試用品売上
試用品売上とは
試用品売上の定義・意味など
試用品売上(しようひんうりあげ)とは、試用販売による売上を処理する収益勘定をいう。
試用品売上の目的・役割・意義・機能・作用など
試用品売上勘定は試用販売による売上を一般の売上と区別するために用いられる。
試用品売上の決算等における位置づけ等
試用品売上の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 売上高 > 試用品売上高
表示科目
売上高
試用品売上の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
収益の認識基準(計上時期・期間帰属)
実現主義
(販売基準)
特殊商品売買による売上収益にも原則どおり実現主義が適用される。
ただし、特殊商品売買の場合には、一般商品売買の場合以上に、実現主義の考え方が強く要請される。
そこで、企業会計原則注解では、試用販売による売上収益の具体的な実現の基準として、試用者が買取りの意思表示をしたときと定めている(販売基準の一種)。
企業会計原則
〔注6〕実現主義の適用について(損益計算書原則三のB)
委託販売、試用販売、予約販売、割賦販売等特殊な販売契約による売上収益の実現の基準は、次によるものとする。
…
(2) 試用販売
試用販売については、取引先が買取りの意思を表示することによって売上が実現するのであるから、それまでは、当期の売上高に計上してはならない。
使用する勘定科目・記帳の仕方等
①収益の計上
試用者が買取りの意思表示をしたときは、通常は一般の売上と区別するため、買取りの意思表示があった試用品の売価を試用品売上勘定の貸方に記帳して収益計上する。
また、代金については、この時点では受け取っていないので、売掛金勘定で処理する。
②売上原価の計上または備忘記録の取消し
(手許商品区分法による場合)
手許商品区分法による場合、試用者が買取りの意思表示をしたときは、通常は一般の売上と区別するため、買取りの意思表示があった試用品の原価を試用品勘定から仕入勘定に振り替える(その都度法)。
(対照勘定法による場合)
対照勘定法による場合、試用者が買取りの意思表示をしたときは、買取りの意思表示があった試用品の原価の対照勘定を賃借逆にして、備忘記録を取り消す。
『日商簿記2級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、57項。
取引の具体例と仕訳の仕方
手許商品区分法による場合
商品10万円(売価15万円)について、試用者から買取りの意思表示があった。なお、これに伴う売上原価を仕入勘定に振り替える(その都度法)。
売掛金 | 15万 | 試用品売上 | 15万 |
仕入 | 10万 | 試用品 | 10万 |
対照勘定法による場合
商品10万円(売価15万円)について、試用者から買取りの意思表示があった。
売掛金 | 15万 | 試用品売上 | 15万 |
試用仮売上 | 15万 | 試用販売未収金 | 15万 |
試用品売上の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引等
消費税法上、試用品売上は原則として課税取引として課税売上げに該当する。
ただし、国外取引の売上は不課税取引として消費税の課税対象外である。
また、一定の要件を満たした輸出取引は免税取引(輸出免税)として消費税が免除される。
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