建物付属設備(建物附属設備・付属設備・附属設備)
建物付属設備とは
建物付属設備の定義・意味など
建物付属設備(たてものふぞくせつび)とは、建物と一体となって機能する※建築設備の購入に要した費用を処理する資産勘定をいう。
※岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、77項。
法人・個人の別
法人・個人
建物付属設備は法人・個人で使用する勘定科目である。
建物付属設備の別名・別称・通称など
建物附属設備・付属設備・附属設備
建物付属設備は建物附属設備と表記されたり、または、付属設備(附属設備)という用語が使用される場合もある。
建物付属設備の範囲・具体例
建物付属設備勘定で処理をするものとしては、たとえば、次のようなものがある。
建築設備
- 給排水衛生設備
- ボイラー設備
- ガス設備
- 電気設備
- 照明設備
- 通信設備
- 空気調和設備(空調設備・冷暖房設備・エアコン)
- 換気設備(通風設備)
- 消火設備・災害報知設備
- 搬送設備(エレベーター・エスカレーターなど)
- ドアー自動開閉設備(自動ドア)
- その他
看板
建物と一体となっている看板は、建物付属設備勘定で処理をする。
他の勘定科目との関係
消耗品費
税法(法人税法・所得税法)により、取得価額が10万円未満の建築設備は少額減価償却資産として、取得時に取得価額の全額を必要経費または損金に算入することが認められている(→少額減価償却資産の即時償却(一時償却))。
さらに、租税特別措置法の特例により、青色申告者である中小事業者・中小企業者等の場合は、取得価額30万円未満の建築設備についても、その取得価額の全額を必要経費または損金に算入することが認められている(→少額減価償却資産の即時償却(一時償却)の特例)。
会計実務は税法上の処理にしたがうことが多いので、これらに該当する場合は、資産計上せずに消耗品費などの費用勘定の借方に記帳して費用処理をする。
なお、一括償却資産として、3年間で均等償却することもできる(→一括償却資産の3年均等償却)。
工具器具備品(器具備品)
建築設備は工具器具備品(器具備品)勘定等を使用して資産計上し、減価償却をする処理も考えられる。
ただし、工具器具備品(器具備品)と建物付属設備のどちらで処理をするかにより、耐用年数が異なってくる。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表
どちらで処理をするにせよ、最終的にはその全額を必要経費または損金に算入することができるが、工具器具備品(器具備品)として処理をしたほうが償却期間が短く、かつ、初年度の償却費も大きくなる。
つまり、工具器具備品(器具備品)勘定で処理をするほうが会計上は有利になる。
そこで、その判断基準が問題になるが、この点、たとえば、冷暖房設備等については、「耐用年数の適用等に関する取扱通達」では、冷却装置、冷風装置等が一つのキャビネットに組み合わされたパッケージドタイプのエアーコンディショナーであっても、ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するものは、「器具及び備品」に掲げる「冷房用機器」に該当せず、「建物附属設備」の冷房設備に該当する
としている。
耐用年数の適用等に関する取扱通達
(冷房、暖房、通風又はボイラー設備)
2-2-4 別表第一の「建物附属設備」に掲げる「冷房、暖房、通風又はボイラー設備」の範囲については、次による。
(1) 冷却装置、冷風装置等が一つのキャビネットに組み合わされたパッケージドタイプのエアーコンディショナーであっても、ダクトを通じて相当広範囲にわたって冷房するものは、「器具及び備品」に掲げる「冷房用機器」に該当せず、「建物附属設備」の冷房設備に該当することに留意する。
…
建物
しかし、建築設備の耐用年数は建物より短く、交換・除却も予想されるので、建物付属設備勘定で処理をしたほうがよい。
「耐用年数の適用等に関する取扱通達」でも、建物の附属設備は、原則として建物本体と区分して耐用年数を適用する
とある。
ただし、木造、合成樹脂造り、木骨モルタル造りの建物の附属設備については、建物と一括して建物の耐用年数を適用することができる。
耐用年数の適用等に関する取扱通達
(木造建物の特例)
2-2-1 建物の附属設備は、原則として建物本体と区分して耐用年数を適用するのであるが、木造、合成樹脂造り又は木骨モルタル造りの建物の附属設備については、建物と一括して建物の耐用年数を適用することができる。
建物付属設備勘定の決算等における位置づけ等
建物付属設備の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 有形固定資産 > 建物付属設備
建物付属設備の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
取得原価主義の適用
建物付属設備の評価基準については、原則どおり、取得原価主義が適用される。
取得原価(取得価額)の決定方法
取得原価(取得価額)の決定方法としては、建物付属設備の購入代金のほか、取付費用など購入に要したすべての付随費用を計上する。
減価償却
建物付属設備は、原則として、その後耐用年数にわたって毎決算期に定額法や定率法などの償却方法による減価償却により費用処理していく必要がある。
詳細については次のページを参照。
なお、取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかについては納税者の経理方式による。
すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定する。
No.2100 減価償却のあらまし|所得税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2100.htm
耐用年数
減価償却費の計算基礎となる建物付属設備の耐用年数については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一で設備の種類ごとに規定されている。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40F03401000015.html
取引の具体例と仕訳の仕方
電気設備(通信設備・消防設備等)の工事を行い、代金を銀行振込で支払った。
建物付属設備 | ×××× | 普通預金 | ×××× |
建物付属設備の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引
消費税法上、建物付属設備は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となる。
税務調査
税務調査に備えて、次のような点に注意しておくこと。
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