前受地代家賃(前受地代・前受家賃)
前受地代家賃とは
前受地代家賃の定義・意味など
前受地代家賃(まえうけちだいやちん)とは、地代家賃に係る前受収益を処理するための負債勘定をいう。
法人・個人の別
法人・個人
前受地代家賃は法人・個人で使用される勘定科目である。
前受地代家賃の目的・役割・意義・機能・作用など
発生主義または実現主義
収益の繰延
当期に収益として受け取った金額のなかに、次期以降の期間に対する収益が含まれている場合、発生主義または実現主義にもとづき、決算整理事項のひとつとして、その次期以降の期間に対する収益を当期の収益から控除し、次期以降に繰り延べる会計処理(収益の繰延)を行う。
前受地代家賃などの前受収益勘定はこの収益の繰延で用いられる負債勘定である。
参考:『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、249項。
前受地代家賃の位置づけ・体系(上位概念等)
前受収益
前受地代家賃は前受収益のひとつである。
なお、前受収益には前受地代家賃も含めて次のようなものがある。
通常、個別的に前受地代家賃などの勘定科目で処理をするが、貸借対照表上の表示科目としてはこれらをまとめて前受収益として表示する。
しかし、個別的に処理をするのはあくまで内部的な管理のためにすぎない。
したがって、これらを貸借対照表にまとめあげることが面倒であれば、最初から前受収益勘定を用いて処理をしてもよい。
ただし、この場合、補助科目を使って前受地代家賃・前受利息・前受手数料などを区別して管理する。
前受地代家賃の決算等における位置づけ等
前受地代家賃の財務諸表における区分表示と表示科目
区分表示
流動負債
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…前受収益は、流動負債に属するものとする。
会社計算規則
(負債の部の区分)
第七十五条 …
2 次の各号に掲げる負債は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一 次に掲げる負債 流動負債
…
ト 前受収益
表示科目
前受収益
前述したように、仕訳上の勘定科目(前受地代家賃・前受利息・前受手数料など)をそのまま貸借対照表の表示科目として用いるのではなく、前受収益としてまとめて表示する。
これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。
このように仕訳上の勘定科目と貸借対照表上の表示科目とが異なるので注意。
前受地代家賃の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
期末(決算時)等
決算整理仕訳
前述したように、当期に収益として受け取った金額のなかに、次期以降の期間に対する収益が含まれている場合、費用収益対応の原則から、その次期以降の期間に対する収益を当期の収益から控除し、次期以降に繰り延べる会計処理(収益の繰延)を行う。
具体的には、次期以降の期間に対する収益の金額を、受取家賃勘定などの借方に記帳して当期の損益計算に計上するとともに、前受地代家賃勘定(負債)の貸方に記帳して貸借対照表の負債の部に計上する。
企業会計原則
〔注5〕経過勘定項目について
(2) 前受収益
前受収益は、…時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。
翌期首
再振替仕訳
翌期首には、負債として繰り延べられた金額を収益に戻す会計処理(再振替仕訳)を行う。
具体的には、受取家賃勘定などの貸方に記帳するとともに、前受地代家賃勘定(負債)の借方に記帳する。
例外
重要性の原則
重要性の原則から、重要性の乏しいものについては、継続適用を前提にして、負債に計上しなくてもよいとされている(つまり、わざわざ前受収益に振り替える必要はない)。
企業会計原則
重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。
…
(2) 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。
取引の具体例と仕訳の仕方
期末(決算時)
決算整理仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
受取家賃 | ×××× | 前受地代家賃(または前受収益) | ×××× |
翌期首
再振替仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
前受地代家賃(または前受収益) | ×××× | 受取家賃 | ×××× |
前受地代家賃の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、前受地代家賃は不課税取引として消費税の課税対象外である。
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