［経済］簿記勘定科目一覧表（用語集）

有価証券利息

有価証券利息とは

有価証券利息の定義・意味など

有価証券利息（ゆうかしょうけんりそく）とは、債券（公債（国債・地方債）・社債といった公社債）から生ずる受取利息を処理する収益勘定をいう。

法人・個人の別

法人

有価証券利息は法人特有の勘定科目である。

なお、個人事業主の場合、受取利息は事業所得ではなく利子所得として取り扱われるため、有価証券利息勘定は用いずに事業主借勘定で処理する。

他の勘定科目との関係

受取利息

有価証券利息についても受取利息勘定で処理する場合がある。

実際、企業会計原則では、特に有価証券利息と受取利息とを区別すべきとする規定はない。

しかし、日商簿記では受取利息とは区別して有価証券利息勘定が使用されており^※、また、後述するように、財務諸表等規則でも貸借対照表の表示科目として受取利息と有価証券利息を区別するべきものとされている（同法90条）。

※『日商簿記３級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、75項など。

受取配当金

簿記上、有価証券として取り扱われるものには、株券と債券とがある。

このうち、株式の配当金は受取配当金勘定で処理をし、債券から生じる利子は有価証券利息勘定で処理をする。

• 株式の配当金 → 受取配当金で処理
• 債券から生じる利子 → 有価証券利息で処理

有価証券利息の範囲・具体例

債券の端数利息

債券の端数利息は、受け取っても支払っても有価証券利息勘定で処理をする。

満期保有目的債券の評価替え

満期保有目的債券を償却原価法により評価替えする場合、満期保有目的債券の帳簿価額を加減することになるが、その相手勘定科目として有価証券利息勘定を用いる（詳細は後述）。

有価証券利息の決算等における位置づけ等

有価証券利息の財務諸表における区分表示と表示科目

損益計算書 ＞ 経常損益の部 ＞営業外損益の部 ＞ 営業外収益 ＞ 有価証券利息

区分表示

営業外収益

有価証券利息は営業外収益に属するものとして表示する。

企業会計原則
（営業外損益）
四　営業外損益は、受取利息及び割引料、有価証券売却益等の営業外収益と支払利息及び割引料、有価証券売却損、有価証券評価損等の営業外費用とに区分して表示する。

表示科目

有価証券利息

前述したように有価証券利息については財務諸表等規則90条で受取利息とは区別して掲記することが定められているので、原則として有価証券利息として表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
（営業外収益の表示方法）
第九十条 　営業外収益に属する収益は、受取利息（有価証券利息を除く。）、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、仕入割引その他の項目の区分に従い、当該収益を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。

有価証券利息の会計・簿記・経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等

公社債の利札の利払日が到来したとき（利子の支払期日が到来したとき）

簿記上、期限到来公社債利札は通貨代用証券として現金として取り扱われる。

したがって、公社債の利札の利払日が到来したときは、現金勘定の借方に記帳して資産計上するとともに、有価証券利息勘定（収益）の貸方に記帳して収益計上する。

つまり、利札の利払日が到来したということは現金を入手したことを意味する。

なお、実際に銀行などに利札を呈示することで利払いを受けたときは、これにより資産が増えるわけではない（「通貨代用証券（＝現金）→ 現金」という取引）ので、仕訳は不要である。

債券の端数利息

利払日以外の日において債券の売買が行われる場合の端数利息についても有価証券利息勘定で処理をする。

満期保有目的債券の評価替え

満期保有目的債券は資産として、決算時において貸借対照表でどのように評価すべきか、という資産の評価基準の問題が発生する。

この点、「金融商品に関する会計基準」（企業会計基準第10号）では、満期保有目的債券は、原則どおり、取得原価主義を適用するものとしている。

ただし、満期保有目的債券を債券金額（額面金額）より低い価額または高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、決算時に償却原価法にもとづいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない（金融商品に関する会計基準第16項）。

その具体的な会計処理は以下のとおりである。

詳細については次のページを参照。

満期保有目的債券の評価替え

「債券金額 ＞ 取得価額」の場合

債権金額が取得価額より高い場合には、その差額を満期保有目的債券勘定（資産）の借方に記帳して増加させるとともに、有価証券利息勘定の貸方に記帳して収益計上する。

「債券金額 ＞ 取得価額」の場合

債権金額が取得価額より低い場合には、その差額を満期保有目的債券勘定（資産）の貸方に記帳して減少させるとともに、有価証券利息勘定の借方に記帳して費用計上する。

取引の具体例と仕訳の仕方

公社債の利札の利払日が到来したとき

所有する国債の利札の利払日が到来した。

借方科目	金額	貸方科目	金額
現金	✕✕✕✕	有価証券利息	✕✕✕✕

利払日以外の日において債券の売買が行われたとき

売主側

借方科目	金額	貸方科目	金額
現金	✕✕✕✕	売買目的有価証券	✕✕✕✕
		有価証券売却損益	✕✕✕✕
		有価証券利息	✕✕✕✕

買主側

借方科目	金額	貸方科目	金額
売買目的有価証券	✕✕✕✕	現金	✕✕✕✕
有価証券利息

満期保有目的債券の評価替え

定額法

「債券金額 ＞ 取得価額」の場合

満期保有目的債券（債券金額100万円）を98万円で取得した。取得時から満期までの期間は1年、決算までの期間は3カ月であった。

借方科目	金額	貸方科目	金額
満期保有目的債券	5千	有価証券利息	5千

「期末時価 ＜ 帳簿価額」の場合

満期保有目的債券（債券金額100万円）を102万円で取得した。取得時から満期までの期間は1年、決算までの期間は3カ月であった。

借方科目	金額	貸方科目	金額
有価証券利息	5千	満期保有目的債券	5千

有価証券利息の税務・税法・税制上の取り扱い

消費税の課税・非課税・免税・不課税（対象外）の区分

非課税取引

消費税法上、有価証券利息は非課税取引にあたり、消費税は課税されない。