設立時の登記費用(設立登記の登録免許税など)
設立時の登記費用の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
創立費
司法書士報酬・設立登記の登録免許税など設立時の登記費用は、株主との間の資本取引によって発生するものではないことから、原則として、支出時に創立費勘定(費用)を用いて費用計上したうえ、営業外費用として処理する。
ただし、同じく創立費勘定(資産)を用いて繰延資産に計上することもできる。
実務対応報告第19号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い
(3) 創立費の会計処理
創立費は、原則として、支出時に費用(営業外費用)として処理する。ただし、創立費を繰延資産に計上することができる。
なお、会社は設立により資金を調達できたことで設立以後数期にわたり収益を上げることができるので、繰延資産として取り扱われるほうが望ましいといえる。
繰延資産の計上
資産計上の日付
創立費勘定で繰延資産に計上する場合、帳簿上の日付は設立の日付(会社設立の登記申請日)とする。
繰延資産の償却
繰延資産とした場合は、期末(決算時)に決算整理のひとつとして繰延資産の償却を行う必要がある。
すなわち、その償却額を創立費償却または繰延資産償却費勘定(営業外費用)の借方に記帳して費用計上するとともに創立費勘定の貸方に記入して減少させる(振替仕訳)。
なお、e-Taxの確定申告等作成コーナーで確定申告書を作成する場合は、減価償却費として計上する。
ただし、この場合、e-Taxの確定申告等作成コーナーの決算書・収支内訳書を作成するページが任意償却に対応していないため、内訳書(「減価償却費の計算」)は別途会計ソフトなどで作成する必要がある。
本来は営業外費用として計上すべきであるが、e-Taxヘルプデスクでは、繰延資産償却額についても減価償却費として計上するよう案内している。
もちろん、原則どおり、繰延資産償却といった項目を新たに設定して処理をしてもよい。
e-Taxや確定申告等作成コーナーについては、次のサイトのページなどを参照。
e-Tax - 手続き・申請・届出・内容証明郵便など法律問題その他事務手順
確定申告―手続き―必要書類―確定申告書の書き方・作成方法・作り方―確定申告等作成コーナー - 税金―所得税法
(償却方法・償却期間)
繰延資産の償却方法と償却期間については、会計上は企業会計基準委員会が定めた「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告第19号)が基準となる。
これによれば、創立費は会社の成立のときから5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却をしなければならないとされている。
実務対応報告第19号 繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い
(3) 創立費の会計処理
…、創立費を繰延資産に計上することができる。この場合には、会社の成立のときから5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却をしなければならない。
しかし、税法上(法人税法)は任意償却とされている(法人税法32条)。
任意償却による場合には、支出の年に全額償却してもよく、あるいは、まったく償却しなくてもよい。
また、いつでも償却費として必要経費または損金に算入することもできる。
(記帳方法)
創立費など繰延資産の記帳方法は直接法(直接控除法)によるものとされている。
企業会計原則
(貸借対照表科目の分類)
四 …
(一)資 産
…
C 創立費、開業費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金、開発費、試験研究費及び建設利息は、繰延資産に属するものとする。これらの資産については、償却額を控除した未償却残高を記載する。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第三十八条 各繰延資産に対する償却累計額は、当該繰延資産の金額から直接控除し、その控除残高を各繰延資産の金額として表示しなければならない。
取引の具体例と仕訳の仕方
期中
繰延資産に資産計上したとき
会社設立にあたり、定款作成費用・設立時の登記費用(司法書士報酬・設立登記の登録免許税など)など50万円を現金で支払い、繰延資産に計上した。
創立費 | 50万 | 現金 | 50万 |
期末(決算時)
繰延資産の償却
(定額法で償却するとき)
決算にあたり、当期分の償却費10万円を計上した。
繰延資産償却費(または創立費償却) | 10万 | 創立費 | 10万 |
(一括償却するとき)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
繰延資産償却費(または開業費償却) | 50万 | 創立費 | 50万 |
設立時の登記費用の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引
消費税法上、設立時の登記費用は消費税の課税対象となる(仕入税額控除の対象となる)
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