差入敷金(敷金)
差入敷金とは
差入敷金の定義・意味など
差入敷金(さしいれしききん)とは、賃貸借契約に際して担保として差し入れる敷金※を処理する資産勘定をいう。
参考:岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、98項。
※敷金とは「不動産、特に家屋の賃借人が、賃料その他の債務を担保するために、契約成立の際、あらかじめ賃貸人に交付する金銭」(法律学小辞典)(民法第316条・619条)で、保証金と呼ばれることもある。
差入敷金の別名・別称・通称など
敷金
差入敷金は単に敷金と表記されることもある。
法人・個人の別
法人・個人
差入敷金は法人・個人で使用される勘定科目である。
差入敷金の目的・役割・意義・機能・作用など
債務不履行の担保
敷金は債務不履行の担保という目的で支払われる。
そのため、支払った敷金は将来契約が終了した際には原則として返還されるので、資産として計上する必要がある。
差入敷金の具体例
差入敷金と関係する概念
反対概念・対概念
預り敷金
差入敷金とは反対に担保として預かった敷金については預り敷金勘定で処理をする。
類似概念・類義語
差入保証金
差入敷金の決算等における位置づけ等
差入敷金の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 投資その他の資産 > 差入敷金
差入敷金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中
敷金を支払ったときは、差入敷金(または差入保証金)勘定(資産)の借方に記帳して資産計上する。
そして、後日、支払った敷金が返還されたときは、差入敷金勘定の貸方に記帳して減少させる。
なお、敷金は契約の終了時に返還されるのが原則である。
しかし、契約上その一部が返還されない(「明渡時に20%を償却する」などの償却事項が付いている)と規定されている場合もある。
この場合、返還されない部分については、長期前払費用(または権利金)勘定などで処理したのち償却する(償却期間は契約期間か5年間)。
なお、税法上は、繰延資産とされている(→税法独自の繰延資産)。
ただし、法人税法上、返還されない部分が20万円未満であれば、その全額を支出時に支払手数料などの費用勘定を用いて、費用計上(損金経理)することが認められている。
法人税法施行令
(繰延資産となる費用のうち少額のものの損金算入)
第百三十四条 内国法人が、第六十四条第一項第二号(均等償却を行う繰延資産)に掲げる費用を支出する場合において、当該費用のうちその支出する金額が二十万円未満であるものにつき、その支出する日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
期末(決算時)
(貸倒引当金の設定)
差入敷金は回収過程の債権ではないため、貸倒引当金の設定は認められていない。
取引の具体例と仕訳の仕方
敷金の全額が返還される場合(通常の場合)
敷金を支払ったとき
駐車場を賃借することになり、敷金契約により敷金を現金で支払った。
差入敷金 | ✕✕✕✕ | 現金 | ✕✕✕✕ |
敷金が返還されたとき
普通預金 | ✕✕✕✕ | 差入敷金 | ✕✕✕✕ |
敷金の一部が返還されない場合
敷金を差し入れたとき
敷金(保証金):200,000(うち返済されない部分80,000)
礼金 :50,000
前払家賃(2ヶ月分):100,000
前払共益費:10,000
火災保険料(2年分 掛捨):40,000
不動産仲介料:60,000
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
差入敷金 |
120,000
|
現金 |
460,000
|
長期前払費用 |
80,000
|
||
繰延資産 |
50,000
|
||
賃借料 |
110,000
|
||
保険料 |
40,000
|
||
支払手数料 |
60,000
|
保険料については決算時に1年分の前払分を前払費用として繰り延べる必要がある。
差入敷金の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、差入敷金は不課税取引として消費税の課税対象外である。
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