販売用不動産
販売用不動産とは
販売用不動産の定義・意味など
販売用不動産(はんばいようふどうさん)とは、不動産業者・建設会社などが販売目的で保有する不動産を処理する資産勘定をいう。
販売用不動産の位置づけ・体系(上位概念等)
棚卸資産
販売用不動産は棚卸資産のひとつである。
なお、棚卸資産には次のようなものがある。
- 通常の営業過程において販売するために保有する財貨または用益
- 販売を目的として現に製造中の財貨または用益
- 販売目的の財貨または用益を生産するために短期間に消費されるべき財貨
- 販売活動または一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
- 棚卸資産に準ずる資産
企業会計基準第9号 棚卸資産の評価に関する会計基準
棚卸資産の範囲
28. これまで、棚卸資産の範囲は、原則として、連続意見書 第四に定める次の 4 項目のいずれかに該当する財貨又は用役であるとされている。
(1) 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役
(2) 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役
(3) 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨
(4) 販売活動及び一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
他の勘定科目との関係
一般に保有する不動産については、その保有目的によって使用する勘定科目・会計処理が異なってくるので注意を要する。
土地・建物
一般に、事業目的で保有する土地・建物(たとえば、自社ビル・自社店舗・自社工場など)を処理する資産勘定として土地勘定・建物勘定(有形固定資産)がある。
投資不動産
賃貸などの投資目的で保有する不動産は投資不動産勘定(投資その他の資産)などで処理する。
販売用不動産の決算等における位置づけ等
販売用不動産の財務諸表における区分表示と表示科目
区分表示
流動資産
販売用不動産などの棚卸資産は、貸借対照表上、正常営業循環基準(営業循環基準)により、流動資産に属する。
なお、恒常的に在庫品として保有するもの、余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とはしない。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、…。
…
なお、…、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。
販売用不動産の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中
(購入・取得時)
期中に販売目的で保有する土地・建物を購入したときは、その取得原価を販売用不動産勘定の借方に記帳して資産計上する。
(売却時)
期中に販売目的で保有する土地・建物を売却したときは、売却額を売上勘定の貸方に記帳して収益計上する。
期末(決算時)
(評価替え)
販売用不動産は棚卸資産として、決算時において貸借対照表でどう評価すべきか、という棚卸資産の評価基準の問題が発生する
この点、販売用不動産は棚卸資産に含まれるので、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)の適用対象となる。
したがって、決算時には、本基準にしたがって評価替えを行う(低価法の強制適用)。
なお、販売用不動産の時価の算定方法については本基準に記載がないが、平成12年7月6日(平成16 年4 月6 日改正)の監査委員会報告第69号「販売不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い」が参考になると考えられる。
販売用不動産の管理
補助科目の作成等
販売用不動産については、土地と建物で消費税法上の取り扱いが異なるので、それぞれ補助科目を作成して管理すると便利である。
減価償却
販売用不動産については土地はもちろんのこと建物についても減価償却は行われない。
販売用不動産の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
消費税法上、土地の譲渡(売買)は非課税取引に該当するが、建物の譲渡は課税取引に該当する。
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