積送諸掛
積送諸掛とは
積送諸掛の定義・意味など
積送諸掛(せきそうしょがかり)とは、委託販売における積送諸掛(発送諸掛と販売諸掛)を処理する費用勘定をいう。
積送諸掛の範囲・具体例
発送諸掛
積送諸掛は発送諸掛と販売諸掛で構成されるが、発送諸掛についてはこれを積送品原価と考えて積送品勘定に含めて処理※したほうが合理的(資産の取得原価に購入代金のほか、すべての付随費用を計上する会計処理と同じ)かつ簡易である。
※『日商簿記2級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、45項など。
他の勘定科目との関係
支払手数料
積送諸掛勘定を特に設けずに、一般的な勘定科目である支払手数料勘定を用いる場合もある。
積送諸掛の決算等における位置づけ等
積送諸掛の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 積送諸掛
積送諸掛の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
収益の認識基準(計上時期・期間帰属)
実現主義
(販売基準)
特殊商品売買による売上収益にも原則どおり実現主義が適用される。
ただし、特殊商品売買の場合には、一般商品売買の場合以上に、実現主義の考え方が強く要請される。
そこで、企業会計原則注解では、委託販売による売上収益の具体的な実現の基準として、原則として受託者が委託品を販売した日と定めている(受託者販売日基準)。
ただし、仕切精算書が販売のつど送付されている場合には、当該仕切精算書が到達した日をもって売上収益の実現の日とみなすことができる(仕切精算書到達日基準)。
なお、簿記2級の学習上では、仕切精算書到達日基準が一般的である。
『日商簿記2級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、49項。
企業会計原則注解
〔注6〕実現主義の適用について(損益計算書原則三のB)
委託販売、試用販売、予約販売、割賦販売等特殊な販売契約による売上収益の実現の基準は、次によるものとする。
(1) 委託販売
委託販売については、受託者が委託品を販売した日をもって売上収益の実現の日とする。従って、決算手続中に仕切精算書(売上計算書)が到達すること等により決算日までに販売された事実が明らかとなったものについては、これを当期の売上収益に計上しなければならない。ただし、仕切精算書が販売のつど送付されている場合には、当該仕切精算書が到達した日をもって売上収益の実現の日とみなすことができる。
使用する勘定科目・記帳の仕方等
仕切精算書を受け取ったときに収益計上する場合
仕切精算書を受け取ったときに収益計上する場合(仕切精算書到達日基準)、仕切精算書により委託販売にかかる収益と費用が確定することになる。
そこで、委託者は仕切精算書を受け取ったときは、総額主義にもとづき、以下の会計処理を行う。
以下、 『日商簿記2級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、49項参考。
①収益の計上
仕切精算書に記載されている売上高については、通常は一般の売上と区別するため、積送品売上勘定(収益)の貸方に記帳して収益計上する。
②費用の計上
仕切精算書に記載されている受託者が立替払いした諸費用や受託者が受け取る販売手数料については、積送諸掛(または支払手数料)勘定(費用)の借方に記帳して費用計上する。
上記の収益から費用を差し引いた手取額(委託者の利益)については、まだ受け取っていないため、積送売掛金(積送未収金または委託販売)勘定の借方に記帳して資産計上する。
④売上原価の計上
売上原価を仕入勘定で算定するため、積送品売上にかかる原価を積送品勘定から仕入勘定に振り替える(手許商品区分法/その都度法)。
取引の具体例と仕訳の仕方
委託販売にかかる収益を計上したとき(委託者が仕切精算書(売上計算書)を受け取ったときなど)
受託者から仕切精算書の送付を受けた。これによれば売上高15万円、諸掛(諸費用と販売手数料)3万円、差引手取額12万円であった。なお、積送品売上にかかる売上原価は10万1千円(原価10万円・積送運賃1千円)でこれを仕入勘定に振り替える(その都度法)。
積送諸掛 | 3万 | 積送品売上 | 15万 |
積送売掛金 | 12万 | ||
仕入 | 10万1千 | 積送品 | 10万1千 |
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