社債―決算整理事項―①社債の評価替え―償却原価法
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償却原価法とは
償却原価法の定義・意味など
償却原価法(しょうきゃくげんかほう)とは、金融資産または金融負債を債権額または債務額と異なる金額で計上した場合において、当該差額に相当する金額を弁済期または償還期に至るまで毎期一定の方法で取得価額に加減する方法をいう。
なお、この加減額は受取利息または支払利息に含めて処理し、損益計算書上に計上されることになる。
企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準注記
(注5) 償却原価法について
償却原価法とは、金融資産又は金融負債を債権額又は債務額と異なる金額で計上した場合において、当該差額に相当する金額を弁済期又は償還期に至るまで毎期一定の方法で取得価額に加減する方法をいう。なお、この場合、当該加減額を受取利息又は支払利息に含めて処理する。
償却原価法の位置づけ・体系(上位概念等)
金融資産・金融負債の評価基準
評価替え
金融資産は資産として、そして、金融負債は負債として、決算時において貸借対照表でどう評価すべきか、という資産・負債の評価基準の問題が発生する。
この点、金融資産はその取得価額、そして、金融負債はその債務額をもって貸借対照表価額とするのが原則である。
ただし、金融資産の取得価額等と債権金額が異なる場合、または、金融負債の債務額と額面金額が異なる場合、その差額の性格が金利の調整と認められるときは、これを損益計算書に反映させる必要があるため、例外的に償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とする方法により評価替えを行う。
なお、償却原価法は評価替えのひとつの方法ではあるが、当然のことながら時価主義とは異なる。
償却原価法の適用対象
「金融商品に係る会計基準」では、次のような金融資産・金融負債が償却原価法の適用対象とされている。
(金融資産)
企業会計基準第10号 金融商品に係る会計基準
1.債 権
14. 受取手形、売掛金、貸付金その他の債権の貸借対照表価額は、取得価額から貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額とする。ただし、債権を債権金額より低い価 額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債権金額との差額の性格が金利の調整 と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額から貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額としなければならない。
…
2.有価証券
(2)満期保有目的の債券
16. 満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い 価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない 。
企業会計基準第10号 金融商品に係る会計基準
5.金銭債務
26. 支払手形、買掛金、借入金、社債その他の債務は、債務額をもって貸借対照表価額とする。 ただし、社債を社債金額よりも低い価額又は高い価額で発行した場合など、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には、償却原価法に基づいて算定された価額をもって、貸借対照表価額としなければならない。
償却原価法の計算方法
利息法・定額法
会計上は原則として利息法によるものとするが、継続適用を条件として、簡便法である定額法を採用することができるとされている。
会計制度委員会報告第14号 金融商品会計に関する実務指針
償却原価法は、…利息法と定額法の二つの方法がある。原則として利息法によるものとするが、継続適用を条件として、簡便法である定額法を採用することができる。
法人税法施行令
(償還有価証券の調整差益又は調整差損の益金又は損金算入)
第百三十九条の二 …
2 前項に規定する調整差益とは、内国法人が当該事業年度終了の時において有する償還有価証券…の当期末額面合計額…がその償還有価証券の当期末調整前帳簿価額…を超える場合のその超える部分の金額に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める割合を乗じて計算した金額をいい、前項に規定する調整差損とは、その償還有価証券の当期末調整前帳簿価額がその償還有価証券の当期末額面合計額を超える場合のその超える部分の金額に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める割合を乗じて計算した金額をいう。
一 当期末額面合計額が前期末額面合計額…を超える場合 次に掲げる割合を合計した割合
イ その当期末額面合計額からその前期末額面合計額を控除した金額をその当期末額面合計額で除して計算した割合に取得後日数割合…をその当期保有日数に当該事業年度の翌事業年度開始の日からその償還有価証券の償還日までの期間の日数…を乗じて計算した割合
ロ その前期末額面合計額をその当期末額面合計額で除して計算した割合に当期日数割合…を乗じて計算した割合
二 当期末額面合計額が前期末額面合計額以下の場合 当期日数割合
したがって、利息法を採用した場合には確定申告の際に申告調整(税務調整)が必要になる。
取引の具体例と仕訳の仕方
満期保有目的債券の評価替え
定額法
満期保有目的債券(債券金額100万円)を98万円で取得した。取得時から満期までの期間は1年、決算までの期間は3カ月であった。
満期保有目的債券 | 5千 | 有価証券利息 | 5千 |
満期保有目的債券(債券金額100万円)を102万円で取得した。取得時から満期までの期間は1年、決算までの期間は3カ月であった。
有価証券利息 | 5千 | 満期保有目的債券 | 5千 |
社債の評価替え
社債利息 | ✕✕✕✕ | 社債 | ✕✕✕✕ |
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