仮払金
仮払金とは
仮払金の定義・意味など
仮払金(かりばらいきん)とは、勘定科目(取引の内容)や金額が未確定な金銭を仮払いした場合に、それらが確定するまで一時的に使用する仮勘定をいう。
参考:『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、129項。
仮払金の科目属性
資産
仮払金は後日金銭やサービスの提供を受けることができる権利を表すので、資産である。
法人・個人の別
法人・個人
仮払金は法人・個人で使用される勘定科目である。
仮払金の範囲・具体例
仮払金勘定は従業員が出張する際の旅費交通費や交際費などを概算払いした場合に用いられることが多い。
たとえば、従業員が出張する場合、出張先でどの経費がどれだけかかるか前もって正確にはわからないので、とりあえず概算払いをして仮払金で処理をし、出張から戻った時点で仮払金を清算して旅費交通費や交際費などの本来の勘定科目へ振り替える。
その他、仮払金勘定で処理をするものとしては次のようなものがある。
ICカード(電子マネー・プリペイドカード)
仮払金の位置づけ・体系(上位概念等)
仮勘定
仮払金は仮勘定のひとつである。
仮勘定には次のようなものがある。
- 仮払金…お金を支払ったがその内容が不明のため使用すべき勘定科目等が未確定の場合に使用する(資産)
- 仮受金…お金を受け取ったがその内容が不明のため使用すべき勘定科目等が未確定の場合に使用する(負債)
- 建設仮勘定
他の勘定科目との関係
前払金
前払金も一時的な処理をするための勘定科目であるが、仮払金とは異なり、支払いの内容が明確な場合に使用される。
仮払金の決算等における位置づけ等
仮払金の財務諸表における区分表示と表示科目
区分表示
流動資産
仮払金は一時的な仮の勘定なので、決算時までには本来の勘定科目に振り替えることが望ましい。
ただし、未精算のまま残ったものがある場合には、貸借対照表に流動資産に属するものとして表示する。
企業会計原則注解
〔注16〕流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、…
表示科目
◯◯仮払金
仮払金を貸借対照表に表示するには、◯◯仮払金(または◯◯仮)など、その性質を示す適当な科目で表示する。
企業会計原則
(一)資産
…。仮払金、未決算等の勘定を貸借対照表に記載するには、その性質を示す適当な科目で表示しなければならない。
ただし、その金額が資産の総額の5%以下のものについてはその他流動資産として一括して記載することもできる。
実務上も独立科目とはせずに、他の少額の流動資産に含めてその他流動資産として表示する場合が多い。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第十九条 第十七条第一項第十三号に掲げる項目に属する資産のうち、未収収益、短期貸付金(金融手形を含む。)、株主、役員若しくは従業員に対する短期債権又はその他の資産で、その金額が資産の総額の百分の五を超えるものについては、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
仮払金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
仮払金
勘定科目(取引の内容)や金額が未確定な金銭を仮払いしたときは、仮払金勘定の借方に記帳する。
そして、勘定科目や金額が確定したときの、仮払金勘定の貸方に記帳して確定した本来の勘定科目に振り替える。
仮払金の管理
仮払金は必ず精算する必要があるので、月末や決算前などで定期的に精算すべきである。
そこで、仮払金の清算状況などについて、たとえば、次のような管理表などを用いて別途管理をする必要がある。
仮払金管理表(管理台帳)01(エクセル Excel) - ビジネス文書・手紙・はがきテンプレート(書式・様式・書き方)の無料ダウンロード
なお、仮払金の申請書や清算書の書式・様式については、次のページなどにある。
仮払金清算書01(エクセル Excel) - ビジネス文書・手紙・はがきテンプレート(書式・様式・書き方)の無料ダウンロード
仮払金の注意点・注意事項
仮払金は、あくまで一時的な仮勘定であり、仮払金の清算が遅れることで、費用が期間損益計算に正しく反映されないこともある。
このため、できる限り決算時には仮払金の清算をすませ残高がなくなるようにする必要がある。
また、支出目的が明らかであっても、実務上仮払金として処理されている場合もあり、仮払金は貸付金と同様に、使途不明金(粉飾決算)の温床となりやすい。
そこで、仮払金の残高に注意し、不正な支出がされていないかを監視する必要がある。
取引の具体例と仕訳の仕方
仮払いをしたとき
仮払金 | 10万 | 現金 | 10万 |
清算をしたとき
従業員が出張から戻り、仮払金を精算した。内訳は旅費交通費5万円、交際費3万円で余剰は2万円であった
旅費交通費 | 5万 | 仮払金 | 10万 |
交際費 | 3万 | ||
現金 | 2万 |
仮払金の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
仮払金自体の支払いは、消費税の対象外である。
そして、精算時に取引の内容(勘定科目)に応じて消費税の課税対象となる(仕入税額控除の対象となる)。
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 31 ページ]
- 預け金
- 受取融通手形
- 営業外受取手形
- 火災未決算
- 貸付金(役員貸付金・従業員貸付金)
- 仮払金
- 仮払消費税等(仮払消費税)
- 繰延税金資産
- 繰延税金資産―計上の要件―回収可能性
- 差入保証金(保証金)
- 支払手付金
- 従業員立替金
- 受託販売
- 立替金
- 他店商品券
- 短期貸付金
- 手形貸付金
- 前払金(前渡金)
- 前払費用(前払経費)
- 前払保険料
- 前払地代家賃(前払家賃・前払地代)
- 前払利息
- 未決算
- 未収金(未収入金)
- 未収収益
- 未収消費税等(未収消費税・未収還付消費税等・未収還付消費税)
- 未収地代家賃(未収家賃・未収地代)
- 未収手数料
- 未収利息
- 未収法人税等(未収法人税・未収還付法人税等・未収還付法人税)
- 役員立替金
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ
- ホーム
- 勘定科目一覧(一般)
- 資産―現金・預金
- 資産―売上債権
- 資産―有価証券
- 資産―棚卸資産
- 資産―他流動資産(五十音順)
- 資産―有形固定資産
- 資産―無形固定資産
- 資産―投資その他の資産―資本参加を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―長期利殖を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―その他の長期性資産(五十音順)
- 資産―繰延資産
- 負債―仕入債務
- 負債―他流動負債(五十音順)
- 負債―固定負債
- 負債―評価勘定
- 純資産―株主資本―資本金
- 純資産―株主資本―資本剰余金
- 純資産―株主資本―利益剰余金
- 純資産―株主資本―自己株式
- 純資産―評価・換算差額等
- 純資産―新株予約権
- 収益―営業収益―売上高
- 費用―売上原価
- 収益―営業収益―商品売買益
- 費用―販売管理費―あ行
- 費用―販売管理費―か行
- 費用―販売管理費―さ行(さ-じむ)
- 費用―販売管理費―さ行(しゃ-せき)
- 費用―販売管理費―さ行(接待交際費)
- 費用―販売管理費―さ行(せんーそ)
- 費用―販売管理費―た行
- 費用―販売管理費―な行
- 費用―販売管理費―は行
- 費用―販売管理費―ま行
- 費用―販売管理費―や行
- 費用―販売管理費―ら行
- 収益―営業外収益(五十音順)
- 費用―営業外費用(五十音順)
- 費用―営業外費用―繰延資産の償却費
- 収益―特別利益
- 費用―特別損失
- その他―事業主勘定
- その他―備忘勘定(対照勘定)
- 決算整理で用いる独自の勘定科目
- 差引損益計算で用いる独自の勘定科目
- 帳簿決算で用いる独自の勘定科目
- 勘定科目一覧(一般)