[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


未収


(" 未収金(未収入金) "から複製)

未収金とは

未収金の定義・意味など

未収金(みしゅうきん)とは、通常の営業取引商品の販売など)以外から発生した金銭債権(通常の営業取引以外の取引における代の未回収)と通常の営業取引から発生した売掛金以外の金銭債権(通常の営業取引における売掛金以外の未回収)を処理する資産勘定をいう。

参考:中野智之 『最新版 仕訳がすぐわかる 経理勘定科目事典』 ナツメ社、2007年、76項。

未収金の別名・別称・通称など

未収入金

未収金は、未収入金(みしゅうにゅうきん)ともいう。

法人・個人の別

法人・個人

未収金は法人・個人で使用される勘定科目である。

未収金科目属性

資産

未収金は未回収として債権なので、資産勘定である。

未収金の範囲・具体例

未収金の範囲

実務上は、銭の貸し付けに伴う受取利息や不動産賃貸による受取家賃など、通常の営業取引以外の役務提供に対する代の未回収で支払期日が到来したものも未収金に含めて処理をする。

まとめると、未収金の範囲は以下のとおりとなる。

  1. 通常の営業取引以外から発生した債権(通常の営業取引以外の取引における代の未回収
  2. 通常の営業取引から生じた売掛金以外の債権(通常の営業取引における売掛金以外の未回収
  3. 通常の営業取引以外の役務提供に対する代の未回収で、支払期日が到来したもの

未収金の具体例

未収消費税

未収金未収消費税勘定の代わりに使用される場合もある。

ファクタリング

ファクタリング会社売上債権を譲渡したときは、便宜的に未収金(または受取手形)の借方に記帳して資産計上するとともに、当該売上債権貸方に記帳してこれを減少させる。

岩崎恵利子著『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』(シーアンドアール研究所)では、営業債権の譲渡は受取手形、営業外債権の譲渡は未収金で処理するものとし、両者を区別している。なお、ファクタリング会計処理の詳細については次のページを参照。

金銭債権―具体例―売上債権―ファクタリング

他の勘定科目との関係

売掛金

売掛金未収金もともに代の未回収という点で共通するが、通常の営業取引から発生した金銭債権については売掛金勘定で処理をする。

未収収益

未収収益とは、経過勘定のひとつで、原則として、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、 すでに提供した役務に対しいまだその対価の支払を受けていないものをいい、未収金 とは区別すべきである。

しかし、実務上は、継続的な役務提供にかかる未収金であっても、支払期日が未到来のものは未収収益として処理することがよくある。

つまり、実務上の未収収益未収金との区別基準は、継続的な役務提供か否かではなく、確定債権か否か(支払期日が到来しているか否か)にある。

未収金と関係する概念

反対概念・対概念
未払金

営業取引から発生した債権債務は売掛金(債権)と買掛金(債務)勘定で処理をするが、営業取引以外から発生した債権債務については未収金(債権)と未払金(債務)勘定で処理をする。

未収金決算等における位置づけ等

未収金財務諸表における区分表示表示科目

(短期の未収金

貸借対照表資産流動資産未収金

(長期の未収金

貸借対照表資産固定資産投資その他の資産未収金

区分表示
流動資産または投資その他の資産

未収金は、1年基準ワン・イヤー・ルール)により処理をされ、短期(決算日の翌日から起算して1年以内に入金期限が到来するもの)は流動資産に属し、長期(決算日の翌日から起算して1年を超えて入金期限が到来するもの)は投資その他の資産に属するものとされる。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債固定資産又は固定負債とを区別する基準について
 …
 貸付金借入金差入保証金受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

表示科目
未収金

未収金勘定貸借対照表上も未収金として表示する。

ただし、企業会計原則では、◯◯未収金など、その性質を示す適当な科目で表示するものとされている。

企業会計原則
(一)資産
…。仮払金未決算等の勘定貸借対照表に記載するには、その性質を示す適当な科目で表示しなければならない。

また、その額が資産の総額の5%以下のものについてはその他流動資産として一括して記載することもできる。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
第十九条  第十七条第一項第十三号に掲げる項目に属する資産のうち、未収収益短期貸付金金融手形を含む。)、株主役員若しくは従業員に対する短期債権又はその他の資産で、その額が資産の総額の百分の五を超えるものについては、当該資産を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。

未収金会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

期中
固定資産の売却など

通常の営業取引商品の販売など)ではなく、たとえば、有価証券固定資産などを売却し、後日代を受け取ることにした場合は、未収金勘定借方に記帳して資産計上する。

そして、後日代を受け取った場合は、未収金勘定貸方に記帳して未収金を減少させる。

有形固定資産の滅失

火災等による有形固定資産の滅失会計処理にあっても、保険契約を締結していた場合は、保険金額が確定したがまだ保険金額を受け取っていないときは、未収金勘定借方に記帳して資産計上する。

詳細については次のページを参照。

有形固定資産の滅失

期末決算時)
収益収入金額の整理

本年中に発生した債権はまだ回収されていないものであってもすべて本年分の収益収入金額として取り扱う。

なお、前年末に未収金として収入金額に含めた額を本年の入金の際にも記帳している場合には、その額を本年分の収入金額から除外する。

収入金額の整理(所得税法)

貸倒引当金の設定対象

未収金は、金銭債権である。

したがって、貸倒引当金の設定対象であり、売掛金貸付金と同様、回収可能性により評価を行い、問題のある未収金については、貸倒引当金を設定する必要がある。

取引の具体例と仕訳の仕方

固定資産の売却
売却したとき

取引

営業用両を売却した。ただし、代はまだ受け取っていない。

仕訳

借方科目
貸方科目
未収金 ×××× 車両運搬具 ××××

を受け取ったとき

取引

上記代銀行口座に振り込まれた。

仕訳

借方科目
貸方科目
普通預金 ×××× 未収金 ××××

ファクタリング
ファクタリング会社売上債権を譲渡したとき

取引

保有する売上債権売掛金)を現金化するため、ファクタリング会社債権譲渡した。

仕訳

借方科目
貸方科目
未収金(または受取手形 ✕✕✕✕ 売掛金 ✕✕✕✕

未収金務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

消費税法上、未収金不課税取引として消費税の課税対象外である。



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