法人税等―会計処理
法人税等の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
法人税等(法人税・住民税(道府県民税と市町村民税)・事業税の一部)は、一般的に同時に申告・納付が行われるので、会計上も一括して処理する。
そして、その会計処理の方法は、法人税の確定申告という出口を念頭に置くと、次の2つに大別できる。
- 発生主義的方法(会計上と税務上の取り扱いが一致する)…他の税金とは区別し法人税等勘定を使用する方法
- 現金主義的方法(会計上と税務上の取り扱いが異なる)…他の税金とは区別せずに租税公課勘定を使用する方法
1 仮払経理と充当金取崩しによる会計処理(発生主義的方法)
法人税・住民税(道府県民税と市町村民税)・事業税は、会社の利益(所得)に課される税金なので、法人税法上は、事業税を除き、損金不算入となる。
そこで、会計上の処理と税務上の処理の統一を図るために、法人税・住民税・事業税については、租税公課勘定で処理する他の税金(損金算入)と区別して、法人税等などの勘定を使用する。
発生主義的な処理方法である。
1-1 中間申告時
法人税等(法人税・住民税(道府県民税と市町村民税)・事業税の一部)について、中間申告および納付を行ったときは、その納付額を仮払法人税等勘定の借方に記帳して資産計上する(→仮払経理)。
この会計処理は、法人税の確定申告書の別表五(二)でいうところの「仮払経理による納付」に相当する。
ただし、法人税法上、事業税は損金算入が認められている租税公課なので、支払った年度の費用になる。
そこで、中小企業では未払いの事業税は計上しないこともできる。
また、未払法人税等の残高があれば、これを取り崩して納付することもできる(→充当金取崩し)。
なお、次のページも参照。
1-2 決算時
決算で当期の法人税等(法人税・住民税(道府県民税と市町村民税)・事業税の一部)の税額が確定するので、確定した法人税等の額を法人税等勘定(費用または利益処分)の借方に記帳する。
他方、法人税等の納付は確定申告時に行うので、決算時では未払いとなる。
なお、この未払金は、法人税の確定申告書の別表五(二)でいうところの「期末現在未納税額」に相当する。
したがって、確定申告時に納付すべき税額を未払法人税等勘定(負債)の貸方に記帳して負債計上する。
新会計基準では、法人税・住民税のみならず、原則として、事業税についても、未払法人税等に含めて計上する。ただし、中小企業では、事業所税や固定資産税、不動産取得税、都市計画税などの未納税額と同様、未払税金勘定で処理をしてもよい。
また、中間申告(納付)を行っている場合には、仮払法人税等勘定を取り崩し、中間納付額を差し引いた税額を未払法人税等勘定で処理する。
なお、次のページも参照。
1-3 確定申告時
(充当金取崩し)
決算時に計上した法人税等は、法人税等の確定申告をする(確定申告書と決算書類等を税務署に提出する)ときに納付する(つまり、申告と同時に納付する)。
法人税等を納付したときは、未払法人税等勘定の借方に記帳して減少させる。
この処理は、法人税の確定申告書の別表五(二)でいうところの「充当金取崩しによる納付」に相当する。
なお、次のページも参照。
これに対して、法人税等は次のような場合には確定申告をした後日に還付される。
- 確定申告で確定した法人税額が中間申告で納付した税額未満の場合
- 欠損金の繰戻しによる還付の請求をした場合
確定申告後に法人税等が還付される場合の具体的な会計処理については、次のページを参照。
2.損金経理による会計処理(現金主義的方法)
租税公課
法人税、法人住民税、事業税についても、損金算入となる他の税金と区別せずに、租税公課勘定で処理をしてもよい。
ただし、この場合、会計上の取り扱いと法人税法上の取り扱いが異なることとなるので、法人税の確定申告時に、別表四で加算(「損金の額に算入した道府県民税(利子割額を除く。)及び市町村民税」項目)による申告調整を行うことになる。
取引の具体例と仕訳の仕方
1 仮払経理と充当金取崩しによる会計処理
1-1 中間申告時
法人税等について中間申告を行い、前年度の税額の1/2の60万円を納付した。
仮払法人税等 | 60万 | 普通預金 | 60万 |
1-2 期末(決算時)
決算を迎え、当期の法人税等が100万円と確定した。なお、中間申告で60万円を納付している(仮払法人税等の残高が60万円ある)。
法人税等 | 100万 | 仮払法人税等 | 60万 |
未払法人税等 | 40万 |
1-3 確定申告時
翌期になって法人税等の確定申告を行い、未払額を納付した。
未払法人税等 | 40万 | 普通預金 | 40万 |
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- 法人税等―会計処理―決算―法人税等の計上―③欠損金の繰戻しによる還付の請求もする場合
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