[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


未収収益


(" 貸借対照表―資産―流動資産―その他流動資産―未収収益 "から複製)

未収収益とは 【accrued revenue

未収収益の定義・意味など

未収収益(みしゅうしゅうえき)とは、貸借対照表流動資産に属する表示科目として、通常の営業取引ではないが、一定の契約にしたがって継続して役務サービス)の提供を行う場合、すでに提供した役務に対して、いまだその対価の支払を受けていないものをいう。

なお、後述するように、勘定科目として用いることもできる。

企業会計原則
〔注5〕経過勘定項目について
(4) 未収収益
未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。

法人・個人の別

法人・個人

未収収益は法人・個人で使用される表示科目勘定科目である。

未収収益会計基準制度会計

企業会計原則会社計算規則財務諸表等規則

未収収益については、企業会計原則会社計算規則財務諸表等規則で定められている。

未収収益の位置づけ・体系(上位概念等)

貸借対照表表示科目

未収収益貸借対照表表示科目のひとつである。

通常、個別的に未収地代家賃未収利息未収手数料などの勘定科目資産)で処理されるが、貸借対照表ではこれらが未収収益というひとつの表示科目にまとめられる。

経過勘定項目

未収収益経過勘定項目経過勘定等)のひとつである。

経過勘定項目とは、費用収益対応の原則から(後述)、現金の収支の時期と損益計算上の損益認識の時期のずれを処理するための勘定科目貸借対照表科目)をいう。

この経過勘定項目には、未収収益も含めて、次の4つがある。

  1. 前払費用
  2. 前受収益
  3. 未払費用
  4. 未収収益

未収収益の目的・役割・意義・機能・作用など

費用収益対応の原則
収益の見越

当期の収益として計上すべきであるが、次期以降にその受取りを行うため、当期の収益として計上されていない場合がある。

この場合、費用収益対応の原則から、決算整理事項のひとつとして、当期に計上すべき収益を、次期以降に受け取ることを見越して当期の収益に計上する会計処理=収益の見越が行われる。

未収地代家賃などの未収収益はこの収益の見越で用いられる資産勘定である。

参考:『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、253項。

未収収益の範囲・具体例

未収収益の範囲
費用の繰延との関係

保守主主義の原則から、収益の見越の計上は費用の繰延の計上より限定して行われるべきである。

すなわち、収益の見越の計上は原則として次のような場合に認められる。

  1. 契約により、継続的な役務提供を行うことが明らかであること
  2. 時の経過に伴って、すでに役務が提供され、収益が発生していること
  3. 支払期日が未到来なだけで、入金は確実であること

営業外収益未収

未収収益は、継続的な役務の提供に関わるものと定義されるが、実務上は、これにこだわらず、広く当期の営業外収益未収分を処理するためにも用いられている。

未収収益の具体例

未収収益に該当するものとしては、具体的には次のようなものがある。

他の勘定科目との関係

売掛金

売掛金は、通常の営業取引から生じた商品売買未収金を管理するための勘定科目である。

未収入金

未収収益未収入金はともに通常の営業活動以外の取引から生じた未回収額である。

両者の違いは、未収収益はまだ支払期日が到来していない未確定債権であるのに対し、未収入金は支払期日が到来した確定債権であることである。

なお、未収収益未収入金未収金)―売掛金(以上、収益の関係)の関係は、未払費用未払金買掛金(以上、費用の関係) の関係とパラレルである。

未収収益決算等における位置づけ等

未収収益財務諸表における区分表示表示科目

貸借対照表資産流動資産未収収益

区分表示
流動資産

未収収益流動資産に属する。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債固定資産又は固定負債とを区別する基準について
未収収益流動資産に属するものとし、…

会社計算規則
資産の部の区分)
第七十四条  …
 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
 次に掲げる資産 流動資産

 未収収益

表示科目
未収収益

仕訳上の勘定科目未収地代家賃未収利息未収手数料など)をそのまま貸借対照表表示科目として用いるのではなく、未収収益としてまとめて表示する。

これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。

このように仕訳上の勘定科目貸借対照表上の表示科目とが異なるので注意。

ただし、その額が資産の総額の5%以下のものについてはその他流動資産として一括して記載することもできる。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第十九条  第十七条第一項第十三号に掲げる項目に属する資産のうち、未収収益短期貸付金金融手形を含む。)、株主役員若しくは従業員に対する短期債権又はその他の資産で、その額が資産の総額の百分の五を超えるものについては、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。

未収収益会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

期末決算時)等
決算整理仕訳

収益の見越

前述したように、当期の収益として計上すべきであるが、次期以降にその受取りを行うため、当期の収益として計上されていない場合、費用収益対応の原則から、当期に計上すべき収益を、次期以降に受け取ることを見越して当期の収益に計上する会計処理(収益の見越)を行う。

具体的には、該当する収益勘定貸方に記帳して当期の損益計算に計上するとともに、未収地代家賃未収利息未収手数料などの未収収益勘定資産)の借方に記帳して貸借対照表資産の部に計上する。

企業会計原則
(4) 未収収益
…、このような役務に対する対価は時間の経過に伴い既に当期の収益として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表資産の部に計上しなければならない。

期首
再振替仕訳

期首には、資産として見越された額を収益から控除する会計処理(再振替仕訳)を行う。

すなわち、決算整理仕訳で行った仕訳反対仕訳を行う。

具体的には、収益勘定借方に記帳するとともに、未収収益勘定資産)の貸方に記帳する。

例外
重要性の原則

重要性の原則から、重要性の乏しいものについては、継続適用を前提にして、資産に計上しなくてもよいとされている(つまり、わざわざ未収収益振り替える必要はない)。

企業会計原則
重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。

(2) 前払費用未収収益未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。

実務上の取り扱い
未収収益勘定

前述したとおり、通常は個別的に未収地代家賃未収利息未収手数料などの勘定科目で処理をし、貸借対照表でこれらが未収収益というひとつの表示科目にまとめられる。

しかし、未収地代家賃勘定などで個別的に処理をするのはあくまで内部的な管理のためにすぎない。

したがって、これらを貸借対照表にまとめあげることが面倒であれば、最初から未収収益勘定で処理をしてもよい。

ただし、この場合、補助科目を使って未収地代家賃未収利息未収手数料などを区別して管理する。

取引の具体例と仕訳の仕方

期末決算時)
決算整理仕訳
借方科目貸方科目
未収利息 ×××× 受取利息 ××××

期首
再振替仕訳
借方科目貸方科目
受取利息 ×××× 未収利息 ××××

実際に現金収入があった場合
借方科目貸方科目
現金 ×××× 受取利息 ××××

未収収益務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

消費税法上、未収収益不課税取引として消費税の課税対象外である。



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