返品調整引当金
返品調整引当金とは
返品調整引当金の定義・意味・意義
返品調整引当金とは、引当金の一種として、商品や製品の返品による販売利益の損失に備えて計上される勘定科目をいう。
返品調整引当金に関する法令・条文
法人税法
返品調整引当金は、法人税法で、次のように規定されている。
法人税法 (返品調整引当金) 第五十三条 内国法人で出版業その他の政令で定める事業(以下この条において「対象事業」という。)を営むもののうち、常時、その販売する当該対象事業に係る棚卸資産の大部分につき、当該販売の際の価額による買戻しに係る特約その他の政令で定める特約を結んでいるものが、当該棚卸資産(適格合併に該当しない合併又は適格分割型分割に該当しない分割型分割により合併法人又は分割承継法人に移転する事業に係るものを除く。)の当該特約に基づく買戻しによる損失の見込額として、各事業年度終了の時において損金経理により返品調整引当金勘定に繰り入れた金額については、当該繰り入れた金額のうち、最近における当該対象事業に係る棚卸資産の当該特約に基づく買戻しの実績を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(第四項において「返品調整引当金繰入限度額」という。)に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
返品調整引当金勘定の使い方・利用の仕方
返品調整引当金は、商品や製品の販売に際して、無条件で返品を受け入れる商習慣や契約があり、実際に返品となる可能性が高い場合に使用される。
返品調整引当金の範囲・具体例
税法上の範囲
税法における費用は、償却費を除き、原則として決算日までに債務が確定しているものに限られている(債務確定主義)ため、費用の見積計上(引当金)は認められないのが原則である。
しかし、例外として、次の2種類の引当金については、費用の見積計上が認められている。
つまり、返品調整引当金は、税法においても、例外的にその設定(繰入額の損金算入)が認められている引当金の一つである。
ただし、税法上その設定が認められるためには、次の2つの要件・条件を満たす必要がある。
1.所定の業種であること
返品調整引当金の設定が認められるのは、次の業種に限られる。
- 出版業(取次業を含む)
- 医薬品(医薬部外品を含む)、農薬、化粧品、既製服の製造業および販売業
- 蓄音機用・磁気音声再生機用・デジタル式音声再生機用レコードの製造業および販売業
2.取引に際し所定の特約が結ばれていること
返品調整引当金の設定が認められるためには、さらに、取引に際し、次の特約が結ばれていることを要する。
返品調整引当金の制定過程・経緯・沿革・歴史など
法人税法
1998年改正
法人税法では、1998年改正で、さまざまな引当金が廃止されたが、返品調整引当金は旧来の制度のまま残された。
返品調整引当金の財務諸表における区分表示と表示科目
返品調整引当金の会計・簿記・経理
返品調整引当金の繰入限度額の算定・算出・計算方法
繰入限度額=期末売掛金残高×(当期と前期の返品高の合計額/当期と前期の売上高の合計額)×(当期の売買利益/当期の売上高)
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