出資
(" 設立―出資 "から複製)
出資とは 【contribution】
出資の定義・意味など
出資(しゅっし)とは、株式・持分等の地位を取得するかたちで法人等に金銭や金銭以外の財産※を給付することをいう。
※会社法では、「現物出資財産」(会社法第207条)という用語が使用されている。
出資の位置づけ・体系(上位概念等)
資本
出資は資金調達の方法のひとつであり、出資が履行されると、その出資額が会社財産を構成するとともに、原則として資本金に計上される(会社法445条1項)
そのため、出資は、借入などの負債による資金調達とは異なり、返済が予定されていない(払い戻されない)。
出資が払い戻されるのは、会社が減資や解散をするときだけである。
なお、資産運用は、負債による資産運用である融資と資本による資産運用である出資に大別される。
会社
会社設立時
会社設立時においては、出資は会社の設立に直接必要な行為となる。
新株発行時
出資の具体例
株式会社の設立
株式の引受け(株式の割当て)
出資は、株式会社の設立においては、発起人や引受人による株式の引受け(=株式の割当て)の段階に相当する。
出資の分類・種類
金銭出資と現物出資
出資は金銭出資と現物出資(会社法では、「金銭以外の財産の出資」と呼ばれている)に大別される。
なお、旧商法では、現物出資は厳格に規制されていて、原則として、その価額が相当(適正)であることの弁護士などによる証明や、裁判所の選任する検査役の検査が必要とされていた。
しかし、会社法では、500万円以下であれば、取締役の調査報告書だけですむようになり、手続きが簡略化された。
そのため、現物出資をして会社を設立する事例も増えてきているという。
出資と関係する概念
出資の履行
出資の履行とは、出資を履行すること=出資金を支払うことをいう。
なお、出資(給付)と出資の履行(給付の履行)とは区別される。
出資金
出資の規制
出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)
出資の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
出資をした側は投資有価証券勘定など、出資を受けた側は資本金勘定などで処理をする。
出資をした側
株式を購入して出資した場合は、投資有価証券勘定、または、関係会社株式勘定(または子会社株式・関連会社株式勘定)や親会社株式勘定(いずれも資産勘定)などで処理をする。
株式以外の信用金庫・信用組合・協同組合などへの出資の場合は、出資金勘定で処理をする。
出資を受けた側
設立の場合
会社法の規定により、会社設立にあたり、株主が払込みをした額=出資金は会社の成立日(会社の設立日。具体的には会社設立の登記申請日)に原則として資本金勘定に計上するが、その1/2を超えない額は資本金として計上しないことができる。
この資本金として計上しないこととした額は株式払込剰余金(または資本準備金)勘定で処理をする。
なお、株式払込剰余金は貸借対照表上は資本準備金として表示する。
会社法
(設立手続等の特則)
第百二条 …
2 設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、第六十三条第一項の規定による払込みを行った設立時発行株式の株主となる。
(資本金の額及び準備金の額)
第四百四十五条 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
…
増資の場合
取引の具体例と仕訳の仕方
出資をした側
投資有価証券(または関連会社株式など) | ×××× | 普通預金 | ×××× |
出資を受けた側
設立時
資本金の計上
(全額を資本に組み入れる場合)
会社設立にあたり、設立登記が完了し、出資金が普通預金に振り込まれた。出資金の全額を資本に組み入れた。
普通預金 | ×××× | 資本金 | ×××× |
(一部を資本に組み入れない場合)
会社設立にあたり、設立登記が完了し、出資金100万円が普通預金に払い込まれた。このうち、1/2は資本に組み入れないこととした。
普通預金 | 1,000,000 | 資本金 | 500,000 |
株式払込剰余金(または資本準備金) | 500,000 |
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