する(負債)
- 建設仮勘定
建設仮勘定の決算等における位置づけ等
建設仮勘定の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 有形固定資産 > 建設仮勘定
区分表示
有形固定資産
建設仮勘定は将来有形固定資産に転化するので、有形固定資産に属するものとして表示する。
企業会計原則
(貸借対照表科目の分類)
…
(一)資 産
…
B 固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分しなければならない。
建物、構築物、機械装置、船舶、車両運搬具、工具器具備品、土地、建設仮勘定等は、有形固定資産に属するものとする。
建設仮勘定の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
代金の一部を支払ったとき
有形固定資産の完成・引渡し前に手付金・内金などの諸費用を支払ったときは、建設仮勘定の借方に記帳して資産計上する。
完成して引渡しを受けたとき
有形固定資産が完成し、その引渡しを受けたときは、建設仮勘定から本来の有形固定資産の勘定に振り替える。
減価償却
非減価償却資産
建設仮勘定として表示されている有形固定資産は、いまだ事業の用に供されていないため、土地と同様、非減価償却資産として扱う。
そして、本来の勘定科目へ振り替えられた時点で減価償却を開始する。
ただし、部分的に完成し、事業で使用されている場合には、その一部分については減価償却する必要がある。
法人税基本通達
(建設中の資産)
7-1-4 建設中の建物、機械及び装置等の資産は減価償却資産に該当しないのであるが、建設仮勘定として表示されている場合であっても、その完成した部分が事業の用に供されているときは、その部分は減価償却資産に該当するものとする。
取引の具体例と仕訳の仕方
代金の一部を支払ったとき
建設会社に建物の建設を依頼し、工事代金の手付金を銀行振込で支払った。
建設仮勘定 | ✕✕✕✕ | 普通預金 | ✕✕✕✕ |
完成して引渡しを受けたとき
依頼していた建物が完成して引渡しを受けた。なお、同時履行で代金の残額を銀行振込で支払った。
建物 | ✕✕✕✕ | 建設仮勘定 | ✕✕✕✕ |
普通預金 |
建設仮勘定の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)・課税取引
消費税法上、手付金・内金等の支払いなど目的物の引渡しのない取引は不課税取引として消費税の課税対象外である。
ただし、資材の購入など実質的に財やサービスが移転すると考えられる取引は課税取引として仕入税額控除の対象となる。
なお、地鎮祭費用は宗教活動に伴う実質的な喜捨金と認識されている
ので、不課税取引として消費税の課税対象外である。
お布施、戒名料、玉串料等|消費税目次一覧|国税庁 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/30.htm
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