役員借入金
役員借入金とは
役員借入金の定義・意味など
役員借入金(やくいんかりいれきん)とは、役員からの借入金を他の借入金とは区別して処理するための負債勘定をいう。
役員借入金の目的・役割・意義・機能・作用など
中小企業等では、会社の運転資金などのために会社オーナーの資金を会社へ貸し付けることはよく行われているが、この取引は銀行などの金融機関からの借入れ等と区別するために、通常の借入金勘定とは別に本勘定で処理をしたほうがよい。
役員借入金に関する制度会計と会計基準
財務諸表等規則
財務諸表等規則では、株主や役員、従業員からの借入金の金額が負債と純資産の合計額の5/100を超える場合は、その内容を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならないとされている。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第五十条 前条第一項第十四号に掲げる項目に属する負債のうち、株主、役員若しくは従業員からの短期借入金等の短期債務又はその他の負債で、その金額が負債及び純資産の合計額の百分の五を超えるものについては、当該負債を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
…
第五十三条 第五十二条第一項第八号に掲げる項目に属する負債のうち、株主、役員若しくは従業員からの長期借入金又はその他の負債で、その金額が負債及び純資産の合計額の百分の五を超えるものについては、当該負債を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
他の勘定科目との関係
短期借入金・長期借入金
役員からの借入金については役員借入金勘定が使用されるほか、1年基準(ワン・イヤー・ルール)を適用して、次のように分類して処理をされることもある。
役員借入金勘定の決算等における位置づけ等
役員借入金の財務諸表における区分表示と表示科目
役員借入金は1年基準(ワン・イヤー・ルール)により処理をされ、流動負債または固定負債に属するものとされる。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…
貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。
短期の場合
貸借対照表 > 負債 > 流動負債 > 役員借入金(または役員短期借入金)
長期の場合
貸借対照表 > 負債 >固定負債 > 役員借入金(または役員長期借入金)
役員借入金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
役員借入金の注意点・注意事項
役員借入金の可否
したがって、役員から会社への貸付については、税法上何ら制限はない。
逆に、会社から役員への貸付については、税務上厳しい規制がある。
ただし、決算書の数字は悪くなるため、一般的には対外的信用度はよくないといえる。
利息・利子の要否
役員が会社に貸し付ける場合は、無利息・無利子でもかまわない。
ただし、利息・利子をつけることで、会社にとっては、節税対策の一つにはなる。
この場合、貸付が何回にもわたっているときは、1年間でまとめて利息・利子を支払えばいい。
貸付時期が異なり、それぞれ利息・利子が異なってくるため、エクセルなどで管理しておく必要はあるであろう。
なお、逆に、会社が役員に貸し付ける場合には、利息・利子をつける必要がある。
役員借入金の実務上の取り扱い
経費立替金
あまり推奨される会計処理ではないが、役員が経費を立て替えるときが多い場合は、帳簿上、何度も役員借入金が登場するのは好ましいものではないので、経費立替金勘定を設けて処理をする。
そして、月末などにまとめて精算・返済する、あるいは(まだ精算しないのであれば)役員借入金に振り替える等の処理をする。
役員借入金の管理
貸付金の放棄
役員が会社への貸付金を放棄した場合、相続税はかからなくなる。
貸付金の現物出資
会社に貸し付けている貸付金を会社に現物出資する、つまり、貸付金を資本金へと転化することができる。
この場合も、役員側には相続税はかからず、また、会社側でも貸付金の放棄の場合のように債務免除益が計上されることもない。
さらに、自己資本比率が向上するなど、決算書の数字がよくなり、会社の対外的信用度も増す。
取引の具体例と仕訳の仕方
会社の運転資金のため役員の資金100万円を会社に貸し付けた。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 1,000,000 | 役員借入金 | 1,000,000 |
役員借入金の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、役員借入金は不課税取引として消費税の課税対象外である。
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 54 ページ]
- 預り金
- 預り敷金
- 預り保証金(受入保証金)
- 1年以内償還社債
- 1年以内返済長期借入金(1年以内長期借入金)
- 売上割戻引当金
- 営業外支払手形
- 親会社短期借入金
- 株主短期借入金
- 借入金
- 仮受金
- 仮受消費税等(仮受消費税)
- 繰延税金負債
- 支払手形
- 支払融通手形
- 社会保険料預り金
- 従業員預り金
- 従業員短期借入金
- 修繕引当金
- 住民税預り金
- 受託販売
- 商品券
- 商品保証引当金
- 賞与引当金
- 所得税預り金
- 税金預り金
- 製品保証引当金(製品保証等引当金)
- 設備支払手形
- 短期借入金
- 手形借入金
- 当座借越(当座貸越)
- 返品調整引当金
- 保証債務
- 前受金(受取手付金・未成工事受入金)
- 前受収益
- 前受地代家賃(前受地代・前受家賃)
- 前受手数料
- 前受利息
- 未払給料(未払賃金)
- 未払金
- 未払事業所税
- 未払社債利息
- 未払消費税等(未払消費税)
- 未払税金
- 未払地代家賃(未払家賃・未払地代)
- 未払配当金
- 未払費用(未払経費)
- 未払法人税等
- 未払保険料
- 未払役員賞与(未払役員賞与金)
- 未払利息
- 役員借入金
- 役員預り金
- 役員短期借入金
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ
- ホーム
- 勘定科目一覧(一般)
- 資産―現金・預金
- 資産―売上債権
- 資産―有価証券
- 資産―棚卸資産
- 資産―他流動資産(五十音順)
- 資産―有形固定資産
- 資産―無形固定資産
- 資産―投資その他の資産―資本参加を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―長期利殖を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―その他の長期性資産(五十音順)
- 資産―繰延資産
- 負債―仕入債務
- 負債―他流動負債(五十音順)
- 負債―固定負債
- 負債―評価勘定
- 純資産―株主資本―資本金
- 純資産―株主資本―資本剰余金
- 純資産―株主資本―利益剰余金
- 純資産―株主資本―自己株式
- 純資産―評価・換算差額等
- 純資産―新株予約権
- 収益―営業収益―売上高
- 費用―売上原価
- 収益―営業収益―商品売買益
- 費用―販売管理費―あ行
- 費用―販売管理費―か行
- 費用―販売管理費―さ行(さ-じむ)
- 費用―販売管理費―さ行(しゃ-せき)
- 費用―販売管理費―さ行(接待交際費)
- 費用―販売管理費―さ行(せんーそ)
- 費用―販売管理費―た行
- 費用―販売管理費―な行
- 費用―販売管理費―は行
- 費用―販売管理費―ま行
- 費用―販売管理費―や行
- 費用―販売管理費―ら行
- 収益―営業外収益(五十音順)
- 費用―営業外費用(五十音順)
- 費用―営業外費用―繰延資産の償却費
- 収益―特別利益
- 費用―特別損失
- その他―事業主勘定
- その他―備忘勘定(対照勘定)
- 決算整理で用いる独自の勘定科目
- 差引損益計算で用いる独自の勘定科目
- 帳簿決算で用いる独自の勘定科目
- 勘定科目一覧(一般)