未払利息
未払利息とは
未払利息の定義・意味など
未払利息(みばらいりそく)とは、利息に係る未払費用を処理するための負債勘定をいう。
法人・個人の別
法人・個人
未払利息は法人・個人で使用される勘定科目である。
未払利息の目的・役割・意義・機能・作用など
発生主義
費用の見越
当期の費用として計上すべきであるが、次期以降にその支払を行うため当期の費用として計上されない場合、発生主義にもとづき、当期に計上すべき費用を、次期以降に支払うことを見越して当期の費用に計上する会計処理(費用の見越)を行う。
未払利息などの未払費用はこの費用の見越で用いられる負債勘定である。
参考:『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、251項。
未払利息の位置づけ・体系(上位概念等)
未払費用
未払利息は未払費用のひとつである。
なお、未払費用には未払利息も含めて次のようなものがある。
通常、個別的に未払利息などの勘定科目で処理をするが、貸借対照表上の表示科目としてはこれらをまとめて未払費用として表示する。
しかし、個別的に処理をするのはあくまで内部的な管理のためにすぎない。
したがって、これらを貸借対照表にまとめあげることが面倒であれば、最初から未払費用勘定を用いて処理をしてもよい。
ただし、この場合、補助科目を使って未払地代家賃・未払保険料・未払利息・未払給料(未払賃金)などを区別して管理する。
未払利息の決算等における位置づけ等
未払利息の財務諸表における区分表示と表示科目
区分表示
流動負債
未払利息は未払費用として1年基準(ワン・イヤー・ルール)の適用を受け、流動負債に属するものとして表示する。
企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
…、未払費用…は、流動負債に属するものとする。
会社計算規則
(負債の部の区分)
第七十五条 …
2 次の各号に掲げる負債は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一 次に掲げる負債 流動負債
…
ヘ 未払費用
表示科目
未払費用
前述したように、仕訳上の勘定科目(未払地代家賃・未払保険料・未払利息・未払給料(未払賃金)など)をそのまま貸借対照表の表示科目として用いるのではなく、未払費用としてまとめて表示する。
これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。
このように仕訳上の勘定科目と貸借対照表上の表示科目とが異なるので注意。
未払利息の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
期末(決算時)等
決算整理仕訳
前述したように、当期の費用として計上すべきであるが、次期以降にその支払を行うため当期の費用として計上されない場合、費用収益対応の原則から、当期に計上すべき費用を、次期以降に支払うことを見越して当期の費用に計上する会計処理(費用の見越)を行う。
具体的には、支払利息勘定(費用)の借方に記帳して当期の損益計算に計上するとともに、未払利息勘定(負債)の貸方に記帳して貸借対照表の負債の部に計上する。
企業会計原則
(3) 未払費用
…、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴い既に当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。
翌期首
再振替仕訳
翌期首には、負債として見越された金額を費用から控除する会計処理(再振替仕訳)を行う。
具体的には、支払利息勘定(費用)の貸方に記帳するとともに、未払利息勘定(負債)の借方に記帳する。
例外
重要性の原則
重要性の原則から、重要性の乏しいものについては、継続適用を前提にして、負債に計上しなくてもよいとされている(つまり、わざわざ未払費用に振り替える必要はない)。
企業会計原則
重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。
重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。
…
(2) 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。
取引の具体例と仕訳の仕方
期末(決算時)
決算整理仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
支払利息 | ×××× | 未払利息 | ×××× |
翌期首
再振替仕訳
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
未払利息 | ×××× | 支払利息 | ×××× |
未払利息の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、未払利息は不課税取引として消費税の課税対象外である。
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