減資
(" 資本金の額の減少(資本金の減少・減資・資本の減少・資本減少) "から複製)
資本金の額の減少とは
資本金の額の減少の定義・意味など
資本金の額の減少とは、株式会社の資本金の額を減少することをいう。
100パーセントの減少も可能である。
会社法
(資本金の額の減少)
第四百四十七条 株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する資本金の額
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
2 前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。
資本金の額の減少の別名・別称・通称など
資本金の減少・減資・資本の減少・資本減少
資本金の額の減少は旧商法下では資本の減少(資本減少)と呼ばれていたが、会社法の条文では「資本金の額の減少」という用語になった。
これは資本の減少が会社財産の払戻しや株式数の減少(株式併合と株式消却)の実施の有無の問題とは切り離され、単に「額」(数字)だけを減少するものと定義されたからである(会社法447条)。
なお、一般には資本金の減少(しほんきんのげんしょう)、または、減資(げんし)などと呼ばれる。
資本金の額の減少と関係する概念
会社財産の減少・株式数の減少
資本金の額の減少と会社財産の減少・株式数の減少との関係
旧商法では、減資は、単に資本金の額を減少させるという意味だけでなく、会社財産の払戻しや株式数の減少という意味も担わされていた。
しかし、会社法では、減資は、会社財産の払戻しや株式数の減少(株式併合と株式消却)の実施の有無の問題とは切り離された。
つまり、単に減資の手続きを行っただけでは、無償減資となり、また、株式数も変わらない。
有償増資をするには、減資手続きとあわせて、別途剰余金の配当などを行って会社財産を払い戻す必要がある。
また、株式数を減少させるには、やはり減資手続きとあわせて、別途、株式の併合や自己株式の取得・自己株式の消却を行う必要がある。
無償減資 | 減資 | ・減資+株式の併合 ・減資+自己株式の無償取得+自己株式の消却 |
---|---|---|
有償減資 | 減資+剰余金の配当 | ・減資+剰余金の配当+株式の併合 ・減資+自己株式の有償取得+自己株式の消却 |
租税調査会研究報告第7号(日本公認会計士協会)
自己株式等の資本取引に係る税制について
会社法においては、株主に対する会社財産の払戻しは「剰余金の配当等(会 453 、454 )」とされ、発行済株式数の減少は株主の持株数に応じて減少及び消却する場合 は「株式の併合(会 180 )」となり、株主の持株数に応じない消却の場合は「自己株式の取得(会 155 、156 )と消却(会 178 )」として資本金の額の減少とは別個に取り扱われている。
資本金の額の減少の分類・種類(資本金の額の減少の方法)
会社財産の減少との関係
旧商法では、減資は会社財産の減少(会社財産の払戻し・出資の払戻し)の有無により、次の2つに大別されていた。
しかし、前述したように、会社法では、減資は単に「額」(数字)だけを減少するものと定義されたので、会社法上の減資は旧商法の無償減資を意味する。
なお、旧商法の有償減資は会社法では資本金の額の減少+剰余金の配当となる(後述)。
株式数の減少との関係
旧商法では、減資は株式数の減少の有無により、次の2つに大別されていた。
※株式数を減少するには、株式併合と株式消却との2つの方法がある。
しかし、前述したように、会社法では株式数の減少による減資は廃止されたので、旧商法の株式数を減少させる減資は会社法では資本金額の額の減少+株式の併合または自己株式の取得・自己株式の消却となる。
資本金の額の減少の目的・役割・意義・機能・作用など(資本金の額の減少の方法)
資本金の額の減少は次の目的のために行われる(資本金の額の減少の方法としては次のようなものがある)。
1.資本の欠損のてん補
単に資本金の額を減少して、繰越利益剰余金(貸借対照表上の純資産の部)がマイナス(つまり、会社経営が赤字)になっているために生じた欠損金を資本金でてん補する(旧商法の無償減資に相当)。
2.資本準備金の増加
資本金の額の減少を資本準備金の増加にあてる(会社法447条1項2号)。
会社法
(資本金の額の減少)
第四百四十七条 株式会社は、資本金の額を減少することができる。…
…
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
…
3.剰余金の配当
会社経営は黒字だが、事業の縮小整理などのために株主に会社財産の一部を払い戻すために、資本金の額の減少を剰余金の配当にあてる(同法446条3号)(旧商法の有償減資に相当)。
なお、会社法は、資本金の減少に伴う払戻しについても、剰余金の配当として位置づけている(会社法446条)。
会社法
第四百四十六条 株式会社の剰余金の額は、第一号から第四号までに掲げる額の合計額から第五号から第七号までに掲げる額の合計額を減じて得た額とする。
…
三 最終事業年度の末日後に資本金の額の減少をした場合における当該減少額(次条第一項第二号の額を除く。)
…
4.株式数の減少
前述したように、会社法では、資本金の額の減少と株式数の減少とは別個に取り扱われるようになったので、減資とともに株式数を減少するには、資本金の額の減少にあわせて株式の併合または自己株式の取得・自己株式の消却を行う方法による。
資本金の額の減少の位置づけ・体系(上位概念等)
資本不変の原則
そのため、資本金の額の減少には厳格な手続きが必要とされている。
資本金の額の減少の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
資本の欠損のてん補
資本金の額を減少して(資本金を取り崩して)欠損をてん補した場合は、資本金の減少分を資本金勘定の借方に記帳するとともに、繰越利益剰余金勘定の貸方に記帳する。
資本金の額の減少によって生ずる剰余金
資本金を減少して資本の欠損のてん補にあてたが剰余金が生じたときは、資本金の減少分を資本金勘定の借方に記帳するとともに、てん補分を繰越利益剰余金勘定の貸方に、そして、剰余金の額を資本金及び資本準備金減少差益(または資本金減少差益(減資差益)・その他資本剰余金)勘定の貸方に記帳して、その他資本剰余金に計上する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金
20. 資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金は、減少の法的効力が発生したとき(会社法第447条から第449条)に、その他資本剰余金に計上する。
取引の具体例と仕訳の仕方
資本の欠損のてん補
資本金の額を減少して(資本金を取り崩して)欠損をてん補した。
資本金 | ×××× | 繰越利益剰余金 | ×××× |
資本金の額の減少によって生ずる剰余金
欠損800万円が生じているので、資本金のうち1000万円を減少し(資本金1000万円を取り崩して)、欠損をてん補した。
資本金 | 1000万円 | 繰越利益剰余金 | 800万円 |
資本金減少差益(または減資差益・資本金及び資本準備金減少差益・その他資本剰余金) | 200万円 |
剰余金の配当(有償増資)
資本金のうち1000万円を減少し、剰余金の配当800万円を行った。
資本金 | 1000万円 | 現金預金 | 800万円 |
資本金減少差益(または減資差益・資本金及び資本準備金減少差益・その他資本剰余金) | 200万円 |
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