商品
商品とは
商品の定義・意味など
商品(しょうひん)とは、商品売買取引の記帳方法として分記法または総記法を採用している場合において※、商業(販売業)を営む企業・個人事業主が、通常の営業として、加工せずにそのままの状態で販売することを目的として、他の取引先から仕入れて所有している物品を処理するための資産勘定をいう。
※ただし、実務では、三分法を採用している場合においても、商品勘定を用いて仕訳を行うことがある(後述)。
法人・個人の別
法人・個人
商品の範囲・具体例
商品の範囲
製品
販売目的で所有していても、自社で製造したものは商品ではなく、製品勘定で処理をする。
商品の具体例
商品の在庫など
商品勘定で処理をするものは、たとえば、スーパーがメーカーなどから物品を仕入れて、まだ売れずに残っているもので、具体的には店舗の棚にのっている品物である。
駒井伸俊 『世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典』 秀和システム、2007年、41項。
また、不動産会社が販売目的で所有する不動産(土地・建物)や証券会社が販売目的で所有する有価証券も商品勘定で処理をされる。
なお、特殊商品売買における商品勘定のバリエーションとして、次のようなものもある。
他の勘定科目との関係
商品売買益
分記法または総記法では、商品勘定とともに商品売買益勘定を用いて商品売買取引を記帳する。
すなわち、分記法では、商品を販売したときに仕入原価と売価との差額を商品売買益勘定(収益)で処理をする。
また、総記法では、決算時に当期の商品売買益を別途計算して、商品勘定から商品売買益勘定に振り替える。
商品・期首商品棚卸高(期首棚卸高)・期末商品棚卸高(期末棚卸高)
商品売買取引の記帳方法として三分法を採用する場合、簿記のテキストのセオリーでは、繰越商品と仕入または売上原価勘定を用いて決算整理仕訳をして売上原価の算定を行う。
しかし、この仕訳では仕訳時の勘定科目名と貸借対照表や損益計算書での表示が一致しなくなるので、実務上は(具体的には税理士事務所などでは)、貸借対照表や損益計算書での表示と統一させるため、代わりに商品・期首商品棚卸高(期首棚卸高)・期末商品棚卸高(期末棚卸高)勘定を用いて処理することが多い。
参考例:岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、60項。駒井伸俊 『世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典』 秀和システム、2007年、40項など。
商品の目的・役割・意義・機能・作用など
現金預金を運用(=投資)したひとつの結果が商品であり、それが①売上債権→現金預金(=リターン)や②商品の在庫となる。
商品の位置づけ・体系(上位概念等)
棚卸資産
なお、棚卸資産には次のようなものがある。
- 通常の営業過程において販売するために保有する財貨または用益
- 販売を目的として現に製造中の財貨または用益
- 販売目的の財貨または用益を生産するために短期間に消費されるべき財貨
- 販売活動または一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
- 棚卸資産に準ずる資産
企業会計基準第9号 棚卸資産の評価に関する会計基準
棚卸資産の範囲
28. これまで、棚卸資産の範囲は、原則として、連続意見書 第四に定める次の 4 項目のいずれかに該当する財貨又は用役であるとされている。
(1) 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役
(2) 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役
(3) 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨
(4) 販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
混合勘定
混合勘定の具体例としては次のようなものがある。
商品の決算等における位置づけ等
商品の財務諸表における区分表示と表示科目
区分表示
流動資産
商品などの棚卸資産は、貸借対照表上、正常営業循環基準(営業循環基準)により、流動資産に属する。
なお、恒常的に在庫品として保有するもの、余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とはしない。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、…。
…
なお、…、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。
表示科目
商品
たとえば、三分法では、決算整理で在庫商品は商品勘定を用いずに繰越商品勘定で処理をする。
しかし、決算整理後残高試算表において繰越商品とされていた勘定科目は、貸借対照表においては、商品という科目として表示する。
商品の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
一般に知られているのは三分法と分記法であり、なかでも三分法が一般的に用いられている。
具体的な会計処理の方法や仕訳の仕方などについては上記リンク先を参照。
ただし、前述したように三分法による場合は商品勘定は使用されない。
商品の管理
帳簿管理
商品有高帳
三分法による会計記帳を行っている場合であっても、商品有高帳によって、商品の受け払い記録を作成して在庫を管理することが望ましい。
商品の受け払い記録を作成しないと商品有高は年に一度しかわからなくなり、在庫の有効な管理が行えないからである。
商品の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
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