［経済］簿記勘定科目一覧表（用語集）

準備金―分類―任意準備金（任意積立金）

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任意積立金とは

任意積立金の定義・意味など

任意積立金（にんいつみたてきん）とは、法律とは関係なく、会社が定款の規定または株主総会の決議により任意に利益の一部を留保する準備金をいう。

会社法
第四百五十二条 　株式会社は、株主総会の決議によって、損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分（前目に定めるもの及び剰余金の配当その他株式会社の財産を処分するものを除く。）をすることができる。

任意積立金の位置づけ・体系（上位概念等）

その他利益剰余金

利益剰余金は利益の留保額（いわゆる内部留保）であり、利益準備金とその他利益剰余金とに大別される。

そして、その他利益剰余金は任意積立金と繰越利益剰余金に大別されるが、このうち任意積立金は、目的を限定した修繕積立金などと目的を限定しない別途積立金とに大別される。

• 利益剰余金
  • 利益準備金
  • その他利益剰余金
    
    • 任意積立金
      • 修繕積立金・配当積立金・役員退職積立金など
      • 別途積立金
    • 繰越利益剰余金

準備金

任意積立金は準備金のひとつである。

なお、準備金は、次の2つがある。

1. 法定準備金
   1. 資本準備金
   2. 利益準備金
2. 任意準備金（任意積立金）

任意積立金の分類・種類

今述べたように、任意積立金には、特定の目的がある目的積立金と特定の目的がない無目的積立金とがある。

なお、勘定科目には任意積立金という科目は存在せず、その具体的名称は、以下に述べるように「配当平均積立金」「役員退職慰労積立金」「別途積立金」などとなる。

目的積立金

目的積立金には、目的の種類に応じて、たとえば、次のようにさまざまなものがある。

• 技術研究積立金…技術研究の設備や費用に充当するために積み立てるもの
• 新築積立金
• 減債積立金
• 事業拡張積立金…今後の事業拡張のための設備や費用に充当するために積み立てるもの
• 設備拡張積立金
• 退職給付積立金…従業員、役員に対する退職金支給に備えるために積み立てるもの
• 役員退職慰労積立金
• 配当平均積立金…業績不振時にも一定の配当水準を維持するために積み立てるもの
• 欠損填補積立金
• 自家保険積立金
• 偶発損失積立金…天災や偶発債務にかかる損失に備えるために積み立てるもの
• 修繕積立金

また、税法（租税特別措置法）上の特例を利用するために設ける積立金としては、たとえば、次のようなものがある。

• 圧縮記帳積立金…国庫補助金などの交付、収用にともなう資産の譲渡等の場合に生じた補助金・譲渡益金を計上するための科目
• 特別償却準備金…租税特別措置法に定める機械、建物、出資金等に対する特別償却の適用を受けるために積み立てられるもの
• 海外投資等損失準備金…租税特別措置法に定める資源開発、資源探鉱にかかる法人の増資引受・株式取得にともなう価格低落などに備えるために積み立てるもの
• 買換資産圧縮積立金…収用、土地区画整理事業、特定資産の買換えなどにともなう課税の延期措置の適用を受けるための積立金

無目的積立金

利用目的を限定せずに利益を留保する別途積立金のことである。

任意積立金の決算等における位置づけ等

任意積立金の財務諸表における区分表示と表示科目

貸借対照表 ＞ 純資産の部 ＞ 株主資本 ＞ 利益剰余金 ＞ その他利益剰余金 ＞ ◯◯

区分表示

その他利益剰余金

前述したように任意積立金はその他利益剰余金に属する。

表示科目

その他利益剰余金のうち、株主総会の決議に基づき設定される任意積立金については、その内容を示す科目（修繕積立金など）で表示し、それ以外は、繰越利益剰余金として表示する。

企業会計基準第5号
貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準
(2) 　利益剰余金は、利益準備金及び利益準備金以外の利益剰余金（以下「その他利益剰余金」という。 ）に区分し、その他利益剰余金のうち、任意積立金のように、株主総会又は取締役会の決議に基づき設定される項目については、その内容を示す科目をもって表示し、それ以外については繰越利益剰余金にて表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
（利益剰余金の区分表示）
第六十五条 　利益剰余金に属する剰余金は、次に掲げる項目の区分に従い、当該剰余金を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
一 　利益準備金
二 　その他利益剰余金
…
３ 　その他利益剰余金は、株主総会又は取締役会の決議に基づく設定目的を示す科目又は繰越利益剰余金の科目をもつて掲記しなければならない。

任意積立金の会計・簿記・経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等

前述したように、任意積立金を処理するための勘定科目としての任意積立金勘定は存在せず、その内容を示す配当平均積立金、役員退職慰労積立金、別途積立金勘定などを使用する。

また、これらの積立金勘定の相手方科目として、繰越利益剰余金勘定を使用する。

任意積立金の取崩し

次のページを参照

任意積立金の取り崩しの取り扱い

取引の具体例と仕訳の仕方

任意積立金の積立ての場合

借方科目	金額	貸方科目	金額
繰越利益剰余金	××××	別途積立金など	××××

任意積立金の取崩しの場合

借方科目	金額	貸方科目	金額
別途積立金など	××××	繰越利益剰余金	××××

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