修繕費
修繕費とは
修繕費の定義・意味など
修繕費(しゅうぜんひ)とは、固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、または、毀損(きそん)した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額を処理するための費用勘定をいう。
所得税基本通達
(修繕費に含まれる費用)
37-11 業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又は災害等によりき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額(当該金額に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項《資産損失の必要経費算入》又は第72条《雑損控除》の規定の適用を受けている場合には、当該金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)が修繕費となる…
法人税基本通達
(修繕費に含まれる費用)
7-8-2 法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。
法人・個人の別
法人・個人
修繕費は法人・個人で使用される勘定科目である。
修繕費の注意点・注意事項
資本的支出と収益的支出
税務会計上、資本的支出と収益的支出という、修繕費に関係する2つの概念があるので、注意を要する。
資本的支出
固定資産の修理等にかかる支出であっても、これにより資産の耐用年数が延びたり、性能が高まったりして、その資産価値が増加する場合には、資本的支出として、固定資産の取得価額に加算する(つまり、資産計上する必要があるということ)。
収益的支出
資本的支出に対して、修繕費として費用処理される支出のことを収益的支出という。
修繕費の範囲・具体例
修繕費の範囲
収益的支出として修繕費勘定で費用計上できるか、資本的支出として資産計上する必要があるかの区分判定が難しい場合がある。
そこで、税法上は、形式基準として、以下のような場合には、修繕費に該当することを認めている(詳細については資本的支出と収益的支出の区別基準を参考)。
修繕費の具体歴
修繕費として処理をするものは、具体的には固定資産の修理・保守(定期点検・保守点検)・清掃に要する、以下のような費用である。
修繕費と関係する概念
類似概念・類義語
管理費
修繕費の決算等における位置づけ等
修繕費の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業損益の部 > 販売費及び一般管理費 > 修繕費
区分表示
販売費及び一般管理費
修繕費は販売費及び一般管理費に属するものとして表示する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(販売費及び一般管理費の範囲)
第八十四条 会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。
金融庁総務企画局 『「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)』
84 規則第84条に規定する販売費及び一般管理費に属する費用とは、会社の販売及び一般管理業務に関して発生した費用例えば販売手数料、荷造費、運搬費、広告宣伝費、見本費、 保管費、納入試験費、販売及び一般管理業務に従事する役員、従業員の給料、賃金、手当、 賞与、福利厚生費並びに販売及び一般管理部門関係の交際費、旅費、交通費、通信費、光熱費及び消耗品費、租税公課、減価償却費、修繕費、保険料、不動産賃借料及びのれんの償却額をいう。
修繕費勘定の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
修繕費を支出したときは、修繕費勘定の借方に記帳して費用計上する。
修繕引当金を設定している場合
修繕費を支出したとき、修繕引当金を設定している場合には、まず、その修繕に対して設定された修繕引当金勘定を取り崩す。
そして、修繕費が修繕引当金の金額を越える場合には、その越える部分の金額を修繕費勘定で処理する。
取引の具体例と仕訳の仕方
固定資産の修理・改良等のために支出したとき
車検
(車検費用の内訳)
基本料金(代車費用含む) 15,000円
自賠責 24,000円
自動車重量税 10,000円
印紙代 1,100円
消費税 750円
自動車重量税と印紙代は租税公課、自賠責は保険料を使用するのが一般。
また、消費税については、修繕費用は課税取引となるが、自動車重量税や印紙代は不課税、自賠責保険は非課税取引となる。
なお、車検時にリサイクル料金を支払ってリサイクル券を発行してもらった場合には、費用勘定ではなく、リサイクル預託金など資産勘定に計上しなければならない。
当該車両を処分するまでリサイクル料金を貸借対照表に計上し続けることになる。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
修繕費 |
15,000
|
現金 |
50,850
|
租税公課 |
11,100
|
||
保険料 |
24,000
|
||
仮払消費税 |
750
|
毀損した固定資産の原状を回復するために支出したとき
屋根の修理
台風により毀損した屋根の修理をし、その代金を銀行振込により支払った。
修繕費 | ✕✕✕✕ | 普通預金 | ✕✕✕✕ |
修繕引当金を設定している場合
修繕引当金(50万円)を設定されている建物の修繕を行い、修繕費60万円を銀行振込で支払った。
修繕引当金 | 50万 | 普通預金 | 60万 |
修繕費 | 10万 |
修繕費の税務・税法・税制上の取り扱い
必要経費算入(所得税法)・損金算入(法人税法)の可否
収益的支出と資本的支出との区別
ただし、修理等に要した費用をすべて必要経費または損金として処理できるとは限らず、資本的支出に該当する場合には資産計上したうえ減価償却費として長期間にわたり少しずつ費用処理していく必要がある(減価償却の方法により各年分の必要経費・損金に算入する)。
しかし、実務では修繕費=収益的支出と資本的支出との区別の判断が困難な場合もある。
そこで、収益的支出か資本的支出かが明らかでない場合は、税法上の形式基準によって判定する(→資本的支出と収益的支出の区別基準)。
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引
消費税法上、修繕費は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となる。
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