保証債務
保証債務とは
保証債務の定義・意味など
保証債務(ほしょうさいむ)とは、手形の裏書譲渡・手形の割引をした場合に発生する保証債務の時価相当額を負債に計上するための負債勘定をいう。
保証債務の目的・役割・意義・機能・作用など
保証債務の時価評価による認識
裏書譲渡をした手形または手形割引をした手形が不渡りとなった場合には、手形所持人に対して、手形代金を支払わなければならないという保証債務(遡求義務とも呼ばれる)が発生する。
そして、この保証債務は「金融商品会計に関する実務指針」により時価評価して認識する必要があるものとされている。
そこで、その時価相当額を負債に計上するための勘定が本勘定である。
金融商品会計に関する実務指針
割引手形及び裏書譲渡手形の会計処理
136. 割引手形及び裏書譲渡手形については、原則として新たに生じた二次的責任である保証債務を時価評価して認識するとともに、割引による入金額又は裏書による決済額から保証債務の時価相当額を差し引いた譲渡金額から、譲渡原価である帳簿価額を差し引いた額を手形売却損益として処理する。
他の勘定科目との関係
保証債務関係
保証債務費用
手形の裏書譲渡・手形の割引をした場合に発生する保証債務を費用処理するには保証債務費用勘定で処理をする。
保証債務取崩益
後日、裏書譲渡をした手形または手形割引をした手形が満期日に無事決済された場合には、保証債務勘定を取り崩して(減少させて)保証債務取崩益勘定(収益)に振り替える。
偶発債務関係
以上の時価評価した保証債務とは別に、さらに、帳簿上、手形の裏書譲渡・手形の割引に係る偶発債務の額も備忘記録することがある。
この備忘記録の会計処理の方法には、対照勘定法と評価勘定法の2つの方法があり、それぞれ次のような勘定科目を用いる。
対照勘定法
評価勘定法
保証債務費用の位置づけ・体系(上位概念等)
手形
しかし、簿記上では手形はこの法律上の分類にかかわらず、通常の営業取引から生じた手形債権と手形債務については、受取手形と支払手形という2つの勘定科目で処理をする。
ただし、通常の営業以外の取引から生じたもの、裏書譲渡・手形割引などの特定の手形行為、手形の不渡りなどについては特別な勘定科目を使用する場合もある。
保証債務の決算等における位置づけ等
保証債務の財務諸表における区分表示と表示科目
保証債務の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
手形の裏書譲渡・手形の割引をしたとき
手形の裏書譲渡・手形の割引をしたときには、その際に発生する保証債務の時価相当額を保証債務費用勘定(費用)と保証債務勘定(負債)で処理をして、それぞれ費用と負債に計上する。
手形が無事決済されたとき
後日、手形が満期日に無事決済されたときは、保証債務勘定を取り崩して(減少させて)保証債務取崩益勘定(収益)に振り替える。
取引の具体例と仕訳の仕方
手形の裏書譲渡・手形の割引をしたとき
買掛金100万円の支払いとして、他店が振り出した約束手形を裏書譲渡した。裏書譲渡時における保証債務の時価は、手形額面金額の1%と評価された。
買掛金 | 1,000,000 | 受取手形 | 1,000,000 |
保証債務費用 | 10,000 | 保証債務 | 10,000 |
手形が無事決済されたとき
保証債務 | 10,000 | 保証債務取崩益 | 10,000 |
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